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クルービーチと聞くと、クルー地方にある砂浜をイメージする人が多いが、
クルービーチは国名である。
船が接岸する桟橋は砂浜から延びていて、
その砂浜の正式名称は、クルービーチビーチとなるのだが、
人々は略してクルービーチと呼んでいる。
オストール軍艦から降りて、カルバスと別れた杉作たちは、
クルービーチビーチを南へ歩いて、無事にクルービーチへと到着した。
人の成長を研究するこの国には、
杉作たちように能力に限界を感じた者たちが、藁にもすがる思いで集まってくる。
幸いも先客は無く、杉作たちは神官の前に立っていた。
神官は、杉作たちの顔をじっと見つめると、
祭壇の引き出しから大きなカギを取り出して、
「西の搭へ行き、最上階にある宝箱の中身を持ってきてください」
と、杉作に手渡した。
搭の入り口には大きな扉があって、神官からもらった鍵で開いた。
4人が搭の中に入ると、その扉がガゴンと閉じて、
鍵が光となって消えた。
「開かないな」
ダイズが扉を両腕で押しながら言った。
4人は最上階を目指したが、途中で現れたモンスターに手を焼いた。
剣では斬れない炎のモンスターは、魔法で倒すしかない。
しかし、ダイズは火の玉しか使えず、
その火力はモンスターより遥かに劣る。
攻撃手段は、杉作のハリサメかクギサメであるが、
鉄が熱量を奪い火力を少し弱めるだけで、
決定打にはならない。
試行錯誤を繰り返した末、杉作たちが瀕死になった頃、
炎のモンスターはすっと消えた。
頻繁に使わされる回復魔法に、
エダマメはすぐに疲れ果ててしまい、なかなか前に進めない。
その場にとどまっていれば襲われることもなく休憩できるが、
このペースで最上階などとは、いったい何日かかるのだろうか。
3階までたどり着いた杉作たちは、祭壇に飾られた宝箱を見つけた。
ここは最上階ではないが、あの宝箱にはきっと、
相当なものが入っているはずである。
ベニバナに開けさせると、宝箱モンスターという落ちもあるが、
運の良いエダマメなら、きっと宝物が出てくるはずだ。
どちらが開けるにせよ、中身が変わるはずなどないのだが、
気分的な問題である。
エダマメが宝箱を開けると、紫色の煙がもわっと立ち上がり、
中から紫色の爪型の武器が出てきた。
「これは武闘家の武器ですよ」
エダマメがそう言って、中に入ってた紙切れを取り出した。
「猛毒につき取扱注意って書いてあるな」
ダイズが読み上げた。
「あたしが装備してみてもいい?」
「もちろんさ。ベニバナの戦い方は武闘家そのものじゃないか」
これでベニバナが、武闘家として積極的に戦闘に参加してくれれば、
どれだけ心強いだろうと杉作は思った。
ベニバナは、慎重に両腕に猛毒の爪を装備した。実に似合っている。
そして、4人で1歩前に出た瞬間に、熊型のモンスターが現れた。
杉作が身構えるよりも早く、ベニバナが攻撃を仕掛けた。
熊の左肩から右脇腹に掛けて、爪で引き裂く。
それだけでも相当のダメージなのに、そこから紫色の煙が噴き上げて、
猛毒のダメージが熊を襲い、たったの1激で倒してしまった。
「凄いじゃないか!」
杉作は手放しで褒めた。
「いやぁ、それほどでも……」
ベニバナは照れながら頭を掻いた。
その瞬間、血が噴き出した。
「あっ!」
「大丈夫です。毒は入っていません」
エダマメが慌てて回復した。
「ベニバナ、慎重に扱ってくれよ」
「あははは、解ってるって!」
ベニバナはそう言いながら、杉作の肩をポンッと叩いた。
肩から血しぶきが飛ぶ。紫色の煙も上がる。
あまりの激痛に声も出ない。
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