夢42
この星には、様々な生物がいる。
森の中には、巨大な牛のような動物がいて、それが木を幹ごと食べている。
そして、その食べられた幹はすぐに芽を出して数日で元の木に戻る。
巨大な牛のような生き物は、外見は牛によく似ていて、毛の色は真っ黒だ。
牛の角とよく似た角があるが、そのほかに3本目の角が額の中央部分辺りに付いている。
時々低い声で鳴き、仲間同士連絡をとっているようだ。
空を飛ぶ動物も沢山いる。
鳥のような生物が多いが、中には、羽が見当たらず、どうやって飛んでいるのか分からない者もいる。
見た目はネズミそっくりだが羽などは全くなく、それでも鳥と変わらずに自由自在に空を飛んでいる者がいる。
一匹捕まえてみようとしたが、なかなかすばしこくて捕まえることが出来ない。
空飛ぶネズミは木の実を食べているので、それを地面に撒いておびき寄せようと試みる。
木の実をいくつか地面に撒いて木の裏に隠れて様子を見る。
すると空飛ぶネズミがすぐに集まってきた。
そして木の実を食べ始める。
そこで虫取り網を使って一気に捕まえることに成功した。
空飛ぶネズミは少し暴れていたが、すぐにあきらめておとなしくなった。
それを虫かごに入れて観察をしてみる。
やはりどこを見てもただのネズミであり、羽のようなものは一切見当たらない。
しばらく観察したが、結局飛行の原理は分からないので、野に放してやった。
もしかしたら宇宙船と同じように重力を制御しているのかもしれない。
人間が機械を使って出来ることは、生物が体内で出来てもおかしくない。
もし、重力に逆らって浮かび上がる機構を体内に持っている生物がいれば、それを見習って空に家を浮かばせることも出来る。
そうすれば、色々な問題が解決する。
ネズミを観察しているうちに、あることを思い出した。
たしか、昔大きなどぶねずみを見かけたことがある。
しかし最近はそのような物を全く見なくなった。
クマネズミと言うのが最近勢力を伸ばしてきていて、各所で被害を及ぼしているというのをニュースで見たくらいで、生きたネズミを肉眼で見ることはめったに無く
なった。
カラスや最近数が減っている気がする。
えさやりを禁じたり、生ゴミを網で包んだりした効果かもしれない。
スズメもあまり見なくなった。
ペット以外の生き物が町から姿を消しつつある。
そのうちペットもいなくなって、最後には人間にもいなくなるような気がする。
でもそうすれば長い年月の後にまた動物たちがどこかからやってきて、また豊かな自然を取り戻すだろう。
そうしたら、この空飛ぶネズミのような動物も、もしかしたら生まれるかもしれない。
蝶やバッタが空を飛ぶのだから、ネズミや猫が空を飛んでもいいはずだ。
そんな事を考えながら、森の木々を眺めていると、実がなっているのを見つけた。
真っ赤で、丸く、表面は極めて滑らかだ。
しかしあまりに高い場所にあるので、どうやっもとどかない。
そこで空飛ぶネズミを何匹か集めて袋につめた。
それを紐で縛り、その紐を腰に巻いた。
するとネズミの浮力で体がフワフワと浮き出して、何とか木の実のところまでたどり着けた。
実をもぎ取ると、袋の中から一匹ずつネズミを放してやった。
すると徐々に浮力が無くなって、ゆっくりと地面に着地できた。
早速実を食べてみることにする。
果物のような味は全くせず、例えるならばモチのような味だ。
しかも柔らかいつきたてのモチの味によく似ている。
これにしょうゆでも付けたら言うこと無い。
そこでこれをモチの木と命名した。
この星の生物はまだ人間の眼に触れていないので、私が全ての名前を付けることが出来る。
空飛ぶネズミは「もち取りネズミ」としよう。
モチの木の実を取るのに使ったからだ。
実際、このモチ取りねずみもこのモチの実を食べている。
よく見るとこの森には多くのモチの実がなっていた。
そのほかにも色々な色や形の実があるが、これを全て採取していたらいくら時間があっても足りない。
ここは今後来るであろう植物学者にその役を譲ることにする。
モチの実をいくつかとって旅の食料とすることにする。
そろそろ宇宙船に戻ろう、そしてまた銀河に船出をしよう。
無限の星の海を漂う木の葉のように波に揺られて果てを目指そう。
モチの実は青い鳥もよく食べる。