夢29 | ゆうきの話

夢29

砂浜に打ち上げた難破船。
中に入ると、相当時間が経っているらしく、激しく朽ち果てていた。
腐りかけた階段を慎重に上って甲板に出た。
甲板からは水平線と砂浜がよく見渡せる。

難破船
水平線をよく見ると、向こうのほうで煙が立ち上っているのが見える。
しかし、煙以外は何も見えない。
船の探索を続ける。
甲板には長いこと置かれたままの木の箱が一個あった。
しかし、頑丈に出来ていて簡単に開ける事は出来ない。
蹴飛ばしてみたりしたが、開ける事は出来なかった。
そこで箱をよく観察してみると、鍵穴があった。
つまり、鍵があれば箱を開けることが出来るのだろう。
しかし鍵らしきモノは持っていないし、ここに来るまでも見当たらなかった。
そこでもう少し船内を探してみることにした。
会談で船の下に下りて、船室を調べて回ることにした。
各船室は比較的綺麗だったが、それでも長いこと使われていないよで埃がかぶっていた。
船長室を見つけて、その中に入った。
ここならば鍵があるかもしれない。
部屋の中には机が一台あるだけで、他には何も無い。
そして、その机の引き出しを調べると、銅色の鍵がひとつ見つかった。
その鍵をもって早速甲板の木箱のところへ向った。
鍵はピッタリと合った。
そして箱は軽やかに開くと、中から白い煙のような物が一瞬出たように見えた。
しかし特に変わったことも無く、そして箱の中にも何も入っていなかった。
歩く。
しかし何かがおかしい。
波の音が早く聞こえる。
いつも見慣れた浜辺の波がいつもより速く打ち寄せている。
風が強い。
強いというより、風が速い。
石ころを拾って落としてみる。
するとその石はいつもの数倍の速度で地面に落ちた。
これはひょっとしたら、時間の流れが変わってしまったのではないだろうか。
時計を持っていないのでなんとも言えないが、そう考えるのが一番納得いく。
きっとあの箱の中の煙のような物が時間を加速させる効果を持っていたのだろう。
浦島太郎と言う話を聞いたことがあるが、あれは自分が急速に老化する話だが、これは、いわば世界が急速に老化するというわけだ。
つまり、何もせずにタイムマシンに乗って未来に向っているのと同じ作用が私に及んでいることになる。
このまま進めば、いずれこの星の終わり、果ては宇宙の終焉にも立ち会えるかもしれない。
ただ、今のままの程度の時間の加速ならば、せいぜい500年後くらいの未来が見える程度だろう。
しかし、こんな事を考えている間にも、時間の経過は徐々に加速しているように思われる。
徐々に波の満ち引きが加速していき、太陽が天を光速で昇り沈みしだした。
おそらくこのペースだと1年は数分といったところだろう。
船が見る見る朽ちてゆく。
そして、数分もしないうちにいくつかの木切れを残して消え去ってしまった。
一体何年経ったのだろうか、この島には時計もカレンダーも無いので、どれくらいの時が経ったのかわからないが、数百年は経っているはずだ。
そして、私の時間も半日ほど過ぎ、そろそろ別荘に帰って休息しようと思い立った。
別荘は木製だが、不思議なことに、それほど朽ちてはいない。
見た目は多少悪くなっていたが、それはツタや汚れが付いたせいで、家そのものには特に問題はなさそうだ。
もしかしたらこの家を作った材料は何か特殊なものだったのかもしれない。
とにかく家があって何よりだ。
部屋の中も出てきた時のままで、棚の中にあるビスケットも見た目は何の問題も無い。
ビスケットをひとつ食べて、この日は眠りに就くことにした。
鶴になる夢を見た。