夢23
宇宙の旅を始めてから、だいぶになるが、一度宇宙戦艦に出会った以外には、他の生命体や船などを見かけない。
やはり宇宙はそれだけ広いと言う事だろうか。
宇宙が誕生してから100億年以上が経過していると言う話だが、一体どれだけの旅人が宇宙の果てを目指したのだろうか。
しかし、宇宙の果てには自分がいる、という可能性もある。
なぜなら宇宙は球の表面に張り付いているようだからだ。
星と同じで、まっすぐ歩いてゆけば、結局今いる場所に戻ってくる。
でも、実際にはどうなっているのか見当もつかない。
この船は銀河の果てまで行くことが出来るが、宇宙の果てはその遙か彼方のはずだ。
人類はまだ宇宙のことなどほとんど知っていない。
おそらく永遠に知り尽くすことは出来ないだろう。
また、宇宙は常に変化をしていて、明日にはどうなるかわからない。
新しい宇宙がこの瞬間にも誕生して、宇宙が今とは違うものに変わりつつあるかもしれない。
宇宙の果てを探すついでに、いろいろな星を訪ねてみることにする。
宇宙は広くてそして静だ。
宇宙空間では音が伝わらない。
原子の粒の風もあっという間に薄まって消え失せる。
ほとんどの場所は永遠に静寂だ。
そんな中、光り輝く星のそばに住む生き物は騒がしい。
不老長寿の生き物も、宇宙の中では一瞬の存在に過ぎない。
その瞬間的な存在を目撃できれば、それは奇跡的な偶然だ。
船に積んであった宇宙辞典を開いてみる。
中には様々な生命体のことが紹介されているが、銀河系内に存在する生命体の多くは同じ祖先を持つと言う。
太古の昔、ある生命体がどこかの星に誕生した。
それがやがて高度な文明を持ち、宇宙船を開発し、そして銀河に広がっていったという。
そして、やがてその文明も滅び、そこから広がった人々もいなくなる。
しかしまた別の星から生き物が生まれ、それが文明を持ち宇宙へと広がる。
そうして、無数の文明、無数の存在が宇宙を覆い尽くしては通り過ぎていった。
その文明の痕跡が様々な惑星の中に隠されている。
今目の前に見えている惑星には、一体幾つの文明が栄えたのだろうか。
でも今は一面のジャングルに覆われていてその痕跡は無い。
何も無いように見えたが、ジャングルの中で何かが光った。
そこへ船を向けてみる。
そこはジャングルの中にある遺跡だった。
ピラミッドのような建物があって、その天辺に大きな光の玉が浮かんでいる。
それは太陽に負けないくらいの明るさで光ったり、光が無くなったりと、つねにその光を変化させている。
そしてその周りにはその光を受けて植物がより一層に繁茂している。
そのピラミッドに登ってみもその光の玉にちかづてい見る。
熱は無く、ただまぶしい。
光の玉に触ると、そこから光の粉がこぼれる。
それが地面に触れると、そこから蛍が生まれて飛んでいった。
ピラミッドの中ほどに入り口があって、その中に入ると、今度は真っ黒な玉が置いてあった。
それは、周りから光を吸収しているようで、照明を近づけるとそこから出ている光の粒を吸い込む。
人の体を反射した光も真っ黒な球、闇の玉に吸い込まれていった。
闇の玉を触ると、そこから暗闇がこぼれて、そこだけ夜になった。
きっとこれを天に投げるとそこから永遠の夜になってしまうだろう、そんな気がした。
この星にも、過去の文明の痕跡が見られたが、知的生命体はいなかった。
それからいくつかの星に降り立ち、遺跡を見つけたが、そこに現在生きている文明は無かった。
もしかしたら、私は文明と文明の狭間、文明が栄えて滅んだその時の時空、宇宙に迷い込んだのかもしれない。
銀河全体を覆っていた高度な文明が、何らかの理由で滅び去り、その次の文明が栄えるまでのひと時の静寂の時が今なのか。
人類もさざなみのような知性のちょっとしたうねりに過ぎないのか。
結局は森に沈み、星に呑まれ、闇へと吸い込まれてしまう運命なのか。
しかし、もし宇宙に広がることが出来るならば、銀河の外、宇宙の果てへと広がることが出来れば、文明の光をもう少し永く残せるかもしれない。
星を尋ねながら、人の住むことのできる星、文明が栄えている星をひとつでも見つけよう。
宇宙辞典をながめていると、それまで存在したいろいろな文明のこと、いろいろなモノの事が載っている。
ダンゴ虫のように転がりながら旅をする種族、ガスのような気体の知的生命体。
岩の変わりにダイヤモンドばかりの星。
星全体が砂糖で出来ている星もあるという。
宇宙はは広く星は無数にあり、文明も数え切れないほど存在していた。
だから人間の作れる物は既に誰かが作っていて、なぜかはわからないが、星全体が砂糖だったり、パンだったり、そんな星まで作ったらしい。
今となっては理由はわからないが、何か理由があったに違いない。
それとも本当に何の理由も無くて、ただひたすらにそれを作ることだけが目的だったのかもしれない。
手段が目的になることはよくあることだ。
最初は砂糖を食料として作っていたが、いつの間にかにそれを作る行為そのものが目的になってしまって、必要も無いものを延々と作り続けていたのかもしれな
い。
その星、砂糖で出来た星は意外に近いところにあった。
ためしに船で近づいてみる。
驚くことに、その砂糖は粉ではなくて一個の結晶として星を形成している。
砂糖の結晶がうまいこと球体に加工されているように見える。
中心部まで透明なので向こうの星が透けて見える。
この星が周りを回る光り輝く恒星をその星を通して覗いてみると、光がプリズムのように分解されて、七色の巨大に光の筋が辺りを包む。
その虹色の光が、砂糖の星の外を回る星に当たる。
するとその星に朝が訪れる。
この砂糖の結晶の星は、その外を回る星に光を運ぶためのレンズの役目をしていた。
なぜ砂糖の結晶なのか、それは誰にも分からなくなってしまったが、それでもこの星のすごさは分かる。
この星を作った人は、よっぽど甘党だったのかもしれない。
この砂糖の星のレンズの光を受けている隣の星に行ってみる事にした。