夢22 | ゆうきの話

夢22

真夜中のひと気の無い町を歩く。
霞のかかったようなひんやりとした空気の中、昼間は人々が盛んに行き来しているであろう商店街の、シャッターの閉まったその町並みを歩く。
車の来ない静まり返った道の真ん中をゆっくりと歩いてみる。
地面に目をやると、道路に引かれた白線が月明かりを反射してキラキラとしている。
照明の全く点いていない街、月と星の光だけが頼りだ。
そんな中、一箇所だけ明かりの点いている場所があった。
それはこの町にある唯一の駄菓子屋。
入り口のところにゲームが数台置いてあって、それがチカチカと光っている。
中からも僅かな明かりが漏れている。
ただ、やはりひと気が無い。
店の中に入り人を呼んで見るが、返事が無い。
どうやらこの町には人間がいないようだ。
理由はわからないが、人がいないのであれば、駄菓子を食べても誰も文句は言うまい。
それともただどこかへ出かけているだけなのか。
だとしたら店のものを勝手に失敬するわけにもいかない。
どちらとも判断がつかないので、とりあえずもう少し人を探して歩いてみる。
交番に行って見よう。
たしか、踏み切りのそばにあったはずだ。
そかし、交番にも誰もいなかった。
電話掛けてみたがどこにも通じなかった。
そうだ、コンビニに行って見よう。
そして、店内を撮影しているカメラを見せてもらえば、どれくらい人がいないのかが分かる。
コンビニを見つけて中に入る。
明かりをつけると何の問題もく点いた。
早速ビデオを探して再生してみる。
1週間分の映像が残っていたが、やはり人は全く写っていなかった。
と言うことは少なくとも1週間はこの町には人間がいないというわけだ。
その割にはコンビニの弁当も腐っていないし、電気もきちんと供給されている。
何かがいるのかもしれないが、それは人間ではなく、私の目には見えないし感じることも出来ない。
もしかしたら別の世界の住人が今この瞬間私の目の前を歩いているのかもしれない。
とはいっても、そのような気配も全く感じられないので、私にとっては存在しないも同じだ。
だとしたら、コンビニの弁当や駄菓子屋の駄菓子は食べ放題だろう。
別に空腹ではなかったが、この町のこの食べ物はどんな味がするのか興味を引かれたので食べてみることにした。
近くの公園で弁当と駄菓子を食べてみる。
極普通のノリ弁当、味もいつも食べているものと何ら変わり無い。
駄菓子、小さい飴玉、棒状のスナック菓子、酢イカ、どれも馴染みの味だ。
腐らない理由はわからないが、とにかく普通だ。
もしかしたら、腐らないのは、腐敗を起こす細菌が存在しないからでは無いだろうか、そんな気がした。
ここには人間だけではなく、あらゆる生物が存在しないのかもしれない。
だとしたら、この星にいる生き物は私一人と言うことになる。
しかし、確か植物はあった。
確かにあれも生き物だし、だとしたら細菌くらいいるはずだ。
疑問を持ち出すときりが無いので、考える前にもう少しここら辺を探索してみる。
町外れに来た。
ここには児童館があって、普段は子供たちが遊んでいる場所だ。
だがここにもひと気は無い。
中に入ってみる。
鍵は掛かっていなくて、簡単に入れた。
中にはホールがあって、サッカーボールがいくつか転がっていた。
また、一輪車とか、フラフープがある。
サッカーボールを蹴飛ばしてみる。
壁に当たって跳ね返ってくる。
しかし、何かが違う。
最近はボールを蹴ってはいないが、それでも自分の記憶していた具合と少し違う。
壁に当たった後に跳ね返ってくる、その様子が少しおかしい。
ボールがおかしいのか、壁がおかしいのか、それとも私か。
ボールと壁を念入りに観察したが、特に変わったところは見当たらなかった。
もしかしたら、他の何か、重力とか空気抵抗とかが違うのではないか、そう結論をつけざるを得なかった。
それで無ければ、宇宙の法則そのものが私の馴染みの宇宙とこことでは少し違うのかもしれない。
でも、それを証明出来る物は何も無かった。
人間の居ない少し法則が違う星、宇宙。
このままここに暮らしてもよさそうだが、せっかく宇宙船があるのだから、この宇宙を旅してみたい。
そして、旅を終えた後にはここで暮らそう。
町を離れ宇宙船に戻り、今度は海ではなくて空に向って出発をした。


街-2