夢21
船に乗り宇宙の旅を続ける。
宇宙には、他の宇宙と繋がっている場所があって、そこは今の宇宙とほとんど一緒で、極わずかに違っているだけだという。
そんな宇宙に行って見て、地球の様子を眺めてみるのも面白いかもしれない。
でも、そんな他の宇宙と繋がっている場所を探す方法がわからない。
こんな時に惑星連邦の宇宙戦艦とかが仲間にいれば一発で探査してくれるのだろうが、そんなモノはどこにも居ない。
と思ったら、突然巨大な宇宙戦艦が目の前に現れた。
よくSF映画で見るような、UFOと飛行機を混ぜたような外見で、こちらの船の何十倍もの大きさがある。
無数の窓がついていて、所々に人間の影が見える。
しばらく向かい合っていたが、向こうから通信が入った。
この船に受信機などがついていたとは以外だったが、何とこの船は最新の宇宙船と同等の装備が施してあった。
道理で宇宙をスイスイと航行できたわけである。
通信してきたのは宇宙戦艦の艦長であった。
話によると、これから新しいエンジンの実験をするので、この付近から退避して欲しいという。
時空を飛び越えることの出来る新型のエンジンだという。
そういうことなので、この場所から離れることにした。
どれほど離れたであろうか。
数時間全速力で離れると、宇宙戦艦も見えなくなった。
そろそろいいだろうと、その場で停止して、宇宙戦艦の実験の様子を眺めることにした。
宇宙戦艦のいた場所辺りに閃光が走る。
次の瞬間、その光の渦が自分の船に向って飛んできた。
その渦に船体が飲み込まれたと思うと、次の瞬間、辺りの風景が一変した。
今まで宇宙の真ん中に居た筈だったが、次の瞬間には、海の真ん中に浮かんでいた。
360度見回しても水平線しか見えない。
ここはおそらくどこかの星の海だ。
波は穏やかで、天気も快晴だ。
この宇宙船はまさに船の形をしているので、何の問題も無く海の上を進むことが出来る。
このまましばらくこの海を旅してみることにする。
海をしばらく気の向くままに進んでいると、水面に中が浮かんでいるのを発見した。
それは大きなくらげだった。
船よりも大きなくらげだが、ただひたすら波に漂っている。
こちらがその横に接近しても特に何の反応も示さない。
普通くらげは大抵プランクトンなどを食べているそうで、このくらげも大きさとは関係なく、プランクトンしか食べないようだ。
このくらげをしばらく観察してみることにする。
半透明の傘のような部分の下に無数のヒラヒラとした足が付いている。
足の先には七色に光る器官が付いていて、それが光り輝いている。
そして、傘のような体の中には、色とりどりの宝石のような固体が入っている。
それがどんな役割を果たすのかはわからないが、とにかくとても綺麗なクラゲである。
そのクラゲの周囲には、小魚たちが群れている。
魚を食べるタイプのクラゲではないようなので、小魚たちが住処として利用しているようだ。
小魚たちもいろいろなのがいる。
食卓に並ぶような、イワシやサンマの子供のような魚もいれば、熱帯魚のようなカラフルな魚も大勢いる。
中でも目に付くのは、星の形をした光る魚である。
半透明の体の中で鮮やかな黄色の光が輝いている。
体の形が星型なので、まさに海の星のようである。
こんな魚は地球では見たことがないので、ここは地球ではないのだろう。
しかし、呼吸は普通に出来るし、重力も地球と同じだ。
もしかしたらここが自分が今までいたのとそっくりな別の宇宙なのかもしれない。
その宇宙の地球にそっくりな星に、あの宇宙戦艦のエンジンの影響で飛ばされたのに違いない。
それならば自分が住んでいたあの町にそっくりなところもあるはずである。
早速その場所を探してみることにした。
まずここがどこか探ることにした。
ここが地球と同じならば、星の配置を見れば大体の場所が分かるはずである。
夜になるのを待って星を頼りに自分の住んでいた町を目指す。
星の配置に関してはほとんど知識は無いはずだが、必要となれば頭の中に知識が生まれ出てくる。
そんな不思議な状態にあるので、星に関する知識も必要なものだけはすぐに頭の中に浮かんできた。
確か黒猫座の右隣にある小鳥座の真ん中に輝く星と、小熊座の端に輝く白い星の間に引いた直線の先に街があるはずである。
船をその方向に向けて、星空を眺めながら眠りについた。
翌朝、快晴、そよ風が吹く。
この船は風を受けなくても進めるので、そよ風程度の風でも問題なく旅を続けられる。
船は順調に進み続けて、やがて陸地が見えてきた。
見覚えのあるビル群、雲の上まで突き抜けている塔、いろいろな物が懐かしい。
しかしここは地球ではないはずだ。
よく見てみると、町並みも記憶にあるものと微妙に違う。
いや、微妙どころか全く見覚えの無い町並みが、見覚えのある町と複雑に融合している。
やはりここは私が知っている街ではない。
とりあえず自分が住んでいアパートを探してみる。
道が全く変わっているので、探すのには苦労した。
人間が一人もおらず、道を聞くことも出来ない。
どこと無くすすけた感じで、人が生活しているという感じが全く無い。
なにか、博物館ある町の模型の中に迷い込んだようである。
あるいは、誰かが描いた絵の中に迷い込んだとも思える。
本当はここは別の宇宙ではなくて、誰かの描いた絵の中で無いのか、模型の中ではないのか、そんな気がした。
とりあえずアパートは見つけた。
いつの間にかに周囲は夜になっていて、ふと空を見上げると、見たことも無いほどの星が輝いていた。
そういえば街灯が無い。
夜だというのにどこの家も明かりをつけていない。
だから星がこれほどよく見えるのだ。
しかも車などの乗り物も全くなく、大気も澄みきっている。
この世界には人間が住んでいないのではなかろうか、そんな気がしてきた。
アパートの中に入ってみる。
全く見覚えの無い家具、内部は完全に他人の家だ。
となるとこの場所に用は無い。
町の中を歩いてみる。
しばらく歩くと踏み切りがあった。
電車が来る気配は全く無くて、まっすぐに伸びた線路の先はかすんで見えない。
ひと気の無い町並み、電車の来ない線路、静かな深夜の町に、半ば夢見心地でさまよった。