夢8
空は広い。
行けども行けども目的の星に到着しない。
何日すすんだだろうか、もはや数えることも忘れてしまった。
しかし、日に日に星空の景色は変化しており、どこかへと動いているという感覚はある。
そんな中、行く手に小さな島がぽかんと浮かんでいた。
その島は、周囲を透明のシャボン玉のようなもので囲まれていて、その中では鳥が飛んでいたりする。
中にはいるには、そのシャボンのようなものを通り抜けなくてはならないが、船がそれに触れても、割れることなく、すんなりと中に入ることが出来た。
目的の星にはいつになれば到着するかはわからないが、ここら辺で少し寄り道をしても良いだろう。
この島は、全体を深い森で覆われていて、動物も沢山居るようで、鳴き声があちこちから聞こえる。
空には幾種類かの鳥が飛んでいる。
見たことはあるが、名前の知れない鳥が自由に飛びまわっている。
くちばしが金色に輝く鳥、七色の羽を持つ鳥、宝石のような目を持つ鳥、炎のような羽毛に覆われた鳥、見た事も無い鳥が見て取れる。
鳥を見ていると、森の奥から人間の声が聞こえてきた。
「飴玉はいらないかい」
ささやく様な子供の声で、飴を売っているようだ。
船を下り、声のするほうへ行ってみる。
森の奥に、気の切り株の上に色とりどりの飴玉を並べて売っている一人の子供がいた。
「飴玉はいらないかい」
そういうと、切り株の上の飴玉のひとつを取り上げて言った。
「この飴玉は世界中のお菓子すべてと同じ味がするんだよ」
見た目は真っ青な、しかしそれ以外は何の変哲も無い飴玉だ。
幾らかと聞くと、お金では売らない、と言う。
きっと旅の途中で拾った物があるはずだから、それと交換しよう、と言ってきた。
たしかに、砂漠の真ん中で七色に輝く石ころを拾った覚えがあり、ポケットに手を入れるとそれがある。
それとなら交換してくれるというので、それと飴玉を交換した。
「飴玉をなめたいと思えばどこにでもいつでも行くからね」
子供はこの森の中、この島を操縦して宇宙を旅しながら、旅人に飴玉を売って歩いているのだという。
だから、旅人がこの森のことを思えば、そこへいつでも出向くのだという。
宇宙には不思議なこともあるものだ、そんなことを考えながらその島を後にする。
飴玉売りの島を後にしてしばらくすると、船の中に島の森の中にいた小鳥が入り込んでいるのに気が付いた。
青空のような青い羽、サファイアのような青いクチバシ、そして、金管楽器のような澄んだ鳴き声、旅の共には申し分ない。
小鳥はかごに入れずとも、逃げもせず、この船のあちこちに飛び跳ねては遊んでいる。
どうやらこの船が気に入ったようだ。
この鳥は不思議で、何も食べないし、眠りもしない。
時々空に向かってさえずっては流れ星を呼んでいる。
この鳥が鳴くと流れ星が流れる。
そして、そのかけらが甲板に飛び込んでは様々なモノを船にもたらす。
無限に沸く泉の固まり、光よりも明るい光の固まり、中からいくらでもボーロが出てくる不思議なつぼ、挙げればきりが無い。
次はいつ鳴くのだろうと楽しみになりつつある。
目的地への果てしも無い旅、すばらしい旅の友が、楽しみが生まれた。