夢 3 | ゆうきの話

夢 3


アパートの入り口を中に入ると、玄関の奥はキッチンとなっている。
キッチンの横にはバスルームがあり、その隣にはトイレがある。
その横には部屋が二つあり、その窓は庭へと繋がっている。
庭にはいくつかの木が植えられていて、花壇もある。
何気なく庭を眺めていると、どこからともなく小さな猫がやってきた。
白と黒のブチの子猫で、庭の草を食べ出した。
あらかた草を食べつくしたかと思うと、今度は木によじ登って木の葉を食べだした。
少し葉を食べたところで、今度はその木になっている赤い実を食べだした。
赤い実を何粒か食べると、その猫の毛の色が少しずつ赤っぽくなってきた。
見る見る全身が赤くなってきたかと思うと、少しずつ茶色に変わってきた。
完全に全身が茶色になったその猫は、木の上で昼寝を始める。
その猫のことをしばらく見ていたが、ふとトイレに行きたくなってきた。
キッチンの横にあるトイレの扉を開けると、そこは普通の10倍はある大きな器が用意されていた。
深さは普通のトイレと同じなのだが、器の面積だけが異常に大きい。
ためしに水を流してみると、勢いよく流れたか、なんだか空恐ろしい感覚に襲われたので、そのトイレを後にした。
バスルームはどうなっているのかとためしに覗いてみるが、こちらは特に変わったことの無い、一般的なものだった。
ただ、少しだけ薄暗い気がした。
そういえばすでに深夜なので周囲は真っ暗で、部屋にも明かりがついていなかったのだが、全体的に薄明かりに照らされているかのように見える。
空には月も出ていないが、無数の星が輝いていて地面をほんのりと照らしている。
夜中と言っても眠気は全くなく、とくにすることも無いので、この家の周辺がどうなっているのか気になったので少し歩いてみることにする。
確か、近所に公園があるはずであるが、実際にその公園はほぼそこにあった。
真夜中であるにもかかわらず、公園では何人かの人が遊んでいる。
そして何より、公園のいたるところに電柱ほどの大きさの水晶の柱が植えられていて、それが蛍のようにゆっくり点滅している。
滑り台の上に上った時、ふと夜空を眺めると上空に小さな流れ星が見えた。
次第にその流れ星は大きくなってきたと思うと、空中でピタリと止まった。
流星と思っていたそれは三角形の人工的な飛行機のようなものだった。
しかし、日常よく目にするようなものではなく、どうやって飛んでいるのかも全く理解できない、うすっぺらい黒い三角の飛行物体である。
ところどころぼんやりと黄色い光が点滅しているが、ほとんど真っ黒で、背景の星空を隠すことによってその輪郭が見えている。
暫く公園の上空に静止していたかと思うと、ゆっくりと西に向かって移動を始めた。
するとそれについてゆくかのように何機もの飛行物体が現れて、一緒に飛んでいった。
その光景に目を奪われていると、公園でそれまで遊んでいた人たちが一斉に公園から飛び出した。
何事かと下に目をやると、水晶の柱の間に青白い人間のような存在が突っ立っていた。
全身が青白く光り、背が低く無表情で外見的には人間にそっくりだが、明らかに異質の存在であった。
それがこちらを向くと、すべるうよに向かってきた。
直感的に危機感を感じた私は滑り台を滑り降りると一目散で家へと向かった。
何とか家にたどり着くと玄関の鍵をかけ、窓を閉めた。
しかしすぐに何者かの気配が玄関の向こう側に感じられた。
チャイムを鳴らすわけでもなく、ドアをたたくわけでもなく、突然のノブをガチャガチャとひねり出した。
鍵はきちんとかけてあるので開かないはずだが、それでも暫くノブをいじっていた。
暫くすると、その存在はドアを開けるのをあきらめたのか、ふと気配が消えた。
一瞬ホッとしたが、次の瞬間にドアのノブから白い煙が噴出してきた。
すると鍵がゆっくりと外れて、ドアが開いた。
私は、ドアの間から手が伸びてくるのを見ると、慌てて部屋の奥に逃げこみ、窓をあけて庭に飛び出した。
庭から道へ飛び出すとそのまま走り出す。
夜が明けてくる。
夜明けと共にその青白い存在はどこかへ消えてしまった。