ウェブ上にPDFで配信されている論文を読んでいると,たまに保護されたPDFにぶち当たる.日本の学会誌のweb版などに特に多い印象がある.これが結構やっかいで,論文中の文章を選択してコピペしたり,論文に書き込んだりすることが全くできない.僕は論文は印刷せずにPCもしくはiPadで閲覧や管理をしている.そのため,論文にマーカーを引いたり,書込みをしたりすることがどうしても必要なのだ.


電脳医師の研究日記


 保護されたPDFをビューワーで開いたところ.ウィンドウの最上段に,現在使用しているファイル名が表示されている.ここでは,t-PA時代の脳保護療法.pdf(保護済み)となっている.


 PDFの保護を解除するソフトはいくつか販売されているのだが(もちろんAdobe非公認),僕の知る限り,そのような機能を持ったフリーソフトは配布されていない.また,仮想プリンタソフトを使う方法を用いている人もいるようだが,この方法だと文字情報が失われて,画像情報だけになってしまうので,僕の用途には合わない.色々探した結果,Free my pdf というウェブサービスを見つけた.

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 これがFree my pdf のトップページだ.下段のchoose a file to unlockの参照ボタンを押して,保護を解除したいPDFをローカルから指定する.次にDO it!ボタンを押す.PDFファイルをサーバーにアップロードしてから変換するため,ファイルサイズによって10~30秒くらいの時間が掛かる.処理が終わると,ファイルのダウンロードを行うウィンドウが現れるので,ダウンロードして終了.あっけないほど簡単だ.このサービスは無料で使うことができる(Donationは受け付けている).


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 これが,保護を解除したPDF.(保護済み)の表示が消えて,ファイル名がt-PA時代の脳保護療法 [Unlocked by www.freemypdf.com].pdfに変わっていることが分かる.この画面のように,マーカーや書込みができるようになった.


 PCやiPadで論文を読む場合にはとても便利だ.「わざわざ設定されている保護をはずすなんで許されない!」と言う人もいるかもしれないが,論文を盗作しようとか悪用しようとかそんなつもりは全くなく,ただ書込みをしたいだけなので,そこは許して頂きたい.


 Yahoo!ニュースに気になるニュースが載っていた.以下引用.

 京都市北区で2月、7台が絡み、1人が死亡、12人がけがをした多重衝突事故で、運転手が認知症と知りながら運転を中止させなかったとして、京都府警交通捜査課と北署は16日、重過失致死傷の疑いで、同乗していた運転手の実兄(68)とその妻(63)=いずれも北区=を書類送検した。自動車運転過失致死傷の疑いで、運転手の無職男性(61)=中京区=も書類送検した。
 府警によると、男性は2008年ごろに認知症と診断され、兄夫婦の立ち会いのもと、医師から運転をやめるよう忠告されていた。男性は容疑を認めているが、兄夫婦は「認知症とは知らなかった」と容疑を否認している。警察庁によると認知症患者が起こした交通死亡事故で、同乗者の送検は記録にない。患者本人の立件も異例。
 2002年の道交法改正で、認知症と診断されたり、その疑いがある場合は運転免許取り消しか停止処分の対象となった。本人や家族が公安委員会に申告する必要があるが、府警によると、男性と兄夫婦は申告していなかったという。
 男性の書類送検容疑は2月27日正午ごろ、乗用車を運転中に認知症に伴う発作で意識を失い、北区北大路通西大路東入ルで信号待ちの車列に衝突、車6台とバイク1台の玉突き事故を起こし、男女13人に重軽傷を負わせた疑い。バイクの男子大学生=当時(20)=は意識不明の重体だったが、4月に死亡した。
 兄夫婦の書類送検容疑は男性の病状や医師の忠告内容を知りながら、運転を止める注意義務を怠った疑い。
 府警によると、男性は認知症の一種のアルツハイマーと診断されており、事故当時は、運転の仕方が分からなくなった可能性が高い。当初は「治療を受けて薬も飲んでいたのだから運転しなければよかった」と話していたが、今は運転したことも忘れている、という。

 引用終わり.

 2002年の道路交通法の改正で,認知症やその疑いのある人は自動車運転が禁止されることとなった.一方,同年の改正で,それまで無条件で欠格事由とされてきたてんかん患者は,「2年間以上意識消失を伴う発作を起こしていない」などの条件付きで自動車運転が許可されることとなった.認知症やてんかん患者の人権の保護と社会的な安全性の観点から,非常に重要な改正だ.僕は神経内科医なので,こういった患者の運転禁止を宣告したり,逆にコントロールの良いてんかん患者の運転を許可するような判断をする機会は多い.

 今回の事故を起こしたのはアルツハイマー病の患者だったようだ.しっかりと患者を管理できる家族がいない場合,認知症の診断後も運転を続けてしまう例は少なくないと思われ,本件は氷山の一角に過ぎないはずだ.「乗用車を運転中に認知症に伴う発作で意識を失い」,という部分の意味がわかりにくいが,てんかん発作を起こしたのだろうか?アルツハイマー病は一般人口と比較するとてんかんの合併がやや多いと言われている.

 僕の診察室では,患者家族がしっかりしている場合には,患者に「物忘れがあって,判断力がやや鈍っている.人を傷つけるようなことになってはいけないため,自動車は運転してはいけない」とお話しした上で,患者家族に患者に運転させないように指導している.尚,僕は患者自身にはアルツハイマー病そのものの告知は行わない方針だ(患者家族には告知とその後の予想される経過,対応などについてご説明する).一方,アルツハイマー病患者は一般的に病識がないため,運転禁止をお伝えしても,拒否したり,怒り出したりすることがある.そのような場合は,診察室でどれだけ話しても埒があかないので,運転免許適性検査を受けて頂くようにお話しし,行政に判断を委ねるようにしている.

 2009年の道路交通法の改正で,免許更新時に70歳以上の高齢者には高齢者講習,75歳以上ではそれに加えて認知機能テストも行われるようになった.まだまだ不十分な点はあると思うが,状況が少しずつ改善されてきていくことを期待している.
 大学院生という身分なので大学からは給料をほとんどもらっていない,どころか学費をしっかり取られている.そこで,生活のために当直のアルバイトに行くわけだ.これまでに色々な病院に当直に行ったが,病院によって当直中の快適さが全然違う.

 例えば,当直室にカップラーメンなどの夜食を用意してくれている病院がある.実際に頂くことはほとんどないのだが,こういう気遣いはありがたいな,と思う.一方で,定期的に当直に行っているある病院はこれまで当直した中で一番酷い.当直室はボロくてかびくさい,当直室のテレビが未だに地デジ化されない,いつまでもシャワー室のシャンプーが切れたまま,といった具合だ.先日当直に行ったときに,当直室のドアの取っ手が取れた時にはもう辞めてやろうかと思った(でも辞められない).それぞれはちょっとしたことなのだが,こういった細かなことにちゃんと対応できているかどうかってのは,その病院の診療の質とか患者満足度とも繋がってるんじゃないかな,と思う.
 仕事もプライベートも,PCのメールはすべてGmailで一元管理している.大学のアドレスに来たメールもすべてGmailに転送されるようにしているため,基本的にGmailだけ確認すれば事足りる.Gmailは迷惑メールのフィルタリング能力が高いため,迷惑メールが受信トレイに入ってくることはまずない.これは非常に大事なポイントだ.また,受信トレイは視認性が良く,メールの検索機能もこなれていて使いやすい.当然だが,GoogleドキュメントやGoogleカレンダーなどのサービスとの連携も良い.

 PC onlineにGmailを使いこなすためのシリーズが連載されていたのでご紹介.この記事で初めて知ったが,実験的な機能はLabsという項目の中で提供されているようだ.記事の中で紹介されていた,「Gmailの画面端にGoogleカレンダーを表示する機能」と「返信定型文を設定する機能」を使うことにした.僕はiPhoneでRefillsという自動的にGoogleカレンダーと同期するアプリを使っているので,Gmailの画面端にGoogleカレンダーを表示する機能はありがたい.また,返信定型文を設定する機能は,かなり使いやすい.「○○先生御机下.いつも大変お世話になっております・・・・・・」のような決まり文句は登録しておくと楽だ(全然心がこもってない).後は,いわゆる署名(××病院○○科 Tel 03-****-****,FAX 03-****-****)なども,複数パターンを登録しておけば,相手によって使い分けることができる.興味がある方は下のリンクから記事を見て頂きたい.


ここまでできれば免許皆伝? 上級者になれるGmail徹底活用(黒帯・Gmail師範)


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かわいらしいサイトとは裏腹に極悪と評判のカレログ.Android スマートフォン(OS2.2以降)に対応したアプリだ.その内容のひどさにあまりにびっくりしたので,ちょっとご紹介.


--以下引用-------

恋愛&家族の絆を支援するAndroid アプリ&クラウドサービス「カレログ」
大切な人から決して目を離さない最新アプリがついに登場!!

●カレログとは?
家族やパートナーが現在どこにいるかを把握するスマートフォンのGPS機能を用いた位置情報通知サービスです。あらかじめ彼氏や家族の持つAndroid携帯電話に、カレログアプリをインストールしておけば、彼氏の現在のGPS位置情報を常にあなたはチェックすることが可能です。

●カレログ サービス概要
【無料体験会員&本会員】
★彼氏や家族の携帯の位置をGPSで特定できます。
★端末のバッテリー残量もわかるから、「電源が切れちゃった」なんて言い訳は通用させません!
★サービス利用はバックグランド操作で行うから、どのタイミングで情報取得しているかは彼氏の端末で一切わかりません。

【プラチナ会員】
本会員の機能に加えて…
★さらに!
彼氏の携帯電話通話記録まで、リアルタイムに入手可能!
もう浮気や電話代の無駄使いは絶対にさせません。
★さらに×2!
彼氏の携帯電話にインストールしたアプリも丸わかり!
出会い系アプリやHなアプリを入れてもすぐにチェックできてしまいます!

--引用終わり----


テレビやネット上でも非難の嵐.また,ウイルス対策ソフトMcAfeeにはスパイウェア認定された.「カレログアプリは、携帯端末にインストールする時に、端末所有者の同意をとってご利用ください。」と書いてあるが,普通同意しないだろう.サービスが開始された8月30日以来,既に5000人を超える利用があるようだが,そのうちのほとんどは彼に無断でインストールしたか,嫌がる彼を説き伏せて無理やりインストールしたのではなかろうか?こんなアプリを喜んで使う彼はまずいないはず.ストーカー行為に使われたりしたら最悪だ.

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 こちらは初期バージョンをインストールした画面.「彼氏が他の人にスマートフォンを見られたときに恥ずかしくないように」と,カレログのアイコンはGPS Control Managerというアイコンに偽装されている.これはかなり苦しい理由付けで,「こっそりカレログをインストールしたことがバレないように」しているとしか考えられない.


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 各方面から非難を受けて,アプリのバージョン1.1.0では,アイコンが変更になって,カレログと表記されるようになったし,取得されたデータが彼女に送られると同時に,自分のスマートフォンにも送られてくる仕様になった.これで,彼に内緒でインストールするとことが難しくなったようだ.

 カレログの一連の騒動を見ていると,運営会社は相当モラルが低くて怪しげと言わざるを得ない.このサービス自体が年額2000円程度と有料なので,そこからの利益はあるだろうが,別な狙いもあるように思う.このような通話,利用者の位置,インストールしたアプリなどの情報は,マーケティングにおいて非常に貴重なのだ.この会社なら,そういった貴重な個人情報を他の会社に売り渡すことによって,もっと大きな利益を得ているはずだ.

 スマートフォンの普及に伴って,怪しげなサービスや個人情報を狙ったウイルスなどの被害も増えてきているので,気を付けないといけない.とりあえず,妻にはこんなアプリがあるということは伝えないでおこう.