本日、ギリギリ更新。…果たして今日中に書き綴り終えられるのでしょうか…なんだかんだと指を滑らせるのが遅いのです。

本日は「寄席の流れについて」書き綴らせて頂きます。

昨日書かせて頂きましたが、寄席は昼の部・夜の部、それぞれ4時間ほど。
その間に何が行われるのか。

勿論、面白い事なのですが、順番などがあるんです。


その前に…これを説明しないといけませんね。

「落語家さんのポジションについて」

よく、真打だ前座だと言われますが、これってどういう事?という事を先にお話させて頂こうかと。

落語家さんのポジションは3つ。

前座、二つ目、真打と3段階。

平たく説明すると…

前座さんは弟子入りして寄席などの楽屋で師匠達のお世話をしたり、師匠のお家で掃除をしたり、寄席の高座にある座布団を返したり、捲りを返したりします。それも修行だそうです。
落語をと言うより、落語家になる為の修行のよう…

因みに高座に座布団は落語などが1つ終わる度にひっくり返します。これが所謂、「高座を返す」という奴です。
返す時にも座布団の縫い目が無い方をお客さんに向けるそうです。

「お客さんとの縁が切れない様に」というゲン担ぎだそうです。趣がありますね。

また、「捲り」とは高座の横に出す、大きく名前が書かれた紙の事です。
高座に居る方の名前が出てます。これを見たら高座に出てる人が誰だか一目瞭然。素晴らしい。

続いて二つ目さん。前座修行を明けてから真打になるまでの期間の落語家さんの事です。ザックリ過ぎる。前座の次だから二つ目…分かりやすいですね。

まだ、一人前ではないようです…

二つ目になると、自分の手拭いが作れます。名刺代わりにもなり、大事な道具の一つ。重要です。
あと、羽織も着れます。自分の一門(師匠と同じ)の家紋入。この間は落語の修行をたんまり出来るそうです。古典をやりたい方は古典落語をたっぷり覚えて、新作をやりたい方はたっぷりと作ります。

最後に真打。所謂、一人前の落語家さん。お弟子さんも取れます。前座から真打になるまで人によりけりですが、15年ぐらい。あとはずーっと真打なのです。あと「師匠」と呼ばれるようになりますし、寄席などでトリも取れます。
トリとは一番最後に出て来る人です。どう凄いかは…これから、これから。

落語家さんのポジションについて説明させて頂いた所で本日の本題。

「寄席の流れ方」

開場して10分程すると太鼓が鳴ります。…まだ寄席は始まりません。映画やライブなどで開演5分前を知らせるブザーのようなものです。

そして、更に5分後に再び太鼓が鳴ると…

前座さんが出て来て、落語をやります。

「開口一番」と呼ばれます。

実はこの前座さんの落語は料金に含まれてません!なので、プログラム(香盤や番組表などと呼ばれます)にも名前は載らないのです…

前座さんの落語は「前座噺」と呼ばれて、落語の基礎の様な落語。基本的に寄席では古典落語です。新作落語をやりたい人も古典落語。基礎が大事なのですね。
登場人物も少なく、笑いが多くて分かりやすいです。時間は15分。
元気いっぱいの前座さんの落語は観ているだけでニコニコ笑顔になります。

続いて二つ目さんの落語。

前座さんに比べてプロ感が増します。古典落語もちょっと複雑に、新作落語家さんは新作落語をやる事も。時間はこちらも15分ほど。

因みに二つ目の方が出れるのはこの時間帯のみ。基本的にはトリの方のお弟子さんや兄弟弟子の方などが出られます。
お弟子さんの多い方がトリの時は二つ目の方が日替わりで交互に出たりします。

続いて真打の落語家さん。基本的には真打になって年数の若い(と言っても、真打になって10年でも若いと言われる世界です…)真打の方が出ます。
落語も簡単なものからマニアックな物まで。幅広い噺が聴けます。

そして、続いて漫才やら奇術(所謂マジック)、紙切りや三味線など「色物」と呼ばれる落語以外の演芸の方々が出ます。

そして、その後は落語、落語、色物の順番。

落語2に対して色物1の割合。
これには理由があります。

落語はただ落語家さんが座布団に座って右向いて、左向いて、面白い話をお喋りするのですが…

想像力も必要とされるのです。

ボーッと落語を聴いていると…

おお、頭の中にご隠居が出て来て、八つぁんに物を教えてる。

目の前で演っている内容が頭の中で映像になるのです。

そうすると…頭が疲れます。4時間落語を観続けて居たら現実に戻れません。現実逃避にはぴったりなのですが、それでは大変だろうと言う事で間に色物の方が入って頭をリフレッシュしてくれます。素晴らしいです、寄席の配慮。


大体、開演してから2時間半後ぐらいに仲入り(休憩)が入ります。

トイレやタバコはこの時に!ご飯も食べて後半戦へ!

後半も同じ様な流れです。

で、一番最後に出て来る人。トリ。主任とも言います。
10日間の興行(専門用語で芝居と言うそうです)で一番偉い人です。

この方の持ち時間(落語を演れる時間)が一番長いです。30分から40分。前座さん達の倍以上の時間です。

トリの方の落語が終わると、その部は終了です。

こんな流れ。

夜の部も同じです。


で、寄席の凄い所。

昼の部・夜の部、それぞれ10人ぐらい出てきます。合わせて20人。

この20人が…

全員違う落語を演るのです。

中には一日居る方も居ます。そういう方の為にも同じ落語は演らない決まりになっています。
楽屋で前座さんが「ネタ帳」と言う物をつけてます。誰が何の落語を演ったか記録するのです。

それを見て落語家さんは前の人とネタが被らない様にします。

つまり…落語家さんは高座に出て来て、何の落語を演るか決めるのです。
家でどんだけ練習しても前に出た人が演ってたら出来ません。

凄い、本当に凄い。

一番凄いのは夜の部のトリの方。散々落語が出た一番最後に演らなきゃいけないのです。

逆を言うと夜の部のトリになる人はそれだけ出来る落語が多い人なのです。

凄い、本当に凄い。(思わず2回目)


この事を知ってから私は思うのです。

「寄席は生き物だ」と。

寄席はあくまでも場所なのですが、生身の人が出て来て、違う噺をする。毎日変える人も居ます。

一日、一日変化しているのです。

これはもう、生き物です。


そんな素晴らしい空間。

ご興味を持って頂けましたら幸いです。


そして!ようやく!とうとう!

明日(気づけば日付が変わって今日になってしまいましたが…うう…)

寄席に行くので、ようやく題名に書いていた感想文が書けます。

長い道のりだった…

明日以降はマニアックな内容になるかもしれませんが…読んで頂けたら幸いです。

雨華





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