そしたら
もう、だんだん汽車がはやくなるのに手を離さない。

引きずられそうになるまで。

もうこんなに
泣いてしまった。

涙ポロポロ流しながら走って。

そしたら
ついに
彼は
ついに手を離して。

そして
手を
ふっているのを
今でも
覚えています。

それっきりでした。

その数日後
彼は
南の空に
散りました。

終戦まで
あと1ヶ月の
ことでした。

女性

「あのとき、私の手を握っていった人、その他にもいろいろと思い出のある人がいっぱいいるんですよ」

「その人たちの亡くなったかたの魂が私に入っているんじゃないかと思います」

そして、藤岡さんが、彼女のために出会いの感謝の気持ちとして、自らが熱中するコーヒーを入れました。

女性

「うわぁ、すごいコク」

「おいしいです」

藤岡さん

「苦味の中に甘味がある」

「なんかこの人生もそのような感じがする」

女性

「いろんな苦しいこと、つらいこと、生きてきて、8割がつらかった」

「よろこびは2割だった」

「このコーヒーを飲んで味わっているうちに、やっぱり味わえば、8割が2割に逆転すると思いました」

「ありがとうございました」

藤岡さん

「心から感謝申します」