だいぶ間が空いてしまいましたが、週末を使ってぼちぼちまとめていこうと思います。

今回は、Barrier Conceptについて。


Barrierというのは、An obstraction; a factor that tends to restrict free movement とテキストでは定義されています。自由な動きを制限する障壁、とでも訳せましょうか。



Manual Medicineのゴールである restore maximal, pain-free movement(痛みを伴わない、かつ最大の動作の回復。。。。日本語訳難しい!)を達成するには、どの動きが正常で、どの動きが正常でないかを判断できなければなりません。

そこで使われるのが、前回か前前回に書いたART(Asymmetry、 ROM abnormality、 Tissue texture abnormality)で、Diagnostic Triadとも表現されます。評価の三神器とでもいえましょう。


特に、hypomobleの場合には、それが筋肉、骨、関節、靭帯、筋膜、滑液の何から起因しようと、manual medicineのテクニックが可動域の改善において有効になります。

(自分の経験からではないので、そこはご了承のほどを)



Movement(動作)についても少し。


動作にはinherent movement, voluntary movement, involuntary movementの3種類があります。inherent movementの例としては、脳や脊髄(coilingとuncoilingの反復動作が起こっているそうです)や呼吸、つまり生まれつき存在している必要不可欠な動作です。呼吸といえば、息を吸う時には

脊椎のカーブは減少して四肢は外転、息を吐くときは脊椎のカーブは顕著になり、四肢は内転します。これはトリートメントの際に知っておくと違いが生まれると思います。


voluntary movementは骨格筋による能動的な動作や意識的なコントロールに基づく動作。これは説明はいらないと思います。


involuntary movementは受動的な動作や、joint-play(またはaccessory movement)と呼ばれる動作が含まれます。Joint-playにはroll, spin, slide, compression, distractionが含まれ、通常の可動域(伸展、屈曲、内外点、内外旋などなど)としては考慮されていませし、意識的にできる動作ではありませんが、正常な能動受動どちらの動作を達成するには必要不可欠です。Joint-playを回復させるにはJoint mobilizationテクニックが一番有効だと聞いています。


さて、では本題である動作の制限について。

通常、動作は関節、筋肉、靭帯、筋膜によって制限されています

これが外部からの力などによってanatomic barrierを超えてしまうと、骨折や脱臼、靭帯の断裂などにつながります。

四分之三熟卵-barrier concept



この図は、一つの面での対となる二つ動きをセットとして考えると説明がつきます。

股関節の屈曲伸展を例にすると、片方の端は伸展動作のbarrier、もう片方の端は屈曲動作のbarrier。

ですので、伸展が20度で屈曲120度だとした場合、midpoint neutralはanatomical positionや0度ではなく、50度の屈曲位置になります。



では次の図を説明していきます。


四分之三熟卵-bc2


最初のバリアであるphysiologic barrier。

能動的にその関節を動かせる限界点、つまりactive range of motionはここで測ります。

制限は主に筋肉と筋膜の緊張によるもので、筋膜リリースはこのバリアを広げるのにとても効果的です。

四分之三熟卵-bc3



次は、その先にあるelastic barrier。
四分之三熟卵-bc2

これは受動的な可動域(Passive range of motion)の限界点。

図にあるように、active ROM < passive ROMが基本です。

傷害によってこれが逆になるケースもあるようですが、とても稀で自分は見たことがありません。

このバリアに当たった時には、筋肉や筋膜だけでなく、関節やその周囲の靭帯などの組織全てに緊張がかかります。


さらにその先はanatomic barrierといい、まぁ”超えてはいけないバリア”といえます。

これを超えると、先に書いたように骨折、脱臼、靭帯の断裂などが起こります。


Elastic barrierとanatomic barrierの間にはparaphysiologic spaceと呼ばれる少しだけ”遊び”があります。カイロプラクターが行う、あのバキッとやるやつは、このスペースの中で行われるというわけです。



体が正常な状態の場合は、上記のバリアたちによって動きは制限されますが、障害などによって動きが制限される事はアスリートのみならず起こります。

この制限をつくるバリアは、Restrictive barrierと呼ばれ、動作の減少(motion loss、restrictive barrierとelastic barrierの間)を引き起こします。


四分之三熟卵-bc5

また、restrictive barrierの存在により、”pathologic neutral”という仮のmidlineが発生します。片方の方向から制限されて減少した可動域の中間点なので、motion lossとは逆の方角にシフトします。
四分之三熟卵-bc4

Manual medicineの目的は、このrestrictive barrierをmotion lossの方向に向けて押しやることです。(もちろん、取り除けたらそれはベストですが)

最後に、 “ease”と“bind”のコンセプトを少し。シンプルですが、manual medicineのテキストでは良く使われる言葉です。

単純に言えば、midlineからbarrierに向かう動きには抵抗が増え(bind)、その逆、midlineに向かう動きには抵抗が減る(ease)というもの。

では、restrictive barrierが存在するときの基準点はmidline neutralとpathologic neutralのどちらになるでしょうか。

これは、後者が基準になります。


次は、今回のコンセプトを基に、ERS/FRS dysfunctionをまとめます。