『ポイズン』展 | 松田珠江 tama工房通信

松田珠江 tama工房通信

人形作家松田珠江の作品展示を告知します。

今年もまた代官山アートラッシュ様にて『ポイズン』展に参加致します。

2021.11.10(水)~2021.11.23(火)

AM10:00~PM6:00 火曜日定休 11月23日は定休日ですが祭日ですので営業致します!

 

この数年『ポイズン』展に参加させて頂いておりますが、あ~、あっという間にまた一年が経ってしまった。

という感じです。

そんなわけで、月日の流れの速さがただただ恐ろしくもあり、同時に嬉しくもあります。

 

今回も私のテーマは

Similia smilibus curantur.  似たものが似たものを癒す。 

  

Similia similibus curantur.

 

蛇毒は神経毒、出血毒、筋肉毒に大別されます。

毒を持つ蛇の多くはコブラ科、クサリヘビ科、ナミヘビ科に属する蛇で、蛇全体の種類のうち

およそ25%なのだそうです。なので、すべての蛇が毒を持つというわけではないようです。

 

この蛇はLachesis muta(ラケシス ムタ)、というクサリヘビ科のブッシュマスターを

イメージして創りました。但し実際のLachesisはかなり大きな蛇のようです。

この蛇の毒は赤血球を破壊し血液を止まりにくくするので、大量に出血させます。

また、咬まれた時に毒が静脈に入ると心臓の神経に作用し即死するそうです。

しかし、この蛇は元来自分の獲物以外の対象に対しては大人しく、原生林の奥深くに生息しており、

完全夜行性のため人を咬むことは滅多にないとされています。

 

この蛇毒の持つ毒のパターンは、出血に関する問題や心臓や

女性の更年期の問題に良いとされます。

もちろん毒そのものをそのまま使うわけではありません。

この毒の持つパターンが同じようなパターンを持つ症状に親和性を持つのでしょう。

 

かつて、ギリシャの医師ヒポクラテスが唱えていた類似の法則では、

似たものが似たものを治すという原則に立ち、

健康な人に病的症状を起こさせる作用のある物質は、

病気中に現れる類似の症状を癒すことができるとされています。

 

蛇には、良いイメージを抱く人はあまり多くはいないかもしれません。

しかし、蛇には”邪悪”とか”恐怖”、”醜く唾棄すべきもの”というイメージとともに

またそこには、“智慧を授けるもの”という全く反対のイメージも出てきます。

そして蛇には”水”のイメージもあります。

昔話に出てくる大蛇は大水や洪水をシンボライズしたものだという考察も多々あります。

そして水は多くの生命の源を内包しているものです。

 

私達は、物事を善きもの、悪しきものと断じる二元論の世界で多くの時間を生きてきました。

しかし、世界は、陰陽を表す太極図のように物事を二元論で断じることはできないものです。

 

蛇の毒は私達を害することもあるかもしれません。

しかし同時にその毒は私達を救い、癒すものにも成り得るのです。

 

今一度私達は自然の法則に立ち戻る時が来ているのかもしれません。