夜勤!
休日の、遊び疲れた深夜4時まえ、恋人らしい男女が駅の階段を下りたところで話がこじれたらしい。向き合ったまま案山子のようにそこを動こうとしない。まばらな通行人が脇を通り過ぎても女は気にせず首を振る。男は従おうとしない女に困り果て、立ち尽くす。
……。
恋愛が楽しい時期の、よくある〝ケンカ〟だ。だから女は涙を堪えて言葉にもせず、ただ動こうとしない。〝相手〟にじっくり時間を掛けて成り行きを委ねることでもそれはわかる。
〝甘ったれ〟のケンカ!
ボクはタクシーやら一般車の誘導をしながら、しばしば視線を送る。
……約30分が経過しても二人は1センチも移動しない。
(〝ふたり〟だけの世界を公衆の面前でずっと…、まったく迷惑な話だ!)
そこで痺れを切らしたボクの出番となる。
業務用のチョーク(駐車違反で警察が地面に書き込んでるのと同じモノ)で二人の立ち位置を正確に囲む。
翌日の事件現場の床や地面に描き残された白いひとがたの線のように、ボクは丁寧に速やかにそれをやり終えて、
「……」と、
二人を見る。
……? と二人。女のほうは普通に驚いている様子。男はそれでなくとも手に負えない状況が妙な男の出現にもう(何がなんだか…プチパニック状態で)対応できず、困惑の顔にもなんとか〝これ以上こじれない〟ように引き攣った笑顔を浮かべて
「えっエ? エ、何ですか…?」
「気にしないで」とボク、「これも市から請け負った警備員の〝仕事〟だから!」
と時計を見る。
「4時…えーと、37分かぁ~!」
今日はココまで! (続きはWebで!)?