駅に急ぐボクの前に猫が現れノコノコと路地を横切り、反対側に止めてある車のバンパーの匂いを嗅ぐ。
(コイツ等には仕事に出掛ける〝憂鬱〟というのが無い!)と思いながら、舌をまるく鳴らしてボクは呼びかける。
すると猫は歩調もそのままに見向きもせず黙って、車の下に潜りこむ。それからまるで力尽きたみたいに身体をゴロンと倒す。そしてようやくボクと目を合わせる。(猫は下から見ているが〝上〟から目線)を…感じる。…ボクの気のせいか?
6月の晴天、まだ朝といえど初夏の日差しは汗がじわじわと浮かぶくらいに鬱陶しい。この猫も陽が上るとともに縮んで居られなくなった日陰から真新しい日陰を求めて移動してきたらしい。
(コイツ等どこでも横たわる事ができていいよな!)と思いながら誰のモノか知らない車の下に手をのばして、
「オイデオイデ…」と舌先を前歯の裏に当てて〝チュッチュッ〟と鳴らしてこっちへ誘うボク、その額に汗が浮かんでる気がして…ボクが車の下に潜りこんで行くべきなんじゃないだろうかと、ちょっと考えてしまう。
(それならいっそ海に行こう!) …みたい気分が沸き起こって、方向を見失いそうなネガティブなボクは、脇の下をペロペロ舐めて寛いでいる猫を羨ましくみてしまう。
(オマエはいいよな~!)
としみじみ思いながらもうちょっと粘ってみようと考えていると、
「ウチの猫の写真撮ってるのぉ~?」
と声がする。
「え?」とボク、(写真は撮ってないぃ~!)のに…???…妙な誤解?な感じのオバサンの声に振り返ると、
(あっ、写真撮ってるぅ~!)とボク、背後でカメラを構えた女に気づく。
「あ…、ごめんなさい、…」とその女、しゃがんだ格好のままカメラを膝に乗せてかるく頭を下げる。
「いえ…」とボク、頭を同じように下げて返す。が、ちょっと人見知りのぎこちなさが滲んでいたかも。
「あとでその写真もらえる?」とオバサン、「ウチの猫だから!」
「あっ、ア~…」返事に困るボクは女のほうを見るが、女もそれには返事が返せないでこっちを見ている。
(どうしよう、勝手に判断できない!)
「いいですよ、後で写真ができたら届けます」 ボクはそう返事をしてオバサンの家を教えてもらう。
とりあえずここまで!
つづきはWEBで!
ん?