と言われて、
「あっち行くわけないジャン、アンタ待てと言われて待つドロボーがいると思う?」
と少女漫画のヒロインのように巻き巻きした頭の渋谷ギャルは「だからイかなァ~い! アンタ行け!」
と唾を吐くみたいに言葉をボクに吐きつける。
そして綿雨みたいにフワフワした髪のなかにこじんまりと収まった狐顔が言う。
「リズリサ買ってぇ!」
「は?」 とボク、「小野りさ?」
狐、「り、ず、り、さァ!」
ボクは首を傾げて〝コイツ本気で買わせる気だ!〟(信じらンね~!)と自分が関わってはならない人種と無駄な時間を過ごしていることを思い知る。
ボクは出来る限り遠くに小枝を投げるフリで、
「ホラ、取って来~イ!」
……(沈黙)、そして冷たい雨の音が静寂を包み込む。
綿アメ頭のキツネ顔ギャルが一言。
「なんも投げてねェ~ジャン!」
……。
(そんなことよりオメェの髪型なんとかしろ!)
とボクは思っても、言わないで、
ため息をつく。