さてと、出掛けるつもりで切れたカメラの電池を買ってきたのに当日は雨、ウ~ン…寝る。
…眠れない。
気掛かりな桜の花の寿命!
雨…。
仕方ないので、〝雨の桜日和〟になるかも…と考えて、出掛けることにする!
春雨が花弁を打ち、不機嫌な風が地面に落下させる。地面に出来た雨水のゆるやかな筋が用水路を経て川に叩き落す。
川面に浮いた微かなピンクが一面すき間無く郊外を流れる川を被う。
「都会で見る〝天の川〟と言ったところか…!」と呟いて、
ボクはカメラのファインダーを覗く。
すると、ニョッキっと〝お皿〟が川面を突き破る。
「お、河童だぁ!」
と人間の声に河童が反応すると思いがけず、目が合ってしまう。
「こんにちは!」 とボク、「写真撮ってもいいですか?」 と丁寧に尋ねる。
少し返事に躊躇して首を横に振る河童。〝お皿〟に桜の花びらが貼り付いている。一枚、三枚…数枚とボクは数える。
若い河童はそれに気づかず土手や川辺りをキョロキョロ見て何かを気にしている。ボクの他に誰かに見られていないか心配しているのか、とボクはその様子を窺う!
そして辺りに人の気配は無いと察してまたボクの目を見る河童、そしてボク、「〝シャシン〟って分りますか?」
またすこし躊躇いながら河童は首を横に振る。
「やっぱり〝写真〟の意味が分らないんだ!」とボク、まだ断られた訳じゃないんだと少し安心して「コレ、カメラ、オス、パチリ、シャシン! オーケー?」
とボク、一生懸命意味ワカンナイ説明をしてしまう。
首を傾げる、と河童は咄嗟に川面を両手で叩きイルカのように跳ねて、お皿から水中に飛び込む!
「あっ、逃げた!」 と慌てて悔しがるボク、やっぱり勝手に撮っとくべきだった(街で見掛けた〝芸能人〟扱いでよかったんだ)と反省する。
雨が冷たい。
「それにしても河童の下半身は〝足〟じゃないんだ、〝尾ひれ〟なんだ!」
という新事実を誰に話そうか、ちょっと興奮気味。