僕は夢を持つ事は、
もちろん良い事だと思うけど、
夢が見れるのは、
色んな人達の助けや、
夢見れるだけの環境があるから、
きっと見られるんだと思うんですね。


お金があるとか、
ないとかではなく、
支えてくれる仲間がいるとか、
気にかけてくれる人がいるとか、
そういう環境って意味です。


スラム街で育った子どもの中にも、
ヒップホップスターになる子もいれば、
バスケ選手になる子もいる。


お金だけのの問題じゃないんですね。
夢って。


成功者らは皆、
自分がこうなれたのは、
支えてくれた家族や仲間のおかげと言います。


僕は一時期、
ひねくれてましたので、
これは嘘だと思っていました。


そう言っていれば、
好感度があがるから、
事前にこう言えと言われてるんだと、
本気で思ってました。


でもこの年齢になり、
いよいよ僕にも、
大切な仲間と言える人達が増え、
その人達に支えられ、
安心して生きられる環境が手に入り、
ふと自分の人生を考えた時、


『失敗してもいいやん。
 俺にはこいつらがおるやん。
 チャレンジして、
 失敗しても支えてくれるし、
 成功させようと思ってくれる奴らやん』


という思いが沸き立ちます。


何と心強いんでしょう。
この大切な仲間という存在は。


逆に、
仲間の誰かがチャレンジするなら、
僕はきっと、
何の努力も惜しまないでしょう。


そう思える人達がいて、
初めて僕は夢を見ています。
実現させたいと願い、
日々努力しています。


たくさんの心に傷を負った子ども達。
たくさんの悩みに、
がんじがらめになってる子ども達。


そんな鬱積したものを、
あの年齢で抱え、
夢を持てとは僕には言えない。


彼、彼女らに夢を持ってもらうため、
僕は彼、彼女らの応援団団長であり、
支える仲間の一人になりたい。


そして、
いつか夢を持ってくれる日まで、
ずっと支えていきたい。


そういう人達を増やして、
僕が今感じてるように、
安心感の中で夢を持ってほしい。


ドラマ&映画『ROOKIES』でも、
あれだけ仲間がいて、
応援してくれる先生やマネージャー、
教頭や保健室の先生がいるから、
彼等は夢を見れたし、
それに向かって頑張れた。


まず夢じゃないんですよね。
まず人なんですよ。


だから、
小学生で夢を持ってる子ども達が、
全員夢通りの職業に就けるわけじゃないのは、
あの頃見た夢を実現させるために、
努力すべきは


『仲間を作る』


事だと、
理解していたかどうかじゃないかな。


それを小学生に強いる教育は、
どうなの?
と思うけど、
夢は確かに人を成長させる。


持てるだけの環境作り。


それが僕らの仕事であり、
大人の役割なんだと思う。


先日書いた日記に登場してくれたリエ。
彼女は手話を学び、
手話の普及と、
もうひとつ。


『ペットショップ』


を開くのが夢だと言いました。


気付けば、
病院の院長はじめ、
看護師の方々や、
入院していた同部屋の友達、
そして僕や僕の事を応援してくれる人達、
全てが彼女を支えていました。


だから彼女は夢を持てた。
支えがあるから。


支ええくれる人がいないと嘆かないでも、
きっと周りに信じれる仲間や、
応援してくれる大人はいる。


いないと言うなら、
僕が立候補する。


きっと僕の仲間も、
気持ち良く応援してくれる。


このblogを読んでくれる人達の中にも、
僕が紹介した事例の、
被害者の子ども達を応援したいという人は、
全くもって少なくない。
めちゃくちゃ多い。


だから、
夢を持てではなく、
夢を持てるように、
たくさんの人達と出会い、
仲間を増やし、
安心できる環境を作ろう。


そんな人には、
必ず夢が近付いてくる。
放っておいても、
夢の方から寄ってくる。


夢を持てないのは、
今ご自身が孤独の中にいたり、
人と自分さえも信じれない、
そういう状況に追い込まれてきたからです。


これからは違う。
たくさん仲間を作って、
夢見れる可能性を広げよう。


そう思うきっかけをくれた、
アメブロの読者の皆様、
ありがとうございますm(__)m


いつか借りは返します(^-^)

中高生のメール相談をしていて、

よくある事象がこれ。



眠剤を飲まない。



リストカッターや、

不登校の子ども達、

それに、

夜の街に逃げ込み、

出れなくなってしまった子ども達。



総勢約3,000人もの子ども達が、

僕にメールをくれます。



7割以上が女の子。



そして、

夜の街に逃げ込んだ女の子で、

その身で稼いでいる子は、

400人近くいます。



店側は、

未成年とは知らなかったと言ったり、

本番はさせていないと言いますが、

残念なことに、

働かせる時点で罪なのですが、

本番してでも客を取って来いと命令する店舗もあり、

特に昨今の不況もあって、

店の売り上げが落ちれば落ちるほど、

そういった指示が増えるそうです。



そのいわゆる風俗店で働いている未成年の数は、

かなりのものです。



もちろん通報します。

法律違反ですから。



新風営法を守れないで、

営業は続けれません。



そういった店舗に勤務した事のある子なら、

まだ店という責任者がありますので、

罰する事もいわば簡単なのですが、

問題は、

いわゆる『ウリ』をしている子ども達です。



それが良いか悪いかという指摘ばかりする大人を、

徹底して不信に思い、

こちらの話もなかなか耳に届きません。



それに、

自己申告や、

他からの情報リーク頼みですから、

誰がどこで何をしているか、

僕とて把握などしていません。



それが管理されている場合など、

とてもじゃないけど、

相手はその筋の人間ですし、

太刀打ちできません。



相談に乗り、

場合によっては警察に通報。



僕にできる事は少ないのかもしれません。



だけど、

その子達の多くが、

精神を病み、

薬を服用しているケースもまた多い。



でも、

冒頭に申し上げたように、

なかなか薬を服用せず、

規則正しい生活ができないので、

処方を守れない。



結局まばらに飲むものだから、

効いているのか効いてないのか、

わからない状態で、

治療とはほど遠い状況が続き、

薬飲んでも治らないという誤解が生まれ、

さらに状況を悪くします。




そもそも眠剤というのは、

服薬してからすぐにベッドに入れば効果もあるんですが、

服薬してから、

ごそごそ用事をしたり、

趣味に興じたりしていると、

逆の効果を発揮します。



目が冴えて逆に眠れなくなるんですね。



一番良いのは、

心地よい疲れを感じる程度に運動し、

食事をとり、

お風呂に入り、

ストレッチをし、

落ち着くもの(例えばホットミルクなど)を飲み、

休憩をし、

そろそろ寝ようと決めて、

ベッドに入り、

眠剤を飲んで、

あとは横になって眠りにつくよう、

頭を静かにしておく。



これが眠剤の効果を一番発揮する方法なんですね。



飲んであれこれしていたら、

逆に眠れなくなる効果を持つものですから、

飲み方、

それに至るまでの道筋で間違いがあっては、

効かないという状態になります。



リストカットの女の子達と、

一時期2つの治療に向けた行動をとっていました。



徹底的に体を疲れさせる。

テニスや水泳など、

普段やった事のないような運動より、

興味のある運動を、

疲れるほどやってもらいます。



そしてそれぞれの親御さんに、

吸収率の高い食事を用意してもらい、

食べた後はしばしマッサージタイム。



そしてお腹が慣れた頃にお風呂に入り、

半身浴をしてもらい、

落ち着く香りの入浴剤を入れて、

1時間(人によって違うけど)ほど入ってもらいました。



風呂上りに、

急激に冷たいものを飲ませず、

ぬるめのココアや、

ホットミルクなどを出してもらい、

一日どんな運動をしたのか話し合ってもらい、

お薬を服用して、

ベッドに入ってもらうようにしました。



効果絶大でした。

かなりの率で、

子ども達はリスカしてる間もなく、

眠りに入っていったようです。



そういう生活ペースを続け、

治療に向かうよう支援しました。



もう一つは、

日本は仏教国である側面と、

他文化、

他宗教が存在する国でもあります。



近所にあるお寺や、

キリスト教の教会などとタイアップし、

1ヶ月ほど合宿をしたりしました。



神聖な場所で、

唾を吐いたり、

タバコをポイ捨てしたり、

祟りを恐れてなのか、

神を信じているからなのか、

できないのと同じです。



神聖な場所でリスカする事は、

子ども達にとっても憚れるものなんでしょう。



リスカせずに1ヶ月過ごせました。

それに乗じて、

規則正しい生活習慣の中で、

お坊さんが薬を飲むようにやさしくすすめてくれて、

服薬時間を守れるようになったりしました。



これまた効果てき面でした。



高野山や、

近所のキリスト教の教会などは、

とても気さくに子ども達を受け入れてくれるので、

こういった優良な宗教であるなら、

世に回ってもプラスだろうなと思う次第です。



といっても、

僕は無宗教なので、

いっぱいいる神のうち、

どの神を信じるかなど、

考えた事もありませんが。



この時ばかりは、

神さんに感謝しました。



ウリをしている女の子達も同様でした。



ただし、

家に帰ると、

彼女らを鬱屈させていた原因の、

最多ケースである



『家庭環境問題』



が解決していないので、

家に戻ると、

精神的な状態も悪い方へと戻ってしまうケースが多く、

治療できていても、

原因が解決されなければならないという事に、

毎度頭を打ちます。



ゆえに僕は、

彼女らをそういった施設に泊まってもらってるうちに、

家庭問題について調べ、

解決できそうならしますし、

僕の力量に余るようなら、

各種相談機関などを使い、

問題解決にあたります。



子ども達の精神を追い込むほどの、

強烈な親御さんの問題行動ですから、

僕がちょっと言って直るなんてことは、

ほとんど稀ですが、

効果ゼロという事もないですし、

関係機関の協力がありますので、

万が一に備えた体制作りはできます。



子ども達が逃げ込める場所作りですね。



家出は、

できればさせたくないが、

夜の街でお金のネタにされるぐらいなら、

ポジティブに家出できる機関があってもいいなと思います。



もちろんそこには、

ちゃんとした相談員や、

保育士、

カウンセラーなどがいて、

子ども達を保護できる環境と、

家庭問題を解決できるような法の執行権限があれば、

なお良いです。



今はそういう所が少ない。

ないと言っても良いぐらいです。



ですが、

やらなければならない。



それがそういった機関を運営している人たちの、

最大のモチベーションでしょう。



もうこれ以上傷つけてはならない。

そう語る児童相談所職員にも、

何人も出会ってきました。






僕は子ども達に常々言い続けています。



確かに君たちを傷つけた多くの理由に、

大人が関与している。



直接でも間接でも、

大人の責任は大きいことに代わりない。



だから君たちが大人に不信を抱くのは、

仕方のない事だとは思う。



でも忘れないでほしい。

君たちを、

もう傷つけさせてはいけないと、

躍起になっている大人もいるんだってこと。



君たちはまだ、

その人たちと出会っていないんだってこと。



忘れないでほしい。







話があっちこっちに飛んだ、

今回の日記ではありますが、

昨日の日記が、

衝撃的な内容だったからか、

たくさんのメールをいただきまして、

それをまとめて答えるような日記にしようと思ったら、

こうなっていました。



読みにくかったと思いますが、

最後までお読みくださり、

本当にありがとうございます。





人は必要に迫られなければ、

今と違う事をしようとしないのかもしれません。



僕にとって、

手話はその一つです。



ドラマで手話を題材にしたものが流行れば、

続ける気のない人が手話教室に殺到すると聞いた事があります。



必要に迫られていない人達は、

続々とやめていくそうです。



僕にとっては、

とても必要なものかもしれません。

だから続いているのでしょうか。








リエと知り合ったのは、

彼女が通う病院の、

カウンセラーの方と知り合い、

どうしたらいいかわからないという相談をされた事がキッカケでした。



カウンセラーでもわからない事が、

素人の僕にわかるわけない。



僕は断りました。



しかしその方は、

何とかしてリエを助けたいと、

熱意を語ってくれました。



その方の努力もありきであれば、

僕もやれる事をやるという約束で、

僕はリエに会う事になりました。



彼女の最初の印象は、

とても非行と言われる行為をしている、

そんな事はまったく容姿から想像もできない。

というものでした。



真面目そうで、

おさげ髪とメガネの似合う、

引っ込み思案な女の子。



しかし、

その背景には、

とても想像できない物を抱えていました。



彼女は中絶を3回経験しており、

性感染症にも何度もかかっている。



その度に親が強制的にこの病院に連れてくる。

しばしの入院の後、

彼女は決まってある集団に自主的に参加する。



一度家出をした彼女に、

優しい声をかけ、

飲みに連れて行ったり、

遊びに連れて行く男性集団がいました。



彼女はその集団に所属している男性全員と、

体の関係を持っていました。



時には全員同時にということもあったと、

後に聞かされた時には、

背筋が寒くなりました。



彼女が彼らと知り合ったのは、

まだリエが中学3年の頃です。



毎日彼らの誰か、

もしくは全員とセックスをしていたんです。

もちろん避妊などしていません。



次第に男達はリエの体に飽きたのか、

相手しなくなりました。



それでも彼女から相手をしてほしいと要求し、

男達は言いました。



『じゃ、お小遣いくれよ』



リエはウリをするようになりました。

性感染症にかかったのは、

その頃からだったそうです。






親はどう考えていたのか、

僕は問い詰めるつもりで訪問しました。



そこで恐ろしい現状を知りました。



リエの父親は、

僕の事を丁重に扱い、

さほど悪い印象はなかったのですが、

年間何十人のジャンキーを見ている僕の目は、

そうそうごまかせません。



目が充血し、

話の脈略がバラバラ。

時折ボーっとしたかと思ったら、

口を半開きにして遠い目をし、

訪問して10分で、

おそらく2リットルの水を飲んでいました。



クスリは異常にのどが渇く。



僕は彼が中毒者だと理解し、

すぐにリエに児童相談所に一報入れる事をすすめ、

僕は僕で通報するつもりでいました。



それ以外の収穫ないまま、

部屋を後にしました。






リエに会い、

僕はまず、

リエの声を聞こうと思い、

たくさん話しかけました。



でも彼女は、

時折小さい声で返事するだけで、

早くこの時間が過ぎて、

彼らのもとに行きたいという事を、

態度だけじゃなく、

口に出して言いました。



散々弄ばれ、

どうしてそこまで彼らに会いたがるのか、

僕は聞きました。



『めちゃくちゃにしてくれるから』



感情の表れていない顔から、

恐ろしいほど空虚な言葉が出てきました。



どうしてめちゃくちゃにされたいのか。



『私がはじめに中絶したの、

 親父の子なんだよね…』



通報の準備を超え、

これは慎重に逮捕させようと考えました。

そして彼女の身に起きた事全てに、

心が痛みました。



そんな経験が、

めちゃくちゃにされたいという願望に発展したのか?



『あんな奴に台無しにされた人生だから、

 せめてカッコイイ人に抱かれて、

 めちゃくちゃになった人生の方が、

 親父のせいってより、

 カッコイイ奴のせいって方が良いと思ったから…』



そうか…

でもめちゃくちゃになるのは、

君にとってプラスじゃないのに、

そこまで彼らを求めたのは、

一体どういう理由なんだろうか。



『だってさ、

 忘れたかったんだよ。

 毎日だよ?

 私、毎日あの親父の汚いアレくわえさせられてさ、

 無理矢理入れられてさ、

 中で出されてさ、

 小学校の頃からずっとだよ?

 で、アイツの子どもはらんじゃって、

 あの時私の人生終わってんのよ!!

 それに比べて、

 あいつらは違うよ。

 めちゃくちゃだけど、

 まだカッコイイめちゃくちゃだもん』



めちゃくちゃにカッコイイとかあるの?



『…わかんないよ…

 わかんないけど、

 もう取り返しつかないんだから、

 どうなっても良いやん』



彼女はどんな思いで、

毎日を過ごしてきたのでしょう。

父一人子一人、

父を愛していた頃もあったと言います。



その頃の父じゃない。

今自分に嫌な事をしているのは、

知らない人だと思い込み、

彼女の精神はとっくに疲れきって、

破綻していました。



常識では考えられない、

破滅思考。



それは、

光の挿さない毎日が作ったもので、

彼女は何一つ悪くない。



僕はすぐに父親の性暴力に対する対策、

彼女の身を保護する対策を打ち、

できるだけ彼女の周りに女性のスタッフや、

つらい思いをした同級年代の女性による、

いわゆるピアカウンセリングの実施できる環境を準備しました。



そして保護された後に、

ちゃんとした医療を受けれるようにしました。



僕は彼女に面会に行く時、

必ずお土産と言って、

彼女の好きな音楽CDを持って行きました。



リエは最初の頃、

無感情と言える反応でしたが、

次第に何の曲が聞きたいとか、

えーちゃんは誰の曲を聞くのかなど、

話をしてくれるようになってきました。



僕はうれしくなり、

音楽を中心とした会話を軸にしながら、

彼女の自尊心を回復させるよう、

彼女の感性を褒め、

彼女の選曲には必ず耳を傾け、

曲を聞き、

僕も感想を言うようにしました。



的外れだと笑われた事もあったけど、

そうだと同意された事もありました。



入院して20日ほどが経った頃でしょうか、

彼女は大きなヘッドホンを要求してきました。



きっと、

同室の人達に迷惑をかけたくないからだなと思い、

僕の家にあったヘッドホンをあげました。



すると、

どういうわけか、

悲しそうな顔で、

口元だけ笑顔を作ったんです。



気になりました。

どうしたの?と聞いても、



『ううん、ありがとうね』



そう言って何も言わなくなりました。







そして1ヶ月ほど経った頃、

医師から衝撃の事実を伝えられました。



『彼女の右耳、

 ほとんど聞こえてません』



どうして?

どうしてですか?



詰め寄る僕を制し、

医師は言いました。



『突発性難聴だったはずです。

 すぐに治療しても直せたかわかりませんが、

 今ほどひどい状態にはならなかったはずです』



そんな…

彼女の耳はそんなに悪い状態なんですか?

もう治らないんですか?



『はい。

 はっきり申し上げて、

 治すのは限りなく低い可能性です。

 何より最悪なのは…』



言いにくそうにしている医師に、

その先を促しました。



『同時に、

 左耳も聴力が低下しています』



突発性難聴は、

何が拍子で好転するかもしれない、

でも逆もまたしかり。

右が聞こえなくなって、

左も聞こえなくなっていくケースも、

少なくないそうです。



そんな事…

なんでリエばっかり…



父親は逮捕され、

冷房食事つきの規則正しい生活をしている。



ここで彼女は、

やっと眠れる夜を手に入れ、

この事態。



神様ってホントにいるのか?

ほとんど神頼みしない僕が、

初めて神頼みしました。



一握の希望でいい、

彼女に希望を…



リエはCDを聞かなくなりました。



その代わり、

僕の話を聞きたがるようになりました。



生まれはどこか、

好きな食べ物は何か、

どんなとこに旅行に行きたいか、

好きなタレントは誰か、

色んな話をしました。



『えーちゃん、

 面白い話して』



と、屈託ない笑顔を向けてきます。

僕はできる限り左耳に向かって話しかけ、

口を大きく動かして、

馬鹿な話ばかりしていました。



リエ、

おまえの話も聞かせてくれよ。



僕がそう言っても、



『親父とセックスした事ぐらいしか覚えてない。

 そんな話聞きたい?』



さすがの僕も言葉に詰まります。



僕は彼女の要求通り、

僕の話に終始しました。



僕には何もできないのか。

そんな思いばかりです。

でも沈んだ顔は見せれません。

笑顔で、

できるだけ面白い話に聞こえるよう、

努力し続ける日々でした。







そんなある日でした。



僕とっておきの、

関わってるやんちゃな小僧達との、

馬鹿な話をしました。



彼女はうなずいていました。



時折笑顔を見せました。



僕は調子に乗って、

さらに話をしました。



こんな事があったんだよ。

あいつらホント馬鹿だよな。

まぁ、俺もたいがい馬鹿だけどね。



そう言い終わって、

彼女を見ると、

まだうなずいていました。



話は終わったし、

オチの部分では笑顔は見られず、

うなずいていた。



違和感を覚えました。



まさか…



僕はすぐにナースコールを押しました。



担当医とナースがすぐに駆けつけました。



先生・・・

もう聞こえてません…

リエはもう、

聞こえてないはずです…



すぐに検査に入りました。

僕は身の置き場に困ったというより、

その場にいるのがつらくて、

病院の屋上に行きました。



しばらくして、

彼女は車椅子に乗って、

ナースとともに屋上に来ました。



えーちゃん…



涙が止まりませんでした。



えーちゃん…



何や?と答えても、

もう彼女の耳には届いていません。

彼女に何か伝えるには、

涙でグシャグシャになった顔を向けて、

しっかり口を動かさないといけない。



今の僕にそれはできない。



えーちゃん…



膝をついて崩れていました。

僕は背中を震わせ、

ただ泣いていました。



そっと背中に触れる感触がありました。



リエは僕の背中をさすり、

何度もゴメンと言いました。



リエを抱きしめて、

届かないとわかっていても、

大きな声で謝罪しました。



もっと早く、

君のもとにちゃんとした大人が来れば、

こんな事にはならなかったんだ。



すまん。

俺のせいや。



声は聞こえていないはずだけど、

半年に及ぶお見舞い期間で、

僕がどういう人間で、

こういう時にどう言う人間なのか、

彼女は知っていたのかもしれません。



僕の耳元で彼女は言いました。



『えーちゃん、

 泣かないで。

 謝ってるんだったら、

 謝らないでね。

 感謝してるんだから。

 それにね…』



沈黙があり、

僕は自分の顔がどうなってるかより、

彼女の顔を見つめる勇気を持ち、

向き合いました。



涙が流れていました。

彼女の目から、

涙が流れていたけど、

笑顔がもれていました。



『それに、

 何?

 どうしたの?』



口を大きく開けて、

ゆっくり話しました。



『それにね、

 私が最後に聞いたのは、

 私を笑わせようと必死になってる、

 えーちゃんの優しい声だよ?

 あいつらみたいな、

 弄ぶために並べた優しい言葉じゃなくて、

 私のために必死になってくれた、

 えーちゃんの優しい声なんだよ?

 私ね、

 絶対えーちゃんの声、

 忘れないからね』



そう言って、

涙を流しながら、

リエは笑顔を作りました。













僕は手話を習っています。

リエとはまだまだ話したいから。



必要な言語だから。



あいつと僕の、

会話のために必要な事だから。



あいつはきっと、

僕の手話を見ながら、

口の動きを見ては、

僕の声を思い出してくれてるんだと思います。



だから僕は、

手話を覚えながらも、

しっかり声を出して、

面白かった話をするようにしています。



声が届きますように、

思いを込めて手話を使います。