人間の心理は、

非常に繊細で、

かつ非常に曖昧にできていると言います。



近年増加傾向にある、

うつをはじめとする精神疾患。



これは増加しているというのはあまり正確ではなく、

それだけ認知度が増してきたというだけです。



高齢の方々はよく、



『昔はこんな事なかった。

 最近の若いのは、

 精神的に弱い奴が多い』



とか、

その原因を、

家庭の甘やかし過ぎと論じる人が多いです。



しかし、

高齢の方々が生きていた戦前、戦中、戦後、

本当にうつや精神疾患はなかったのでしょうか。



実はたくさんありました。

今よりもっと多いでしょう。



そりゃ爆弾飛び交う中、

冷静でいられる人はそういない。

全員がPTSDに苦しんだ事でしょう。



以前放映された


『プライベート・ライアン』


という映画を見た高齢の方々で、

実際に戦地に赴いた方は、



『あの頃を思い出して、

 しばらく眠れなかった』



と言っています。

これはPTSDの諸症状の一つです。

いまだその悪夢に苛まれる方もいらっしゃいます。



映像や音楽、

火薬や肉を焼く臭いなど、

記憶を呼び起こしやすい感覚を刺激されると、

悪夢のように甦るフラッシュバック現象です。



当時は精神医学も発達しておらず、

うつ病などの診断もまともにされていたわけではありません。



近年の医療技術の向上により、

これらが疾病である事が認められ、

たくさんの患者さんが治療できる状況になった。



つまり、

昔は精神が強かったわけではなく、

うつの症状を病気だと認識されていなかったから、

うつ状態の人はゼロと思われていただけ。



今はしっかり治療が必要で、

必ず治るという技術もあるので、

治療に向かう患者が増えただけです。







深夜、メール相談などをしていると、

どれだけ多くの子ども達が、

精神病を患っているのかという現実を目の当たりにします。



それと同時に、

社会、

特の親世代(30代後半以降の年代)の、

精神病に関するあまりに拙い情報・知識不足に驚きます。



相談に乗っていて、


『これは境界性人格障害の可能性があるな…』


と思えるほどの、

コミュニケーション障害状況。

言動の数々。



それらを分析してもらうため、

状況だけをカウンセラーに説明すると、



『すぐに通院させた方がいい』



という判断が下ります。



しかし、

親御さんの合意がないと、

通院もできません。



風邪をひいたお子さんから相談され、

病院に行った方が良いとアドバイスして、

拒否する親はいません。



しかし、

精神科・心療内科となると話がこじれてきます。



うつ病の治療と、

風邪の治療の共通点。



『服薬をしっかり守り、

 ゆっくり寝る』



それだけの事です。

しかし、

精神科に通院している子を持つという事に、

拒絶反応があるんですね。



以前から言っていますが、

特に多いのは、

厳格な家庭や、

高学歴な家庭によく見られる現象です。



某政治家の息子さんから相談された時も、

親の説得にかなり骨が折れました。



子の通院歴が、

自分の政治生命に関わると言うのです。



そもそも、

その某政治家の息子が精神科に通院したから、

誰が騒ぐんでしょう。



マスコミですよね。



そしてそれを読んだ有権者が、

投票しなくなると言うのです。



子をしっかり育てていなかったという印象だけではなく、

精神病というものに対する世間の偏見はとてつもなくひどい。



ゆえに通院させないという事になり、

症状が悪化していく。



特に精神病は、

気合いや根性が足りないからなる病気だという誤解が、

うつ病でやる気が起きないその子に、



『お前は弱い人間だ!

 もっと根性入れて働け!

 弱音を吐くな!』



と叱り付けるので、

症状が悪化して当然です。



こんな時は母親を口説き落とします。



政治家や医者など、

自分の地位が政治事で決まる職場で働く父親は、

そういう固執から抜け出れません。



また、

亭主関白な世帯が多く、

母親も逆らえない事が多いし、

子どもをしっかり育てていないのは母親の責任だと、

自分が悪者にされる可能性が高い。



そういう状況も加味しながら、

母親の説得もかなり骨が折れるのですが、

父親よりも母親の方が危機感を感じやすい。



そして一歩踏み出す母親の意志は強い。

さすが母は強し。

お腹を痛めて生んだ子です。

政治生命よりも、

子どもの生命の方が尊い事を理解した母親は無敵です。



結局通院する事になり、

別居する事になりました。



『私の子どもをあれだけ苦しめた人と、

 今後も夫婦生活を続ける事はできません』



という判断でした。


それが良いのか悪いのかはわからないけど、

今は美味しい定食屋さんを開き、

母子そろって店を繁昌させようと躍起になっています。



僕もたまに食べに行くのですが、

これがまた大盛り大盛りの大盛り尽くし。。。

メタボ度を気にする余地もありません。。。






政治も大切でしょうし、

会社や病院など、

権威あるポジションについたら、

なかなかそれから脱する事はできません。



しかし、

子に代わりはいません。

会社には代わりはあるかもしれませんが、

命というのはそれ一つです。



何が大切で、

何が重要なのか、

その判断を曖昧にさせるのは、

いつの時代も


『地位』



『名誉』


です。





エリック・クラプトンが、

子のドラッグ中毒を治療するため、

音楽活動を休止しましたが、

そうできるかどうか、

その愛情の尺度を持っているかどうか、

親の愛情は、

世間の偏見に負けません。



差別を打ち砕くのは、

愛情と言えるでしょう。