高級レストランに連れて行かれてしまった
おまけに顧海は昼間とは違うスーツを着ている
後ろから付いていても絶えず視線を感じる
長身痩躯でスタイルが良いせいか…ずっとだ 
向かい合うと真っ直ぐに見つめてくる
やっぱり自分は…今でも顧海を愛している
その時グラスを持ち上げる顧海の指を見た瞬間
左手の薬指に…間違いない…指輪があった
あれから10年は経つのだから当たり前だと
顧海を責める資格など自分には許されない
それなのに何故裏切られたと…思ったのか
元々互いに雄弁な性格では無かった上に
会話も…だんだんと途切れてしまう…そして
[…綺麗になったな…白洛因…見違えたよ…]
優しい声に…気がつくといつの間にか
頰に暖かい感触を感じた…拭うと涙が出ていた 
[…結婚したんだな…おめでとう…もう会わない
だから…さようなら…顧海も元気で]そう言うと
レストランを後にした…視線を感じたが
振り返らなかった…もう遅過ぎた何もかもが