もうすぐ世界で一番嫌いで憂鬱な日がやって来る。


気持ちが不安定になったのは
この日が近づいているからというのもある。



不倫中は恐怖のイベントだった連休。
しかも大型。

しかも、結婚記念日。



不倫をやめたら余裕で迎えられると思っていた。
というか、そうなれるよう願っていた。

もう私には関係ないんだから。


でも、春が近づくにつれ
連休が近づくにつれ
じわじわじわじわ
恐怖と憂鬱が重くのしかかってきて

早く予定を入れなきゃと
躍起になっている自分がいた。



こんなはずじゃなかった。


あの人から離れて4ヶ月
もうすぐで5ヶ月が経ついま

新しい恋人でもできて
その人と独身同士の幸せな恋愛をして
連休だって憂鬱になんかならなくて
むしろ楽しい日々を過ごせて

あの夫婦の結婚記念日に

「結婚おめでとう。
私いま幸せよ。
そちらもお幸せに」

なんて言ってやろうと思っていた。

言わないにしても、そのくらいの気持ちでいられたら
と思っていた。


それなのに…

現実は全然違っていた。
うまくいかない。



私がいたって彼らは結婚記念日を迎えて
私のいないところで夫婦の時間を過ごして

私がいなくなった今だって
2年前とも1年前とも変わらずに結婚記念日を迎えて
夫婦の時間を過ごすんだ。


どうして

どうしてなの?


苦しんでいるのは私だけなの?


私がいなくなっても
あの人には結婚相手がいて
その人は一生傍にいて

あの人は“孤独死”の不安なんて抱くこともないんだろう


不安でいるのは私だけなの?

寂しいのは私だけなの?



どうしてあの人だけ幸せなの?

どうしてあの夫婦は変わらずに幸せなの?



夫婦には記念日があって
私とあの人には記念日なんてなかった。


去年のGW明けに会った時に
あの人に気持ちをぶつけたことがある。

「結婚記念日だったんでしょ」

そう聞いてもあの人はしらばっくれた。

「連休中。結婚記念日だったでしょ」

「ああ…」

気まずそうにしていた。

なんで私が記念日を知っているのか驚いただろう。


「夫婦で結婚2周年をお祝いしたんだろうけど、
私との関係は?
私とだって2年経ったんだよ」

私が泣きながらそう言うと、あの人は

「そうだよな…ごめん、ごめんね…
じゃあ2人のお祝いしよう」

なんて言ってきた。

バカな男。


「違う!そんなこと望んでるわけじゃない
お祝いなんかがしたいわけじゃないんだよ
ただ、ただ……」

言葉にならなかった。

ただ、悔しかった。
寂しかった。
惨めだった。


あの人は泣きじゃくる私を抱きしめながら
「ごめんね…」と謝ることしかできなかった。


バカな2人。


どうしてあんなに苦しい思いをしてまで
離れられなかったんだろう。

思い出すだけでも辛くて涙が出るのに。



あのまま今でも不倫を続けていたら
辛さはこんなもんじゃなかったはず。

だから、去年よりはまだマシか…。




あの人の結婚指輪に刻印されていた
お互いのイニシャルと入籍日。

忘れられない。

忘れたい。忘れたい。


人は痛みを忘れられる生き物なんじゃなかったの…?





幸せになりたいのに。

あの人よりも、幸せに。