「愛し合ってるんだね…私たち…」


寄り添っていたときに、私がふとこぼした言葉。




「うん」 と彼。



私は


「愛し合ってるのに…

離れ離れだね」


そう言った。




それを聞いた彼は、何て答えたんだっけ?



「…ごめんな」


そう言って、ぎゅっと抱きしめてきたんだっけ。






「愛し合ってるけど、どうにもならないね…

どうしていいかわからないよ。

毎日考える。どうしよう…って」


私がそう言うと


彼は


「哀しい思いさせてごめんな。

俺も考えるよ。どうしたらいいのかな…って」 って。



それを聞いた私は


「え!○○くんもそんなこと考えるの?本当に?」


って聞いてしまった。



すると彼は


「俺だって考えるよ。どうしよう…って」って。




驚いた。



彼もこの関係について『どうしよう』って考えることがあるんだ?




てっきり、何も考えていないんだと思ってた。




奥さんも大事。


私も大事。


どっちも離したくない。


ただそれだけ。



ただのそういうずるい男なんだと思っていたから。




さらにこんなことも言っていた。



「俺おかしい…

こんなに会いたいと思ったり、好きだと思ったことないんだよ。

これってすごいことだよ。事件だよ」 って。



事件って… 笑えた。




「ふぅ~ん、事件なんだ?すごいね。

なんで?どうして?

私のなにが好きなの?」


そう聞くと


「全部。本当に、全部好きなんだよ」 だって。



本当かな?



不思議。



女慣れしまくりのプレイボーイの彼が。



「女に夢中になったことはない」って言い張っていた彼が。


「自分から会いたいと思ったことない」って言っていた彼が。


いつだって恋愛にどこか冷静で淡白だったはずの彼が。





私みたいな女の、どこがいいんだろう?



こんなに重くて、面倒くさいのに。


一番嫌いそうなタイプなのに。






でも、本当だったらいいな。



彼が、事件だと思えるほど、私を好きならいい。




私と同じくらいに


それ以上に


私のことを好きで好きでたまらなければいい。




私が苦しいほどに


彼も苦しければいいのに。




結婚したことを後悔するほどに。




私が彼から離れることを受け入れられなくて苦しめばいいのに。



私がいつか他の男のもとへ行ってしまうことを悔やめばいいのに。






自分が選んだその結婚を


後悔してもしきれないほどに



彼も苦しめばいいのに。





お互い別々の人生を歩むしかないことを


悔やめばいい。





その道を選んだのは、彼なんだから。






どんなに愛し合っていても。



私たちは


一緒にはいられないね。



離ればなれだね。