「終わってない」
この彼の言葉を聞けただけで
もう何もいらない
というほどの安堵感でいっぱいになった。
何度も体を重ねて、何度も何度もキスをして
何度も何度も抱きしめ合った。
「終わっていない」ことを確かめるように。
そしてくだらないおしゃべりを続けた。
楽しくて、幸せで、ずっと笑っていた。
気づいたら朝になってしまっていた。
ちっとも眠くならなかった。
彼も「なんだか眠れないな」と言っていた。
私は眠ってしまうのがもったいなかったんだけどね。
彼の胸と腕にぎゅっとしがみつく私の顔に
彼は何度か手を沿わせた。
私の目元を、指でなぞる。
それは、涙を確かめるために。
「なにー?なんで触るの?」
と聞くと
「泣いてないかチェックだよ」
と彼が言った。
「泣いてないよ~。○○の前ではもう泣かないよ。大丈夫だよ」
私は笑顔で言った。
「俺の前じゃなくても泣かないでよ」
と彼が言った。
それは約束できないかもしれないけど
彼の前で泣くのは本当にやめよう
と思った。
私が泣くことで、何かが変わることなんてないんだ。
誰も楽しくない
誰も喜ばない
むしろお互いかなしいだけ
苦しいだけ
そんな涙、何の意味があるっていうの。
彼を苦しませるだけの涙なんて、ちっとも美しくなんかないし
必要のないもの。
彼の前では泣かない。
彼の前では笑顔でいよう。
きっとそうしている方が、いつか訪れる「終わり」を
少しでも遠ざけることができるはず。
いつか来てしまうであろう「終わり」のときまで
できるだけ笑って楽しく過ごすこと
これが私のできる精一杯の努力と愛情表現だ。
「昼、近くのあのカフェにパスタ食べに行こうよ」
と彼が言った。
「うん!行こう!」
私が答えると
「ランチデートね」
と彼が言った。
キャ~~~~~~~~~~~~~~~!!
「デート」
という、その言葉が彼の口から聞けただけで飛び跳ねたいくらい嬉しかった。
「うん!ランチデート!楽しみ~♡」
そして
「おやすみ」
と言って、彼は眠った。
私はあまり眠れなかった。
安堵感でぐっすり眠れるかと思いきや、それどころではなかった。
「ランチデート」が楽しみで仕方なかったことももちろんあった。
何よりも、安心感が大きく膨らみすぎて、逆に興奮してしまったのかな?
ぐるぐるぐるぐる…
いろんなことを考えていた。
今までのこと
そしてこれからのこと
「終わり」を覚悟して思い返していたこれまでの自分と彼のこと。
もっとこうすればよかった と思っていたこと。
だったら、終わってないとわかった今、これからどうしていこうか…
本当にそうしていいのか、それとも…
とにかく彼との今後の付き合いにおいて
自分がどうすべきなのか
どうしたらより良い関係を築いていけるか
お互いが苦しまずにいられるためには、どうしたらいいのか
そんなことをずっと考えていた。
隣で眠っている彼の顔をもっと見ていたいから
この彼の温もりをもっともっと感じていたいから