バレンタイン前夜 



どうしようもない絶望感に押しつぶされながら号泣した私は


いつの間にか眠っていた。




眠りに就いたのは何時だったんだろう


3時か4時くらいになっていたと思う。




そのわずか2~3時間後の早朝6時過ぎ






携帯が鳴った。







寝ぼけながら携帯を手に取り画面を見ると


見覚えのある番号だった。





あの人からだった。






私が電話に出ると


「ごめん、寝てた?」と彼。


「うん…」と寝ぼけながら答える私。



すると、彼がこう言った。




「今から行っていい?」




え・・・・・・・・・・・・・?




この人、何を言ってるんだろう…?


だって、今日はバレンタインで、しかも土曜日で、奥さんと一緒にいるんじゃないの?


昨日の夜、今日は会えないって言ってなかったっけ?




私は彼の言っていることが飲み込めず、しばらく黙っていた。



すると、また彼は続けて言った。


「今から行っていい?」



私は思わず


「どうして?」


と聞いてしまった。



でも彼はそれには答えず


「今から行くから」


そう言って電話を切った。





??????????????????????




今、来るって言ってたよね?


なんで?


今日は会えないんだって確信して、昨日の夜大泣きしてたんだよね?私…




わけがわからなかった。




あ、また酔っ払って電話かけてきたのかも。



前だって、深夜とか朝早くとかに電話がかかってきて


「今から行く」って言われて、こっちは待ってたのに


結局来なかったってこと、何度かあったもん。



今回もそれかもな。



期待して待つたびに何度も振り回されることに疲れていた私は


期待しない、待たない という、少しでも楽になれる方法を見出そうとしていた。




でも




その20分後くらいだっただろうか




家のチャイムが鳴った。




彼は本当に来た。





私は大慌てで、昨日買ったばかりのチョコと、何も書けていないメッセージカードを隠して


彼を迎え入れた。