電車に乗って、どんどん東京が近づいてくる。



近くなるほど、わたしの胸は苦しくなった。


近くなるほど、彼のことを考えてしまった。



東京に戻ることが、本当にこわかった。




都内に着いて、乗り換えで駅に降りた途端


ぎゅ~~~っと胸が締め付けられるような感覚になり


涙が出そうになった。




田舎に比べると、こんなに人が多い。


こんなに人がたくさんいるのに、寂しくて仕方がなかった。


人ごみの中を歩いていると、どんどん孤独を感じて哀しくなった。




あぁ、戻ってきちゃった、東京。



あぁ、彼も近くにいるんだ。


奥さんと一緒にいるのかな…




考えなければいいことを、どんどん考えて自滅していく。。。




もうお正月過ぎたのに


やっぱりあの人から何も連絡こない…


「あけましておめでとう」のメールも送ってくれないんだ…。



情けなくもわたしはまだこんなことを思っていた。



心のどこかで、彼からの“あけましておめでとうメール”を待っていたんだ。



でも、電話も、メールも、何もこなかった。。。






東京に戻ってきてから、わたしは泣く回数が増えた。



実家にいる時は、家族もいるし、彼と離れていることもあって


あまり泣かずにすんでいた。



でも帰ってきてからは、夜ベッドに入って寝ようとすると、どうしても彼のことを思ってしまう。


声を殺しながら泣きじゃくる。



仕事からの帰り道、駅からの暗く寒いひとりぼっちの帰り道、


その寒さが寂しさを増して、涙がポロポロ流れてくる。



わたしは、ひとりぼっちなんだ。



でも、あの人には帰る家があるんだ。



帰ると家には明かりがついていて、あったかくて


「おかえり~」と言って出迎えてくれる奥さんが待っているんだ。



「ただいま~。あー腹へった~」なんて言って


奥さんの作ったおいしいごはんを食べるんでしょう?



ごはんを食べ終わったら、テレビでも観ながら奥さんとおしゃべりをして


あったかいお風呂に入って


最後は奥さんと一緒のベッドで寄り添って眠るんでしょう?


「おやすみ」って言って、キスでもするの?




いいね、あなたは幸せで。


いいね、あなたはひとりじゃなくて。




わたしは、ひとりだよ。




寒くて家に帰っても、真っ暗だし、暖房もついてないよ。



お腹が空いて帰っても、誰もごはんを作って待ってないよ。


自分で作るんだよ。



あなたが寝たことのあるこのベッドの真ん中で、ひとりで寝るんだよ。



「おやすみ」って言ってくれる人は、誰もいないんだよ。



あなたに「おやすみ」を言いたくても、


あなたは別の所で違う女の人と一緒に寝ているんだよ。



寄り添って寝られていいよね、あったかいでしょう。



ひとりで寝るわたしは、いつまでたってもあったかくなんかならないんだよ。


ずっとずっと寒いよ。






こうして毎日孤独を感じながら過ごし、泣くことが止められず


朝起きた顔は、いつも腫れぼったくて、いつの間にか消えないクマができていた。





苦痛だったお正月が終わってからも、苦しいのはなにも変わらなかった。



むしろ、苦しさは増していた。