【その先へ 復興日本】(5)三陸再生 恵みの海、取り戻す。+ | RMTDragon Quest 10のブログ

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【その先へ 復興日本】(5)三陸再生 恵みの海、取り戻す。

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 朝日で赤く染まる岩手県山田町の山田湾に、養殖用いかだがひしめくように浮かぶ。海は、カキやホタテの産地として知られる以前の姿を取り戻しつつある。

 震災前に約3800枚あったいかだは津波でほぼ全滅。地元の漁師たちが漂う部品を拾い上げて組み立て直し約2000枚が復活した。(写真報道局 桐原正道)

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 ■「天敵発生」も復調の兆し

 山田町の海を訪れる人たちに変化があるという。

 「前は『被災地の様子を見にきた』という人が多かった。ところが、この冬からかな。純粋においしいカキを食べにきたという観光客がほとんどなんです」。山田町観光協会の湊敏事務局長(64)が話す。

 漁師たちにも感慨がある。「よくここまで復活できたもんだ…」。カキとホタテの養殖で暮らす上林実さん(64)は、養殖用いかだが並んだ山田湾の変化に手応えを感じている。

 「三陸やまだ漁業協同組合」によると、もともと後継者不足だったのに加え、震災の犠牲や設備の損壊で、養殖に携わる人は震災前の485人から一挙に146人に減った。

 養殖いかだもほぼ半減の約2千枚。それでも、県外にも本格的に出荷できる態勢が戻りつつある。

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 ◆忘れられない光景

 「一度はすべてをあきらめた」。昆(こん)定夫さん(60)は、震災のとき、避難していた山の上から、渦を巻く津波が自分たちのいかだをのみ込んでいくのを見た。その光景を忘れられない。

 漁船を使った行方不明者の捜索などに追われていた漁師たちが再生に向けて動き始めたのは震災約1カ月後。破壊されて海面に漂ういかだを拾い上げては、漁港に持ち帰った。丸太や浮き、ロープなど使えるものを取り外し、一つ一つ組み立て直していった。気が遠くなるような作業だったが、「前を向くしかなかった」と上林さんは振り返る。

 実際にいかだを一つ一つ浮かべ始められたのはその年の秋から。本当の復活はこれからだ。平成20年度に6億5千万円あったカキの出荷額は24年度には2200万円にまで落ち込んでいる。

 ◆「若い人呼び込む」

 養殖いかだにムール貝が大量発生し、カキの成長を妨げられるトラブルもあるが、三陸の漁師はたくましい。

 「ムール貝が発生するのは栄養がある証拠なんです。海はよみがえった。ムール貝とうまくつきあえば、必ずよいホタテやカキが育つ。いかだが減った分、より質の高い貝を育てたい」。上林さんはこう説明する。

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 今年の夏までには、カキの殻をむいて殺菌する作業場が完成する予定だ。28年度のカキ出荷額の目標を3億2500万円と定めた,rmtssp。昆さんは「震災前のように養殖で稼げるところを見せて、若い人たちを呼び込みたい」と話した。(松本健吾)