その1-二月は学芸会と一日体験入学③ | トンポ・トンネ 日々イモジョモ

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■口演大会での「金賞」受賞に格別な思い
 
 二月二四日付の「朝鮮新報」四面に、一一日に東日本ブロックと西日本ブロックの二つに分けて催された「二〇〇九年度在日朝鮮学生中央口演大会」の成績が発表された。チェーサムは東日本ブロックで、初級部「芸術宣伝」部門の金賞を受賞した五校の中に選ばれている。西東京第二が二つ受賞しているので、正確には四校の中の一つである。廃校の危機からこの三年間で学生数を二倍に増やしたという話題の西東京第二は勢いがあるようだ。
 
 学校名だけではなく、演目も載せるべきではないかと思いながら一面を見ると、チェーサムの出演者六人の写真の下に「芸術宣伝『過去、現在、して未来に』」と記されていた。
 
 金賞受賞は、口演大会の翌々日、それを取材した同級生のカメラマンから聞いて知っていた。
 
 「キム・イルウ ソンセンニム(先生)」。日頃冗談など言わない彼が、私のことをこう呼ぶのである。口演大会に出演したチェーサムの児童たちが「キム・イルウ ソンセンニム」を連呼していたというのである。そういいながら「金賞」受賞の嬉しい知らせを教えてくれた。
 
 この口演大会には行ってはいないが前日、校内の全校生を前にして行われたリハーサルを見た。少年団の指導教員から「時間を作ってぜひ」と誘われたのだ。
 
 会場は、三階の三つの教室の敷居を取りはずした臨時の講堂だ。リハーサルは学芸会でも歌われた「私たちの学校がいい」の元気な合唱で始まった。他に学父母の姿はない、部外者は私一人である。中央に校長先生と並んで席が準備されていたが、恥ずかしくて隅の椅子に座った。
 
 まずは、学年別の予選を経た代表による教科書の朗読と「お話」である。足と手を同時に動かして入場したり、少年団の挨拶、敬礼を左手でしたりするなど、皆かなり緊張気味だ。本番には強いのだろう。大会では、朗読でキム・ユホとリ・ジョンリョンの二人が銅賞を、コ・ジンソンが努力賞を、「お話」は銀賞を受賞した。
 
いよいよ、少年団の指導教員が「必ず見て」と言っていた、芸術宣伝である。旧校舎と卒業生の何枚かの写真を貼り付けたホワイトボードと共に、六人の女子児童が入場する。
 
いきなり「キム・イル ソンセンニムから手紙が来た」と、手紙の朗読である。思いもよらぬ展開に戸惑う。やがてコロッケの話とつづく。動揺を隠そうとしたものの、きっと赤面していたに違いない。
 
昨年暮れに、少年団員に宛てた、その手紙が読まれているのである。
 
学校創立六四周年を迎える一二月に、四、五、六年の高学年を対象にした「お話会」に招かれ、学校の名前が五回も変わり、校舎は三回移ったという、学校の歩みを話した。
 
今まで小学生を前にして話したことがなく、伝えたいことが、正しく伝わったのか不安だった。そんな折、少年団一同の名で、厚い感想文のファイルが届いたのだ。予想もしなかった感動のプレゼントである。こんなことは初めでである。
 
それを読むと、コッペパンが一〇円で、コロッケは三つで一〇円であったこと、食べたいコロッケパンを我慢して校舎新築のカンパに協力した話が一番印象に残ったようだ。それで、「これからは、コロッケを見たり、コロッケパンを食べたりするたびに、私たちの学校を作り、守ってきた祖父母と父母、先生と教育会の先生を思い出し、両親と先生、友だちに喜びを与える少年団員になってください」と、感謝をしたため手紙を送ったのである。
 
芸術宣伝は、草創期から現在に至る学校の歩みにふれ、母校を度々訪れては、「努力すれば夢は必ずかなう」と児童たちを激励しているプロサッカー選手のアン・ヨンハクについて語り、朝鮮人としての誇りをもって胸をはって学んでいくとの決意が述べられていた。
総連は今年を「民族教育を強化する年」と定めている。テーマもよし。話の中心のアン・ヨンハクはワールドカップの共和国代表として、今一番旬の話題の人物である。役者もそろっている。もちろん、朝鮮語はどの学校にも引けをとらないはずだ。
 
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芸術宣伝のリハーサル風景
 
正直、リハーサルのその場で入賞は確信していた。
 
スポーツ大会や、芸術大会などでの母校の活躍は嬉しいものである。しかし、今回の口演大会での金賞受賞は格別だった。
 
芸術宣伝で「手紙」のことが取り上げられて少し照れくさかったが、正直ホッとしている。昨年の「お話会」の後、学校に行くたびに児童たちの中から「コロッケおじさん」とささやきが聞こえていた。名前が分らないからである。それで、今回「キム・イルウ センセンニムから手紙が来た」で始まる、その演目のお陰で、「ソンセンニム」は受け入れがたいにしろ、名前を覚えてもらい、「コロッケおじさん」から解放されたと思うと嬉しい。
 
それにしても残念なのは、個性溢れる三人組の才談が銅賞に留まったことだ。リハーサルでは、上級生はもちろん、下級生も笑いの渦に包まれていた。リハーサルどおり行かなかったのか、それとも審査員の笑いの壷とずれていたのか、最近テレビのお笑い番組を見ていても、笑いどころを逃していることが往々にしてある。会場の若者には大うけなのだが、テレビの前で笑えない自分がいる。もしかしたら、児童と審査員の世代のズレかもしれないとも思った。
 
 課題が決まった朗読は別にしても、芸術宣伝や、才談は、テーマと素材、演じ方を見る視点をどこに置くかによって、入賞が左右される。演じる児童の視点にすべきか、審査する大人の視点(教育的観点?)に置くべきか、再考の余地はありそうだ。(金日宇)

 
 
 
 
以下、次回
 
■一日体験入学-父母も「一日教室」
 
 
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