
ピョンヤンからの吉報 ・ 東京での苛立ち
ピョンヤン訪問から3か月、「訪問記」刊行から10日余りが過ぎた。
この間、ピョンヤンからは身重だった姪(兄の次女)から、予定より4日早く、男の子を生んだとの手紙が届いた。予見したとおり息子で、体重は3.090グラム、1か月余りで4.120グラムになったと、丈夫そうな赤ん坊を抱いて、「どうだ、男の子を産んだぞ」といわんばかりに、チョツと威張っているような写真が同封されていた。
「嫁ぎ先では、初孫とあって、可愛がりようも度をすぎているようです」「私もこの子が少し手を離れたら、自立して暮せる職を探そうと思っています」とも記されていた。
もう一人の姪(妹の長女の娘)の子どもの「トルチャンチ」、1歳のお祝いをしたことは、最近ピョンヤンから戻ってきた後輩から伝え聞いた。
あの時は、10か月だった。つかまり立ちを始めたのだろうか、標準より大きかったから、もしかしたら歩き出したかも…オモニとはそんな楽しい話が尽きないが、直接確認できないもどかしさもある。
そのオモニは、相かわらず兄と妹家族に月1回の「定期便」を送り続けている。11月便の荷物には、ジャンバーにマフラー、手袋、それに正月が近いというので、切り餅ときな粉を入れた。
生まれたばかりの曾孫と1歳を迎えた曾孫のお祝いに、ディスカウント店で買った小さなぬいぐるみを入れたいのだが、日常品ではないので、「規制」対象として送れないのではないかと、気がきでないようだ。そんな姿を見るにつけ、妻と私は規制だらけの現状に苛立ちを感じている。
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私は、ピョンヤンで購入した長編小説にはまっている。
叢書「不滅の領導」の中の「北方の吹雪」(439頁)と「春の序曲」(462頁)、「炎」(477頁)を2週間余りで完読した。前者は「江界精神」の続編で、いずれも、1990年代「苦難の行軍」を背景にした「キム・ジョンイル物語」である。
「厳しい食糧難」、「中身のない教養事業」、「瀕死状態の鶏工場」、「人命被害」、「空ろな精神状態」、「革命への動揺と敗北意識」、「運命の分かれ道」、それに「トドラタニヌン アイ(浮浪児)」-そんな言葉が次から次に出てくる、驚きの連続である。夢中になりすぎて、幾度も電車を乗り過ごした。
「苦難」の状況、それ自体もそうだが、国防委員長と道の党責任書記、総理らとの距離感、人間関係、それに「最高決定」がどのような手順で下されるかが読み取れ、感想を一言でいうならば、「ここまで書くかね」である。
今は、「燃える黎明」(449頁)に夢中だ。
「制裁措置」以降、共和国から書籍の搬入もストップされている。もっと買い込んでくるべきだったと、悔やんでいる。
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正直、予想外の反響に途惑っている。
「北朝鮮についても、こんな風に書けたのですね」
「今まで見えていなかった、見ようとしなかった庶民の姿があった」
「私たちと同じように笑い、泣き、戸惑い、怒る人が『人民の国』にもいたという驚き」
「すべては理解できないが、現地での体験だけになんとなく納得しまう不思議な1冊」
皆様の感想もお待ちしています。(金日宇)
「私のピョンヤン訪問記-快適な共和国旅行の仕方」
B6版・310頁・頒価1.680円
一般の書店では取り扱われていません。
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