
東京の留守番名人・金日宇
友人に「かみさんがソウルに留学に行った」と言うと、返ってくる答えはふたとおりだ。遠慮気味に「うまくいっていないのか」か、もう一つは「うちには知られたくない」「知らせられない」である。後者からは自分のかみさんも、大学院ではないにしても、学校で学んだウリマルに磨きをかけるために語学堂に留学するとか、今流行のポジャギや、「大長今」の宮廷料理を学びにソウルに行くと言い出しかねないという危機感が伝わってくる。
本来、うちのかみさんの一連の行動は常人にはまったく予知不可能なところがある。この度の留学も突然だった。それは、ある一言と、いくつもの偶然がもたらしたものだ。
留学する前年だったと思う。ソウルのT研究所の教授が来日した。研究テーマが在日問題だという彼女は、どこで知ったのか、元記者のかみさんに、協力を求めてきたのである。在日朝鮮人と朝鮮半島の関係に詳しいと紹介されたらしい。
かみさんがその教授に会いに行った日、突然私のケイタイが鳴った。「彼女が朝鮮学校の学芸会をぜひ、見たいと言っている」と言うのだ。かみさんは、友達との先約があるので、私に同行してほしいという。しょうがなく、私が案内役を務めることになった。
そこで教授はえらく感動してしまったのである。「この子たちをソウルに連れて行って、芸能専門学校の生徒だと紹介してもわからない。まさか、『在日』の児童だとは…」と、絶賛。演目だけではなく、卒業を控えた児童が先生にまとわりつくように記念写真に収まる姿にも感激したようだ。
そんなこともあってか、数日後、わが家を訪れた彼女は、私のことを「オラボニム」扱いである。いつの日からか、うちでは妻の来客時の食事の支度は私のお役目となっている。その日のメニューはカニ鍋である。(以下、9月8日につづく)
『アジュンマのソウル留学日記』-07年9月12日刊行!!!
40代も後半の筆者がソウルにある大学院に留学。
体験する驚きや失敗、老化する脳との格闘を楽しく紹介します。
同名のブログと「月刊イオ」などに掲載のエッセイを一冊の本に!
著者・金淑子
(キム・スッチャ 1958年、京都生まれ。東京在住。
朝鮮大学校を卒業。京都の朝鮮学校で教員を8年、
朝鮮新報社の記者を8年務めた後、ソウルの大学院に留学。
07年8月24日に社会学修士学位を取得)
A5版・日文・208頁・頒価2.000円
目次は
http://www4.ocn.ne.jp/~uil/602.htm
一般書店では取り扱っていません。
07年9月15日までにご予約の方に限り
送料・振込手数料を
当方が負担させていただきます。
ご注文は-綜合企画舎ウイル
TEL・FAX 03-6279-3356
メール uil21@yahoo.co.jp