新国立劇場バレエ団「アラジン」(06/11)の感想 | まるこブログ

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新国立劇場バレエ団の2015-2016シーズンも、いよいよ最終公演の「アラジン」で幕を閉じる。

その初日に、行ってきた。


主役は、題名役アラジンが福岡雄大さん、ヒロインのプリンセスが小野絢子さん、悪者の魔術師マグリブ人がマイレン・トレウバエフさん、ランプの精ジーンが池田武志さん…だ。


こちらの同行者は、いつものバレエ大好きマダム達に加えて、「やっぱり小野絢子さんが一番好き」と言う父と、元バレエ教師の母。

開場前に食事をしようということで、両親たちは53階の某レストランに行ったが、私も含めて「あの震災以来、どうも高層階は気持ちがわるい」というむきは低層階にて……と分かれた。


思えば今回の演目「アラジン」は、2011年5月以来の再演。

5年前は震災の記憶も生々しくて、客席はガラガラだったが、昨日は完売、満席。

4階まで客席がびっしり埋まっているのを見ても、なんだか胸にこみ上げてくる。


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開演。

カール・デイヴィスの音楽は、ジョン・ウィリアムズ(←STAR WARS)っぽい土台にプロコフィエフやチャイコフスキーのエキスを振りかけ、たまにプッチーニも顔を出す…って感じの、とにかく親しみやすく楽しいもの。

ザ・エンターテイメントだ!


幕が開くと、街の舞台セットも豪華。


早速アラジンの福岡さんが登場して、縦横無尽に踊るから惹きつけられていく。

福岡さんは踊りもキレがあって素晴らしいけれど、演技にも幅があるから、今回の冒頭では悪ガキのティーンエイジャーにしか見えない。

アラジンのお母さん役の楠元郁子さんが、これまた芸達者で、高貴な王妃様役もハマれば、市井のオカァチャン役でガニ股で歩いていてもピッタリくる。


そしてマイレン・トレウバエフさんの濃い悪者登場!

なんと彼は、来季からは登録ダンサーへと移行されるそうで、もう今季までのように頻繁に新国のステージ上では拝見出来なくなる。

そこに立っているだけでも強い存在感があり、1つ1つの踊りから意味が発散されるダンサーだから、その抜けた穴は大きいと思う。

実際、今回のマグリブ人役も素晴らしい。


ストーリーはスピーディに進み、アラジンは砂漠へと誘導される。

そこに現れる「砂漠の風」な乙女達の美しいこと!!

砂色の衣装に、黄金のドレッドヘアーで、それは流れる風のように踊り、うっとり、ずっと眺めていたい。

新国バレエ団って、本当になんでこんなに美女ばかり?!

全身のバランス、お顔立ちはもちろん、優雅で完璧な動き。

憧れるわぁ…



しかしそれも早々と過ぎ去り、舞台は洞窟の中に。


さあ、ここからが豪華も豪華!

まさに宝石の波状攻撃で、息つく間もないまま次々と凄い踊りの洪水にのみこまれた。


中でもサファイア役の本島美和さんの美しさは抜きん出ていて、これだけ美女しかいない新国バレエ団で、更に「麗し~」と思わせる威力はどうなんだ?

こんな本島さんも、数ヶ月前の「ラ・シルフィード」では老婆メイクを施し、ゴツゴツ怖ーい演技をされていた。

プロだ! まさにプロフェッショナル!


ルビーの長田佳世さんと中家正博さんが、これまた完璧。

長田さんは、なんて品格のある踊りをされるんだろうと毎回見惚れる。

中家さんの素敵さも、前回の「ドン・キホーテ」みたいにスペインの兄ちゃんもいいけど、遊牧民な弁髪姿もめちゃめちゃセクシー。


そして、米沢 唯さんのダイヤモンドが輝くことっ!!

贅沢きわまるディヴェルティスマンの最後を飾るには、やはり彼女の強い輝きは必要不可欠なんだと思った。


その宝石たちの間をコミカルに駆け回り、欠片を帽子に集めていく福岡アラジンのキュートなこと!


第1幕では、ほんの少しだけ登場する絢子プリンセスの可愛くて綺麗で情感のあることは、もうここに書くまでもない。



休憩となり、少し席の離れた両親のところに行くと、なんと母は「素晴らしくて涙が」と泣いている。

バレエに関しては常に辛口の母が、こんなに感動するなんて…とビックリ。

専門家の母の意見に120%左右される父も、もちろん「今日は来た甲斐があった」とご満悦。

同行のマダムたちも、1人残らず「大満足」と満面の笑みだ。

休憩中はずっと、「誰それがこんなに良かった」という感動の出し合いに。



第2幕。

「ドラえもん」しずかちゃんの風呂場を覗く のび太…なシーンから始まったわけだが、ここでのツボは、本当に豪快にリンゴを食べてる福岡アラジン(笑)

…と、そういう「クスッ」と笑える芝居も挟みつつ、夢のように美しい2人の踊りがあり、もうどこまでも満足が加点されていく。


いよいよジーン役池田さんの見せ場も巡り、大盛り上がりに!

人気うなぎのぼりの池田武志さんは、踊りもだけど、いつもその表情も魅力的なのだが、今回のランプの精は全身真っ青な強烈メイクなので、その辺はよく分からず^^;

ただ、顔の表情がよく分からない分、踊り全体から発散される彼の魅力は、より純粋に伝わってきた。

休憩になって、かねてより「池田くんファン」な母のところに行くと、なんとまあ、泣いてる。

「良かったわぁ」「よくここまで頑張って」「私も嬉しいわぁ」と、泣いてる。

今年喜寿の、わりとヒネクレ系の母に「感動の涙」をプレゼントして頂き、私もなんだか泣けてきた。



第3幕。


話は本当に、どんどこ早々と、けっこう雑に進んでいく。

アラジンに「どうやってここまで来た?」なんて突っ込んでもいけない(笑)

バレエだからねっ!


アラビアの話だと思ってたら、なんだか獅子舞やらドラゴンが出てきて、中国の旧正月感が漂うけれども、それもまた面白い…ってことだ!

音楽も、プッチーニを更に泥臭く単純化して山田耕筰をまぶしたようになるけれど、そこも積極的に楽しんでいこうっ!


プリンセスのお父さんである皇帝役を、肉布団を着て演じられている菅野英夫さんが、とってもステキ。

菅野さんはドン・キホーテでのガマーシュも、たまらなく可愛かったけれど、今度の皇帝役は威厳があって、娘への愛に溢れてて、アラジン母との絡みも味があって、最高だった。


そして、そして、プリンセスの小野絢子さま!

やはり彼女は新国立劇場の宝、日本の宝だ。

踊りが巧いだけじゃない。

可愛いくて綺麗なだけじゃない。

一言で表すなら、「愛」…なのかな。

自分の踊りを観る全ての人に、彼女は「愛」を届けてる。

彼女を観てると、私は物凄く幸せを感じる。

生きてて良かった、ここに来られて良かった、これを分かち合える人がいて良かった…と思える。




カーテンコールに、期待通りに前芸術監督にして今作の振付・演出であるビントレーさんが、小野&福岡コンビを両脇に抱えて登場。

ここが、個人的には感動のクライマックスだった。

ここまでなんとか堰を切らずに耐えていた涙腺が決壊。

嗚咽しそうになった。



ビントレーさんのプロダクション演目を、また観たい!!!

「アラジン」もだけれど、「パゴダの王子」も観たい! 



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終演後、御一行のみなさまとお茶。

感動さめやらず、母はまだ涙ぐむし、私も瞼が腫れたまま^^;


「まさか貴女、他のキャストも全部観るの?」と聞かれ、「うん、まあね♪」と答えたら、全方向から羨ましがられた。

たまたま誘われてリハーサルの見学ができた時の話も披露し、ちょっと鼻の高い私(笑)



さて、そんな私にとっての次回の「アラジン」は、来週末だ。

楽しみだ~~






新国立劇場バレエ団2015-2016シーズン
『アラジン』
新国立劇場オペラパレス
6月11日(土)14:00開演

音楽:カール・デイヴィス 
演出・振付:デヴィッド・ビントレー 
舞台装置:ディック・バード 
衣裳:スー・ブレイン 
照明:マーク・ジョナサン 
指揮:ポール・マーフィー 
管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団 
             
アラジン:福岡雄大
プリンセス:小野絢子
ランプの精ジーン:池田武志
魔術師マグリブ人:マイレン・トレウバエフ
アラジンの母:楠元郁子
サルタン(プリンセスの父):菅野英男
アラジンの友人:福田圭吾、木下嘉人
オニキスとパール:柴山紗帆、五月女 遥、盆子原美奈、福田圭吾、木下嘉人、原 健太
ゴールドとシルバー:堀口 純、丸尾孝子、貝川鐵夫、清水裕三郎
サファイア:本島美和
ルビー:長田佳世、中家正博
エメラルド:寺田亜沙子、細田千晶、小柴富久修
ダイヤモンド:米沢 唯