金曜日の晩に記憶を無くすほど酔っ払って仕舞った。
其の事に対する反省はわざわざ書かない。

さて、大阪市内で目を覚ました俺は、重たい頭と酒臭い胃を回復させるべくラーメンを求めて梅田を歩く事にした。
酒を飲んだお陰で吐きそうな時は、ラーメンが最高の処方箋なのである。
此れは俺の見立てに過ぎないが、ラーメンには以下の効用が備わってゐるだろう。
即ち、冷えた胃を温め、鈍った舌にも訴えかける味の濃ゆさがあり、油が胃に膜を張って呉れる。

そんな訳でラーメンを食べるべく、土曜日の朝の九時と云う極めて半端な時間に梅田の繁華街を歩き回る事に成ったのだ。
そして、何処も準備中の札を認める事しか出来なかった。
歓楽街ならば或いはと思ったが、其れでも朝の五時まで開いてゐても、九時は論外だった。

十一時開店の店が多い中、調べると、此の揚子江ラーメンだけは十時半に開くと云う。
吐きそうに成ってドン・キホーテの近くで座り込んだりしてゐる内に、何とか十時半に成った。

揚子江ラーメンは、薄味でさっぱりとした味が特色らしく、又有名店らしく、午前中から客が五人か六人かはゐた。
俺が食べてゐる間にも何人も来た。

ワンタン麺を食べたが、本当にあっさりしてゐた。
そのスープは、塩胡椒しか入ってゐないのではと思えるほど透き通っており、味からして、本当にそうなのかも知れない。
「ラーメン」と云う響きの持つ、あの濃く濁った感じとは正反対にあり、所かうどんやそばより余程薄味だった。
シンプルな状態で出された物を、胡椒や揚げ玉葱を好みで掛けて味を客が調えて食べる方式と云うのは、少し中国大陸的かも知れない。
大連でああ云う味の食べ物を何回か食べた様に思う。
確かホテルの脇、細い路地を挟んで向かい側の、鍋料理店の様な、鉄板料理屋の様な、良く分からない店舗だったか。

三泊程度の心許ない印象に基づいてであるが、此の揚子江ラーメンを俺は「本場の味」に認定し申し上げる。
是非他のメニューも賞味したい。


内装は、何処となくレトロ・フューチャルな印象。いや、レトロなだけだったろうか。
値段は梅田のラーメン屋にしては可也安い。
単なるラーメンだと、五五〇円である。