JIN side


いつものように集まる仲間。

隣には大切な彼女。

ずっと思い描いていた「過去」。



東条さんと所長さんの元でタイムリープから意識転送した新月の夜。

僕は無事に「過去」に辿り着いた。




NJ『どうしたの、ヒョン。なんか冴えない顔』


いつもの場所でみんなと顔を合わせる。

あぁ、何年振りだろう。


JM『えっ...ちょっと待って。泣いてるの?』


HS『一体何があったの!?』


揃ったみんなの顔を見たら肩の力が一気に抜けた。

そしたら涙も溢れてきた。


良かった。

みんないる。

僕の目の前に、みんないるんだ。


JK『ヒョン、お腹空いてるの?ピザ食べる?』


口いっぱいピザを頬張るジョングクを抱きしめた。


TH『なんか...何年も会ってないみたいな雰囲気だね』


そうだよ、テヒョン。

タイムリープで会えたには違いないけど、それとはまた違う。


もう何年も何年も。

会いたかったのに会えなかったんだよ。


YG『ヒョン、とにかく中に入って座りなよ』


冷静なユンギの一声で、みんな定位置に落ち着いた。


YG『何か困ったことあったのか?』


『いや...大丈夫だよ。みんなに...会えなくなる夢を見たんだ。すごく長い夢でね。だから今、みんなの顔を見られて安心したんだ』


NJ『ヒョン...なんか小学生みたいなこと言いますね...


ナムジュンの言葉に空気が止まった。

でも次の瞬間、みんな大笑いし始めた。


TH『もう、びっくりさせないでよー』


JM『そうだよ、夢の話なんて』


HS『俺たち、いつもここで会ってるのに〜』


JK『おなか空かせて寝たから悪い夢見たんじゃない?ピザ食べなよ』


YG『ジョングギ、食べ過ぎ』


口々に話すみんなを眺めてるだけで幸せだ。

そうだ。

ここが僕の場所...


*******


ポケットの中のスマホが彼女からの連絡を知らせる。


彼女に会える...

夢の中では彼女すら失ってしまってたんだ。


辛くて苦しくて。

夢の中、街中を一人で歩き回って彼女を探していた。

結局見つからなかったんだよな。

でも、今から会えるんだ。

現実の彼女をこの手で抱きしめられる。


長く悲しい、怖い夢からはもう醒めたんだ。


...そんな悪夢を見ている間にも、温かい希望の光があった気がする。

よく思い出せない。

ただ、その希望のおかげで目を醒ませたのかもしれない、と漠然と思っていた。




『ジンッ!』


彼女の長い髪が夜風に揺れる。

駆け寄る彼女を力いっぱい抱きしめる。


...あれ...


『いたっ...どうしたの、ジン?』


反射的に彼女を自分の体から引き離してしまった。


『あっごめん!...僕の胸に虫が付いてたような気がして』


『えっ、そうなの?虫嫌だー』


パタパタと服を払う彼女が目を合わさずに言った。


『今日も話、聞いてくれるでしょ?私にはジンしかいないんだから』


僕にも君しかいないよ。


でも...

なんだろ、さっきの感覚。


抱きしめた時の、違和感。