JIN side-2.


関連するお話しはこちら

花様年華22-2. 23-1. 24. 32. 33.



つづき


踏切で出会う「彼女」が、テヒョンの姉のソアとクラスメイトだと知った時、これを使わない手はないと思った。

「彼女」がいれば、二人とも救える。


まだホソクとジミンを救い出せていないのに、ソアと繋がりのある「彼女」に出会うことは次のステップへの伏線だと確信を得た。


テヒョンが一度目の「過去」より早い段階で父親に手をかけ兼ねない、と焦っていた僕は、「彼女」と打ち解ける時間を短縮するために、「彼女」の落とした手帳に記された「彼女好みの人間」を演じるようになった。


でも、その目的が、「彼女」にすぐに好かれるように、となったのはいつからだ?


なんでそんなことする必要がある?

僕には「現在」にヌナがいるのに。




8回目の、「彼女」と出会ったタイムリープ覚醒後に、取り乱したことをヌナにちゃんと説明したかった。

なんならいっそ、抱えている秘密、一度のタイムリープで「過去」を何度もやり直していることも打ち明けたかった。


漠然と、ヌナに助けて欲しかったのかもしれない。


でも、ヌナに時間をもらえなかった。

そりゃそうだよな。

あんなふうに焦った僕を見たら、ヌナ、嫌な気持ちになったよね...



ヌナに会えない時間が増えていく一方で、「彼女」に拠り所を見出してしまったのも事実だ。


僕は僕の心が分からないまま、ただ「彼女」との時間を過ごすためだけに、ジョングクを事故に遭わせてしまった。



だめだ...

だめだ、だめだっ!


一体、僕はなんのために、誰のために過去へ来たんだ?


しっかりしろ...!!


*******


12回目のタイムリープでは、運転経路と時間帯を変え、ジョングクとの事故が起きないよう注力した。


結果、ジョングクを事故に遭わせずに済み、予定通りにテヒョンもソアも救い出せた。


安堵を得たと同時に、ヌナに事情の全てを説明すべきだという正論が、僕の胸を押し潰した。



その日の夜、「彼女」から食事に誘われた。

前々から両親について相談がある、と聞かされていた。


楽しくデート、という感じではないかもしれないけど。

僕の「過去」の中で何度もテヒョンたちを救うことを手伝ってくれた「彼女」へ、せめてものお礼にと花束を買った。


スメラルド。

初めて見た花だ。


「彼女」と会えるのは、もしかしたら今夜が最後かも知れないな。


すぅっと花の香りを嗅ぐと、頭がぐっ、と重くなった。




名残惜しく感じる心に、引っかかる誰かの面影...





『ジン!』


彼女の声に視線をやると、眩しい光に視界を塞がれた。



プププーーーーッッッ


ドンッッッ



けたたましいクラクション。

鈍く響いた衝撃音。



彼女が血を流して倒れている。



救急車を呼ぶ必要はない。



あぁ今度は...

彼女を助けるんだ...




*******



スメラルドの香りを嗅いだことで、ジンの過去の彼女の「 」が外れてしまいました...びっくり

ジンの中心がヌナから彼女に置き換わってしまったようですショボーンアセアセ