22-2. save Hoseok and Jimin #2


つづき


「おい、大丈夫なのか!」


勢いよく扉を開き、東条先輩が試験室へ入ってきた。


良かった...

東条先輩まだいてくれたんだ。


脳波やバイタルの変調を伝え、東条先輩が食い入る様にデータを見つめる。


...まぁ何かあったのは間違いないが命に関わることじゃなさそうだな」


東条先輩はそうつぶやいた後、助手にも韓国語で伝えるとジンの手を握り、反応を確かめた。

現在に置いていかれたジンの体に生体反応がある。


「うん...うんうん。大丈夫だ。ちゃんと意識は過去にある」


「すみません...突然呼び出すようなことしてしまって」


もう少し冷静にジンの反応を見ることもできたかもしれない。

でも、あのまま私が何か小さな変化を見過ごしてジンに何かあったらと考えるだけで体が震える。


「いや、これで良かったんだ。何もなくて良かった。そんなに不安がるな」


私の肩にポンと手を置き、東条先輩はそのまましゃがみ込んだ。


「あーっ、走った!めちゃくちゃダッシュしたわ」


苦笑いする先輩に近寄り、改めてお礼を言う。


「ありがとうございました」


分かってるよな、と言わんばかりに私の顔を指差す先輩はいつまでも少年みたいだ。


『覚醒まであとどのくらいだ?』


『予定では4時間ほどです』


東条先輩が、助手からの回答と自分の腕時計とを照らし合わせる。


『少し早いけど2時間で覚醒段階に入ろう。結果として何もなかっただけで、変調トラブルはあったわけだしな』


助手たちが頷き、覚醒時間を調整する。


「東条先輩、あの...


ここは私たちだけで、と言って東条先輩を帰すのが筋だろう。


「いるよ」


えっ?


2時間で覚醒させれば、オランダ戦の試合開始時間に余裕で間に合う」


先輩は無類のスポーツ好きだ。

きっと衛星放送で観たい試合があったのだろう。

それなら尚更...


「明日のランチ、ごちそうします」


申し訳ないけど、今は先輩にそばにいてほしい。

ジンのためにも、私だけじゃ力不足だ。


「おっ。ようやく分かってきたな〜」


嬉しそうに笑う先輩を見て、素直に厚意を受け取ることの大切さも学んだ。


あと2時間。

何かトラブルがあったジンを安心させてあげなきゃ...




『キム・ソクジンさん、声が聞こえますか。目を開けられますか』


覚醒予定時間になり、ジンに声をかける。

覚醒直後の刺激は厳禁。

できるだけ優しく、囁きかける。


そっと目を開けたジンと視線が合った瞬間、ジンの瞳が見開き、慌てふためいた表情になった。


『あっ...いやっ...僕はヌナをっ...別に彼女とは何もっ...


ベッドから勢いよく起きあがろうとしてバイタルサインがアラートを鳴らす。


...

彼女...


誰のこと言ってるの?