JIN side



誰が僕を許してくれるの?

もう僕のそばには誰一人としていないのに。


アメリカから帰国した僕は当たり前のようにみんなに再会できると信じていた。


でも6人の所在を確認し、あまりの凄惨な状況にしばらくは絶望しかなかった。


なぁ、ユンギ、ジミン、ジョングク。

お前たち、本当にもういないのか?

どこかで焦ってる僕を見て笑ってるんじゃないのか?


ホソク。

今どこにいるんだよ。

なんで誰にも何も知らせずいなくなるんだ。


ナムジュン、テヒョン。

お前たちは生きてるんだよな?

それなのに、どうして僕と会ってくれないんだよ。


なんで...なんでこんなことに...


僕はどうしたらいいの?

僕は生きていていいの?


正答のない自問自答を繰り返すうちに涙も出なくなり、立てなくなった。

光を避けるようになった。

息ができなくなった。


このままあいつらの元へ...



『もうお前には二度と会わねぇよ、俺たちは』


ユンギの声が、言葉が唐突に蘇り、瞳を無理矢理こじ開けられた気がした。


僕がどうなったって、みんなには会えない...

もう二度と会ってもらえないんだ...



でも、もし。

もしみんなのうち1人でいい。

会えたら。

その時、僕は誠心誠意、謝らなければならない。

一人の大人として、ちゃんと頭を下げなければならない。


僕自身が中途半端じゃ意味ないんだ。

もっと。

もっとしっかりしなくちゃ。


それからどれだけの時間を要したかはあまり記憶がないが、とにかく健康な人間が送る日常を取り戻すのに必死になった。


食事を摂り、きちんと眠り、外へ出かけた。

誰かに会ってしまうのが怖くて早朝や暗くなってから散歩に出ることにした。


帰国して、いくつかの季節を迎えたあと、アメリカの大学で残していた卒業に必要な科目を履修し、人より時間はかかったが、韓国で大学を卒業した。


就職も考えたが、どうしても父親の名前がついてまわることを懸念した僕は会社を立ち上げた。

元々興味のあったIT関係の会社だ。


最初から何もかも上手くいくということはなかったが、一年経つころには固定顧客を数件携えるようになった。


そのタイミングで父親が口を出してきた。


お前の名前で立ち上げた会社が不祥事や不渡りを起こせば、こっちが困るんだ


そりゃそうだろうけど...

僕の会社は父親の経営する投資会社の傘下に加わった。

僕はいつまでたっても父さんから離れられない。


いや...離れる努力をしなきゃ。

今は言うことを聞いて父さんの口利き案件をこなしておこう。

資本を増やし、僕にもっと力がついたら独立する。

父さんに文句を言われないような会社にするんだ。


そうでなきゃ、あいつらにも申し訳が立たないじゃないか。


後悔と喪失感を鼓舞し、仕事に邁進した。



数年休みなく仕事を続け、心も落ち着きを取り戻した頃、一通のメールが届いた。


みんなと日本へ旅行するつもりで予約していたホテルからのダイレクトメールだった。


【最も人気のある桜の季節 また是非日本そして当館へお越しください】


あぁ。

そういえば旅行は春休みを利用する予定だったな。


あの頃は23日の、ほんのささやかな学生旅行の計画だったけど...


スケジュールに目を通してみる。


仕事を前倒しして、少しばかり持ち出せば1ヶ月くらい休めるかもしれない。


人目を気にしてばかりで、太陽が高い時間に街中を歩けないことに最近ストレスを感じていた。


日本なら知り合いはいない。

行ったこともある。

顔を隠す必要もない。

父さんからの連絡もスルーできそうだ。


何より。

みんなと行きたかった。

多分僕が一番...


すぐにフライトとホテルを予約し、仕事の納期を調整し始めた。


日本に行こう。

みんなと行きたかった日本に。