昔の人って、髭をどうやって剃ってたんだろう?
ってのが気になり過ぎて、無精髭に顔面を飲み込まれそうなきくっちゃんです。

こういうのは分かります。古代ギリシャのアルキメデスさんなんですけど。

でもラムセス2世。ねえねえそれどうやったの?電気カミソリ?
頬とかすんごいつるつるだし。
石?
ヒッタイトの鉄器?
ねえねえどうやったの?



さて、
巷には新玉ねぎが溢れておりますね。
玉ねぎ好きにとってはいい季節です。
玉ねぎ。
色んな料理に僕は使います。
そして、そのたびにとても感動することがあります。
感動と言うか感謝と言うか。
それは
「一方向に前もって切れてくれている!」
ってこと。
例えば、例えばほとんど兄弟と言っていいにんいく。
そのにんにくをみじん切りにするとき(たいていこいつはみじん切りにされますよね)
1.まず皮をむきます。
2.新鮮なものはぴたっと貼り付いていてむきにくいです。ここで一回左手の指が臭くなります。
3.ヘタを落とします。
4.半分に切って、緑の芽を取り除きます。ここでさらに指が臭くなります。
5.その半分を、包丁でだん!って軽く潰します。
6.とんとんとんとんと、1ミリくらいの厚みに切ってゆきます(x軸に直交する断面)。この時点で平べったい輪切りです。
7.その子らを今度は、横に細かく切ってゆきます(y軸に直交する断面)。1ミリ角の棒状。長さは20ミリくらい=にんにくの幅。
8.最後にそれを、長さをカットするように切ってゆきます(z軸に直交する断面)。
もうこの時点で、左手の指には、二週間くらいとれない臭いが染み込んでいます。
1~5はいいんです。やります。
頑張るよ。
でもさ、たかだかみじん切りに(x,y,z)軸それぞれカットするっていう、3つの工程が必要なんです。
面倒くさくね?
そこで玉ねぎです。
そこで玉ねぎなんです。
なんなんですか彼女は。
1. 皮をむきやすいようにヘタを落とします。
2.皮をむきます。むきやすい。
3. そのまま薄く輪切りにしてゆきます。
ええええ! この時点でなんか、もう薄いカットラインみたいなの入ってる!
すげえ。キットカットよりすげえ。カレールーの”割るとこ”よりすげえ。
4. もしかして? とそれと直交する方向にとすとすとすと切ってゆくと、あとは勝手にばらばらになってくれます。終了です。
ねえ玉ねぎ。
なんでお前は最初から「一方向に前もって切れてくれてるの?」
オニオンサラダなんて、もうスライスしただけで細い形状になってくれちゃう。
どうしたの?
都合よすぎない?
なんか僕はこの、玉ねぎの「都合の良い女」っぷりが心配です。
なのに今日も玉ねぎは、誰もが切る前から「一方向に切れてくれてる」のです。
ありがとう自然の神秘。
僕は毎回、玉ねぎを切るたびに感謝の涙がとまりません。
もうこれくらいでいいでしょう。
冷蔵庫もなく保存が出来るとか、衝撃に強くて乱暴に扱っても大丈夫とか、何より安いとか、そんな彼女の良い点をつらつら述べるのはもうやめましょう。
好きです。
好きなんです。
いつもブログが長いとお叱りを受けるので、今日はこの辺にしておきます。
ただ、
ただ、もう少しだけ、
玉ねぎほどではないにせよ、都合が良すぎて心配な子たちのことを紹介させて下さい。
一言づつでも。


ほんとうにありがとう。
むきやすい。あなたは本当にむきやすい。
その上、ほとんどの果物が「どこからむいていいのか分からない」方針を貫いているなか、あなただけは
“ココからむいてください”っていう把手まで付いている。
それだけでももう涙がとまらないのに、あなたはちゃんと、「持つところ」を残しておいてくれる。
上だけむいてね。下はそのまま、むかないで持ってね。
ありがとう。
食べ進んだ分だけむけばいいから。
ありがとう。
そして食べ終わったあとの、なんか食べカスを皮で包んで捨てる丁寧な感じ(カス自体が皮なんだけど)。
ありがとう。


ほんとうにありがとう。
なんであなたには容器がついてるの?
しかも口に入れる時に押すだけ!
嬉しい。
分かってる。
わかってるって。
その毛、滑り止めだよね。
ほんとうにその心遣いがたまらないよ。


ありがとう。
卵のために、自分が「食べられる容器」になるなんて。
コーン。ソフトクリームのコーンだよね?
卵だけより、あなたと一緒に食べた方が美味しいもの。
ううん。分かってる。みんな分かってるよ。
小骨が柔らかいことはみんな気づいてる。


ほんとうにありがとう。
なんでわざわざ”持つ所”がついてるの?
誰が見ても「ここ持ってたべてね」って分かる配慮。
子供はみんな、ケンタッキーの中であなたのことしか見てないよ。
僕もかつてはそうだった。
ずいぶん大人になってしまったね。反省だよ。
やれやれ。
やっぱり僕らはチキンの足に感謝すべきなんだ。
好むと好まざるとに関わらず。


ほんとうにありがとう。
お皿。
海のエキスを、たっぷり楽しんでねっていう愛。
しかも君のお皿はとても素敵な見た目だね。
外側はあんなにごつごつしてるのに、中は綺麗なパール仕上げ。
僕らは、海のエキスだけじゃない。そこにいろんな物を入れて楽しんでいるよ。
レモン。すだち。醤油。紅葉おろし。ウイスキーなんて人もいるよ。
たぶん僕らの祖先は君をみて、食器ってものを思いついたんだ。
さいごに、
さいごに、
もうちょっと考えてくれよ、って子たちにもひとこと言っておこうと思います。
愛するが故。
感謝するが故の、お小言です。


カキを見習っておくれ。
お前の容量じゃ、焼いたときエキスがほとんどこぼれてしまうんだよ。
形状も浅すぎる。
できればやり直して欲しい。
まだ時間はある。


どうすればいいんだ。
そんなに大きくて、そんなに爽やかで、簡単に切れて、”持つとこ”までちゃんとあるくせに、
なんだよその種。
なんで豪快にかぶりついた後、口の中でもにょもにょもにょって、お前を探さないとだめなんだ。
考え直してくれ。ていうか、まとめておいて欲しい。
まとまったのならいつでも来い。
扉は開いているよ。

あ、もういいですか。
そうですか。
ではおやすみなさい。