さあさあ。今晩は中秋の名月。十五夜です。
お月見しないとね。
実は一日早く、昨日食パンを食べながらベランダでお月見したきくっちゃんです。
月見団子じゃなくってね。

あそだ。みなさん“月見団子”で思い浮かべるのってどんなん?

たぶんこれですよね?
ぼくだってそうでした。
日本昔話やサザエさんなんかで見たことあるし、当然こういうのが出てくるのかと期待していた少年時代のきくっちゃん。
えー。
えー。

京都では、月見団子と言えばこういうのです。
なんかながぼそい。

むりやり三方に乗せてもこう。
え?ですよね。
なんでも京都好きと思ったら大間違いのきくっちゃん。
この団子だけはなんか嫌だ!

これがいいー!
ってまあ当然わめいたんですが、生まれも育ちも京都は嵯峨な母親には理解出来ないらしかった。
僕が、ほらこれー!って、上の写真みたいな絵を描いたら奴はためらいもなくこう言ったね。
「あー、それはな、このお団子を山型に積み上げたもんや。正面からみたらそうなるで」

こういうことらしい。
え、いや、違う、、、と思うけど、、って納得いかない僕にさらにこう言ったね。
「そんな積み上げてもな、あんこがひっついて全然美味しないで。黙ってはよ食べ」

みさなーん。
京都人、やっぱちょっと変ですよー。
まあそんな十五夜です。
え?十五夜?
今日って19日やん!
って言ったあなた。
鋭さと不勉強が同居した素敵なあなたですね。
好きです。
そう。
今の暦だと満月とカレンダーの間にはなんの関係もないんですね。
つまらない。

つ・ま・ら・な・い。
ちなみに過去5年を調べてみると。。。
西暦、 旧暦の9月15日、 満月の日
2009年 10月04日 10月03日
2010年 09月23日 09月22日
2011年 09月12日 09月12日
2012年 09月30日 09月30日
2013年 09月19日 09月19日
※旧暦は天保暦。
んー。見事にしっちゃかめっちゃかですねー。
MSMですねー。
誰が悪いんだ!って叫んだあなた。
正直さと不勉強が同居した素敵なあなたです。
で、誰が犯人かを考えてみると、、、まあ一番悪いのはお月くんですね。
月の公転周期と地球の公転周期が整数比になってないのが原因です。
つまり、地球が「去年と同じ」とこに来てるのに、月は関係なく好きな位置にいるからなんですね。
だから、来年の9月19日は当然満月じゃないです。
地球が先に太陽の周りを回っていたので、悪いのは月。
合わせろよな!
ぴったり一年で戻ってこいよな月!

次に悪いのはカエサル君です。ユリウス・カエサル。
英語読みだとジュリアス・シーザー。
さて、そもそもほとんどの文明が暦として太陰暦、つまりお月様基準のカレンダーを使ってきました。
お日さまひと巡り→いち日。
お月さまひと巡り→ひと月。
自然な発想ですよね。
で、次が問題なんです。
穀物の種まきや収穫なんかを考えると、もう一つ上のスケール、つまり“一年“を考えないといけなくなる。
誰だって、大体同じ季節に種はまきたいもんです。
でも、さっきのひと月をいくら重ねても、なーんかおかしいことに気づきます。
さっきの「月の勝手な運行」が原因です。
正確には、月の周期が29.560588日。12倍すると354.7207056日
これは地球の公転周期365.24219日より10.5日も少ない。
つまりお月さまベースの暦で一年を考えると、毎年11日近くも季節がずれるのです。
人類の暦の歴史は、このズレをどないして調整するか、って歴史なんです。
言ってしまえば、どーやったって「なにかしら変」になるんです。
いま僕らが使っているこのカレンダー。
グレゴリオ暦といいます。グレゴリウス暦とも。
もともとはローマに起源を見ることができます。
それにエジプト暦の閏年システムを合体したもの。
ローマの人、さっきの「月周期と一年のズレ」をどうやって解決してたか。。
これ、なかなかに渋いです。
種まきの月(いまでいう3月)をスタートにして、10ヶ月数えたら終わり。
しばらく放置。。。冬は日付なし笑。
これ、ナイスです。
農耕に関係のない冬はいいんじゃん?ってワケで、毎年リセットしてたんです。
Martius (マルティウス):マルス(軍神の月)
Aprīlis (アプリーリス):アプロイデ(愛の女神の月)
Māius (マーイウス):マイア(豊穣の女神の月)
Jūnius (ユーニウス):ユノ(女主神の月)
Quīntīlis (クィーンティーリス):五の月
Sextīlis (セクスティーリス):六の月
September (セプテンベル):七の月
Octōber (オクトーベル):八の月
November (ノウェンベル):九の月
December (デケンベル):十の月
10ヶ月しかない。
途中からめんどくさくなってタダの数字になるとこなんか、なんか可愛いっす。
数の表記は今でも残ってますね。
5人組:クインテッド、とか
セクスなんてまんまシックスだし、
オクト=8は、オクトパス(8本足)、オクターブ(8音)、
デカ、デシも10とか1/10で使います。デカメロンは十日物語。
さあ、飽きてきたのでこっから一気に現代の暦までいきます!
まず、冬なんもなしはまずいだろー!ってことで
Jānuārius(ヤヌアリウス)と
Februārius(フェブルウス)が足されます。
ちなみに日数は、奇数月が大の月(31日)で偶数月は小の月(30日)っていたってシンプルでした。
ただしこれだと一年が366日になるので、最後のFebruāriusだけ、一日削られて29日の月になりました。
これでいいんです。
これで終わりでよかったんす!
こっからが阿呆の登場です。
こいつ。

最低の暴君ユリウスカエサル。
こいつが
「なあなあ、おれの生まれたQuīntīlisの月さ、Juliusにしよーぜ。てかしろよな」
って言って変えちゃいます。
俺の月です。
ほんでもってその後、もっと阿呆なこいつの養子のアウグストゥスが、「じゃあ俺もー!」つって、戦争で勝ったSextīlisをAugustusにしちゃったんです。

こいつ。顔がやだ。
しかも、さらに阿呆なことに
「おれの月が小さいのは許さん!」って、このAugustusの月を31日にしちゃったんですね。
でもこれだと一年がまた366日になっちゃう。
ってワケで、またまた最後の月Februāriusを削って28日にしやがったんです。
ばかか。
ば・か・か。
整理。
Martius (マルティウス 31日):マルス(軍神の月)
Aprīlis (アプリーリス 30日):アプロイデ(愛の女神の月)
Māius (マーイウス 31日):マイア(豊穣の女神の月)
Jūnius (ユーニウス 30日):ユノ(女主神の月)
Julius (ユリウス 31日):カエサル俺の月。もとQuīntīlis
Augustus (アウグストゥス 31日):バカ息子の俺の月。もとSextīlis
September (セプテンベル 30日):七の月
Octōber (オクトーベル 31日):八の月
November (ノウェンベル 30日):九の月
December (デケンベル 31日):十の月
Jānuārius(ヤヌアリウス 31日):ヤヌスの月
Februārius(フェブルウス 28日):最後の可哀想な月
完成!
そう。
これが今僕らが使ってる暦なんです。
なぜかJānuāriusからはじめて
じゃにゅありー、ふぇぶらりー、ってアレです。
あとの歴史はもうどうでもいい。
さっきの公転周期の端数の処理のために閏年をどう入れるか、って工夫でグレゴリオさんが改良したりしなかったり。。。
書くと面倒くさい。
てわけで、まとめると。
好き勝手に回ってる月と、暴君のカエサルと、阿呆のどら息子アウグストゥスのせいで、月の満ち欠けとはなんの関係もない上に、各月の日数もめちゃくちゃっていう、変なカレンダーになったのです。
ばかやろう。
つなみに、明治5年まで日本人が使っていた天保暦は、太陰暦(月の満ち欠け)と一年の整合性が取れた、なかなかに美しい暦であったみたいです。
もちろん三日月は三日に、十五夜(満月)は十五日に、っていう素敵な暦だったのに。
いいですよね。月のカタチで日にちが分かるって。
ちょっと不思議なのは、暦の語源が「日読み(かよみ)」なこと。
月を読んでいたのだから「つきよみ」でもよかったのにね。
さあ今宵もきくっちゃんはベランダで食パン食べるよ。