レイテンシー | 夕食ホットオフィシャルブログ

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美容師のボーカルしょったん+建築家の鍵盤きくっちゃん+ぬいぐるみのギターすだっちからなる異色ユニット「夕食ホット」の公式ブログです。

みなさまこんばんわかめ。

連日の蒸し暑さに、若干太陽にキレ気味のきくっちゃんです。


ぎらっぎら照らしやがって!

8分前の光のくせに!
ばかやろうめ。


知ってる人は知ってると思いますが、地球から太陽までの距離ってだいたい1億5千万kmで、光の速さで8分19秒ほどかかるんです。
てことはですね、きくっちゃんが「おい太陽ええかげんにせえよ」って睨みつけても、それに太陽が気づくのが8分19秒後。さらに、それを奴がシカトしたのが僕に分かる(日差しが弱くならない)まで8分19秒かかる。


うっとおしいけどあほうなやつですねー。
シカトするだけで17分近くかかってやがんですよ。

ちっぽけな人間ひとり無視するのに17分も使ってやがんですよザク


$しょったん&きくっちゃん&すだっちでひとつのブログ!


ちなみにお月様の距離なら光速で1.3秒なので、僕らは1.3秒前の月を見て、君ヲ想フたりしてゐるのです。


こういう反応の遅れのことを、レイテンシーと言います。
直訳すると「遅れ」。
そのままですね。

雷が光ってから音が鳴るまでの遅れ。これもレイテンシーです。
※そもそも稲光が届くのさえ少し遅れています。


音楽をやっていると、このレイテンシーは大問題です。
あたり前ですよね?
だって時間の芸術ですから、それぞれの時間に遅れなんかが生じたらえらいこっちゃです。

ところが、これまたちょっと考えると分かるんですが、このレイテンシー。
どう見たって(聞いたって)理論的に0にはならないんです。



例えばしょったんの歌をレコーディングするとします。
コンピューターを使います。
伴奏はもう録音済みです。

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でもいったい、しょったんは何を基準に歌を歌えばいいんでしょうか?
信号の流れを追ってみますと、

ピアノ伴奏データ→コンピューター内部処理→ケーブル→ミキサー等→ケーブル→ヘッドフォン→電磁石→空気→鼓膜→内耳神経→脳→運動神経→声帯→空気→マイクのダイヤフラム→ケーブル→ミキサー等→コンピューターへとまた伝わり、コンピュータがそれを処理してデータに変換し記録。

世の中には光より速いものは絶対にないんですが、それだって有限(毎秒30万km)です。
しかも上に書いた経路では
・ 電気信号:光の1割~半分程度
・ 音:毎秒340m
・ 神経伝達速度:毎秒0.5~60m

実はめっちゃ遅いんです。


例えば、しょったんが合図を聞いてから反応して声を出すまでにどれくらいかかるか?
これ、まともにいくとだいたい0.2秒かかります

http://www.mathsisfun.com/games/reaction-time.html
※ 反射神経を測ってくれるサイト。0.2~0.3秒の間になるはずです。
iPhoneとかだとflashないので見れないっす。。

機械だって、放っておくと0.1秒くらい平気で遅れてきます。


いいんじゃん0.2秒とかさ。


って思ったそこのあなた。
なめんなよです。

なめんじゃねえよです。


★ヒマなので0.2秒遅れたらどんなことになるか、作ってみました。

ジャストタイムなかえるのうた。
http://u-hot.net/k/kaeru_00.mp3

(ドラムから)0.2秒遅れのかえるのうた。
http://u-hot.net/k/kaeru_02.mp3

これ、もし2人のプレイヤーがお互いを聴きあって演奏したとしたら、レイテンシー0.4秒です。
http://u-hot.net/k/kaeru_04.mp3


・・・もうしっちゃかめっちゃかですよね?


しかもこれ、よく考えたら音楽に限ったことじゃないです。
僕たちは普段の生活でも、何かを見て、それを処理するだけで0.2秒くらいかかっちゃってるんです。


すげくないっすか?


あなたが見ているその世界は、本当は0.2秒過去の世界なんです。
あなたとあなたの友達が楽しそうに話している時、本当は0.2秒ずつ遅れ合っているんです。


なのに僕らは、そんなことちーっとも感じることなく、”リアルタイム”に、あるいは”同時”に、世界を感じてるものとして暮らしていますよね?


目が合って、同時にどきーっとしちゃったりなんかしちゃいます。


それは、脳みそがレイテンシーをきちんと先回りして(0.2秒後の位置や反応を予測して)指令を出してくれているからなのです。もちろん無意識にです。

言い換えると、僕らは常に0.2秒未来の世界に生きているのです。
すげーなー。って


・・・ただそれだけの話です。


でもたまに、そのことを感じながら暮らしてみるのもまあなかなかオツじゃあないですか。


てわけで、最後に、
『あなたも感じてみよう。世界にあふれるレイテンシー実例集』
をおすそ分け致します。


1. 電話で歌うシャアザク
みなさん、電話って、いつもの会話と同じようにしていますよね?
甘いっす!
では早速、誰かと電話実験をしてみましょう。
ふたりで「せーの!」ってかえるのうたを歌ってみましょう。
びっくりすることが起きちゃいます。
※仲のいい人とやりましょうね。


2.止まっているエスカレーターでおっつってなるシャアザク
エスカレーター。普段は動いています。
でも終電後なんかで、ふざけて止まっているエスカレーターに乗っちゃったことありません?
おっつっっっつ。ってなるはずです。
おっつってなる理由はいくつかあります。
・”階段”と違い、徐々に段差が高くなっている
・縦縞なので距離感が掴みにくい
・そもそも酔っている
・ そしてレイテンシー
→実は普段0.2秒未来に生きているので、僕らは自然と0.2秒後の位置を想定して足を踏み出しているのですが、実際には動いていないので変なことになるのです。
※酔っぱらったあと、好きな人とやりましょう


3.風を見るシャアザク
風速って案外遅いんです。普段だと毎秒1m~3mくらい。
台風で10mとか20mです。
さて窓を開けて、お好きな木を一本選びます。
無風なら完璧です。そして風を待ちましょう。
仮にその木までの距離が15m(車3台くらい。近いですね)だとすると、その木がさわさわーーって風に揺れてからあなたの窓に風が届くまで、10秒前後かかるんです。
実際にやってみると分かりますがそうとう遅いです。
でも、うまくやると風が見える気がします。

オツなもんです。

ええ。


草々