"組合わさったらなんか言いにくくなった言葉" を、日々集めているきくっちゃんです。
例.オレンジジュース。ミンククジラ。ザンベジ人。新宿区。ウキウキ気分。。。
こういうのはみんなまとめて、
オレンジュース!
ミンクジラ!
ザンベ人!
しんじゅ区!
ウキウ気分!
でいいと思う日々なのです

えーと。実はずっと
きくっちゃんのブログは長い。
ってのがなんとも気になっていまして、なんとか短くしよう短くしようと日々努力しているきくっちゃんでもあるのです。
さっきの「ミンククジラ→ミンクジラ」でも一文字減らせます。
さて。てわけで今回は短めに。。。
(もう既にしょったんのブログくらいの長さになってしまった)
えー。
昨日ですね、街中の果物屋さんでなんとスイカを見つけたのです。
西瓜。
まだ5月ですよ?
でも、それについてネチネチ言うのが趣旨ではないんです。
旬がどうとか、んなこたあどーだっていいです。
阿呆が5倍の値段で季節違いのフルーツを買おうが知ったこっちゃないっす。
じゃあ何か。
なんと果物屋さんの店先で僕、突然スイカにココロを持っていかれちゃったのです。
「あ、スイカだ」って思ったその瞬間、突然胸の奥底のやらかい場所をしめつけられちゃったのです。
しばらく眺めちゃいました。
先に言っときますと僕、スイカ、別に好きでも嫌いでもないです。
食べない年があっても全然オーケー。
逆に、さあさあ、まるまる半分食べなさいさあさあ!って言われりゃ、頑張れなくもない。
そんなスイカなんですが、昨日突然、渋谷の店先で、
とってもとっても愛おしく思えてしまったのです。

なんなんでしょうこいつ。
まずこのでかさ。
意味なくでかい。
ただただでかい。
そしてこの緑色。
果物ってなんとなく「華」がありますよね?
だのにこいつ。
葉っぱとか茎とかと同じ色してやがんです。
まあでかいキュウリだから仕方がないんですが、、、。
そしてこの意味不明の模様。
ぜんっぜん美味しそうじゃない!
この意味不明のデカさって、フランケンシュタインとかチェ・ホンマンに通じるモノがありません?
「かわいそうな大きさ」とでも言いましょうか。

元々のチェホンマン。

最近の(疑惑の)チェホンマン。
そう。
なんとなく残念な感じが漂ってるんですねスイカって。
例えばあなたが六本木だか丸の内だかで、まあまあ張り切ったランチを食べたとします。
特別な午後、的な3,000円のランチコース!みたいなの。
で、コースの最後に『デザートは季節のフルーツです』ってスイカの切り身が出てきたら、
「ちょっとおい」
ってなりますよね?
「おいこらおい」って。
そう。それは残念な午後。
これがライチとかイチゴとかメロンとかなら全然問題ナッスィングっす。
オレンジとかビワとかブドウが出てきても、案外「ああ、これってもしかして契約農家の、なんかすんげえこだわりのフルーツなんだろな」って思うと思います。
そう。
スイカ。
それはかわいそうな大きさの果物。
話をすすめます。
さあ切ってみましょう。

綺麗なんす!
綺麗なんです!
緑の皮→真っ赤な果肉!って補色を使った展開も、
ごつごつ→ジューシー!ってテクスチャーの落差の演出も、
なかなかのものなんです。
なはずです。
でもね。
でも、
なーんか華がない。
赤いのに華がない。
なんなんだいったいおまえは。
なんかさー断面が雑なんだよね。
切る方だってぜーんぜん神経使わない。
桃をむく作業が"細やか度"100とすると、スイカ切るなんて"細やか度"ゼロですゼロ。
てゆうかなんならスイカ割りってのもあるくらいだし。
だいたいさー。
たたき割っても成立するフルーツって他にあります?
なんなんだいったい!
そして最大の問題は種!
タネですよタネ。
もうワケ分からん。
「食べちゃいけないのに、ランダムに割とたくさん三次元的に埋まってる種」ってよー。
誰しもが、あ~一度でいいから種のこと気にせずにがっすがっすかぶりつきたい!って思ったはずです。
実はあるんですね。

種なしスイカ。
ところが、これが不思議な事にこれ、ぜんぜん売れないんだそうです。
値段がちょっと高いとか、糖度が低い、とか、いろんな理由を敵は探っているそうなんですが。
じゃあ同じ値段で同じ甘さならきくっちゃん種なしスイカ買う?
って聞かれたら、、、
「んー。なんか買わないと思う」
理由はわかんない。
知りたくもない。
そんなスイカ。
そんなスイカのスイカたるスイカ的な要素の極めつけは
「90%以上が水分」ってとこですよね。
あいつさ。
水なんすよ。
けっきょく僕らの気持ちの9割はやつらには届いてないんです。
うちらはただただ水を哀れんでいるだけなんです。
さてそんなスイカ(どんな?)。
昨日果物屋の店先できくっちゃん、スイカにきゅんきゅんして、そしてとあるエピソードを思い出したんです。
かの宮沢賢治のエピソードです(大していい話じゃない)。
農学校の先生だった賢治は、農作業のあと生徒を「日本一のスイカを食べにいこう」と誘います。
スイカ畑についた賢治、なんとあたりをきょろきょろと見回すと、おもむろにストローをスイカにぶっさしちゅうちゅう吸いはじめたそうです。農作業でへとへとだった生徒達も思わずマネをして、みんなで仲良くスイカ泥棒。でもやっぱり見つかって、わーー!って逃げたそうです。
その夜、「やっぱアレはいかんよね」って話し合って、結局みんなで謝りに行くのです。
これ、なんだか素直に楽しめない、中途半端な話ですよね?
でもさらに中途半端なことに、実はこれ、賢治が前もって地主さんに代金を払っておいたイタズラだったんだそうです。
うーん。
好きだぜこういうバランスの悪い先生。
で、何が言いたいのかと言いますと、、
でもなんか気になるよねスイカ。
嫌いになれないよねスイカ。
むしろ、おまえのその朴訥(ぼくとつ)キャラ、貴重だぜ。
ってことなんです。
むしろおまえがフルーツとしていてくれてありがとう、とすら言いたくなる僕がいるわけなんです。
早く夏になって、僕に元気な姿を見せておくれよ。って。
なんか突然、渋谷のフルーツ屋の前で、そんなことを思ってしまったきくっちゃんだったのです。
話ってのはそれだけです。
ドリアンが「フルーツの王様」なら、、、
マンゴスチンが「フルーツの女王」なら、、、
スイカは「フルーツのチェホンマン」であってはならない。
というわけで、最大限の親しみを込めて、この朴訥な果物スイカを、
今日一日、「フルーツ界の宮沢賢治」と呼びたいと思います。
ではさようなら。