『帰りバッグぱんぱんの法則』により、ぱんぱんのバッグとともに新幹線に揺られているきくっちゃん

なんでしょうね。
だいたい日帰りだし。。。
特になにも増えたわけじゃなにのに(てゆうかむしろ図面の分ちょっと減ってるのに)、なんで旅行帰りのバッグはぱんぱんになるんでしょうね。
“行き”よりも明らかに厚みが増してる。
困ったもんです。
似たのに
『デスクを二倍大きくしても、散らかる書類が二倍に増えて散らかったまま』の法則があります。
自動で鞄の中をデフラグしてくれる小人がいればいいのに。。。
すっ
すっ
て、図面とかファイルとか財布とかおみやげをきれいに整えてくれる小人。
A4クリアファイルからちょっとはみ出して、端っこが「くちゃ」ってなりそうな書類を
すっ
すっ
って器用に戻してくれる小人。
一回開けちゃったポケットティッシュが、なんかでろーんぐちゃぐちゃーって、外に飛び出しそうなのを、
すっ
すっ
って、畳みながら服を着せるみたいにティッシュ袋に戻してくれる小人。
散らばった粒ガムを
きゅっ
きゅっ
ってきちんと筒の中にもう一回収めてくれる小人。
倉庫におけるフォークリフト的な役回りの小人。
いねーかなー(いねえよ)。
あ。
どうでもいいけど(ていうか、もともとこの文章がどうでもいいけど)、コンピューターのストレージなら、こういう役回りの人が実際にいるんですよね?
その子が、はいあなたこっちね。はいあなたはそっち空いたから入って。
うんうん。
はいはいタグつけときましょうねー。
ってやってるんですよね?
『マトリックス』の世界なら、ひょろひょろで不健康なイギリス人ギタリストみたいな若者がやってそう。
もしここに、ストックしてゆくだけのどでかい倉庫があって、そこに、入ってくる品物をどんどんテトリスみたいに綺麗に詰め込んで行く賢いフォークリフト君がいたとします。
そのフォークリフトは、その倉庫の中でしか生きてゆけません。
優秀な彼はどんどんどんどん、もう1mmの隙もなく、熊本城の石垣並みの精度でその倉庫に品物を詰め込んでゆきます。
さて、最後の瞬間。
つまり「もうこれ以上ココには空きスペースないよ」の瞬間。
この優秀なフォークリフトの周りには、1mmも空間が残されていないはずです。
もう動けないフォークリフトが一台と、その周りに目一杯満たされた品物。
これがこの世界(倉庫の中)の全て。
役目を終えて身動きの取れないフォークリフトは、もうフォークリフトではありません。
形而上学的には
“フォークリフトのカタチをした空洞”
がそこにあるだけなんです。
現実の世界では、フォークリフトが消えてしまうことはもちろんないのだけれど、もしこれがプログラムの世界なら、このアナロジーはアナロジーじゃないですよね。
データを記憶するある装置(ストレージ)と、そこに常駐するストレージ管理プログラム。
この話なら、最後の瞬間、彼(プログラム)はそのまま消えてなくなることも出来そうです。
つまり最終的に、その記憶装置は
“その管理プログラム分の空き容量”
を残して終了となるんです。
綺麗だなあ。
彼は役目を終えると消滅する。
だけれど、自分が組上げたデータの塊のなかに、空洞となって残るんです。
裏返しの彫刻みたいに。
もし世界を作ったある存在があったとして(仮にそれを“さよちゃん“と呼びます)、さよちゃんは、毎日毎日せっせと世界を作ります。
さよちゃんが
「なんだかたくさんたくさん青い光で地面を覆ってあげようよ」
って言ったら、そこに空が生まれます。
「昨晩吹き荒れた風はぴたりとやんで、いまはビルの側面に張りついている」
って言ったら、その日はびっくりするくらい世界が静かです。
そうやって地面やら空やら風やら森やらぶたさんやらをどんどん作り、最後にさよちゃんは海をつくります。
それで世界が完成。
「さあできたようみ。おまえでさいご」
って言った瞬間、さよちゃんは自分が作った海の中で消えてなくなるんです。
もう存在する意味がなくなったから。
さよちゃんが消えたその瞬間、海のなかに、ちょうどさよちゃんの形をした空洞が残ります。
本来なら次の瞬間、まわりの海水がその空洞に入り込み、それはすぐになくなってしまうのですが、
さよちゃんが消えてしまうのを悲しんだ”うみ”が、その空洞を潰さずに残しておくんです。
やわらかい水で包んで、ずっとそのすきまを残しておくんです。
そして、世界中の海の中をそのやわらかい空洞が泳いでゆきます。
もし誰かが偶然をそれを見てしまったら、「女の子のカタチの泡が泳いでた。凄くきれいだった!」って言うと思います。
それが人魚の正体だったらいいなあ、って思うんですが、それを書いている僕はおっさんなので相当気持ち悪いです。
(おわり)