ニュースとかで、"政府は年金の国庫負担をめぐり・・・"
みたいなことを聞くたびに、Cocco大変やな!って心配になるきくっちゃん

そうなんですよね。
突然身の上話なんかはじめたあげく、途中でやめちゃったってたんですよね。
ばれましたか。
どーせだれも読んでないし、しょったん

※後日、面白くなかったのはコロニーのくだりだったことが判明。
以後気をつけて下さいって(うっせー)。
しかも三題噺!って言いながら、結局書いているうちに長くなって一話一題になってるっていう。
それ、三題噺じゃなくて
普通のブログやん、っていうね。
『その1、壁の厚み』
『その2、ガラスの白鳥がうきゃーと鳴いた日(違ったっけ?)』
えー。
で、最終話です。
突然ですが皆さん。
「おれ、あの映画見て人生かわったんだよね」
だとか
「私、この一枚の写真に衝撃を受けて、いまこの業界にいるんです」
みたいな話。
いわゆる
"人生一発、衝撃の出会い ~芸術編~"
系の話。
ああいうの、信じます??
超カタい頭のキクチ少年は、そういうの、まーったく信じてなかったんです。
うーそーだーねー。
って。
かっっっこえー。へー(- _ -)。
って。
そんな男が、3日間なにも出来なくなるほど衝撃を受けた、とあるライブのお話です。
【梅田 HEAT BEAT】
かつて大阪の梅田にあったライブハウスの名前です。
うめだヒートビート。
そんなに大きくないけど、結構大物もライブする、みたいな感じのハコです。
BLITZ系よりは小さく、クアトロ系よりは一回り大きい、くらい。
21世紀になるにはまだあと数年、みたいなある年の暮れ。
22歳だか23歳になったキクチ青年は、ここでとある女性アーティストのライブを見ることになります。
本当は○○さんのライブ、って書いてもいいんですが、その体験があまりに個人的すぎたので、なんかうまく言えないんです。そこはご勘弁下さい。
口に出すと、その瞬間にただのファンみたいになっちゃいそうで。
そういうことってありますよね?映画でも小説でも音楽でも。
その日、晴れていてすごく寒かったのを覚えています。
ライブハウスに入ったところで、なんかものすごい熱気で会場爆発寸前!
みたいな感じではありませんでした。
わりと静かにみんな待っている空気。
でも、そこにいる人間どうし、一種異様な連帯感みたいなものに包まれていた記憶があります。
それはそのライブが、彼女がメジャーデビュー後発の大阪・東京二大都市ライブだったからなんです。
実は、デビュー直後"東京で一度小さめのライブをした"っていう情報はあったのですが、ネットがほとんど浸透していなかった当時、それは関西では都市伝説に近いものでした。
「インディーズ、あるいはメジャーデビューしたてのその時期に、現在よりもはるかに少ない情報のなか彼女の歌に出会い、そしてこの場所に辿り着いた人々」
そういう連帯感と高揚感に、約1000人が静かに身を委ねている。そんな雰囲気でした。
僕はどうやってその場所に辿り着いたのか。
本筋ではないので箇条書きにしてみます。
・化学者になる気はなく、デザイン系の大学に行き直そう。って思う。
・どうせなら理工系がベースのとこがいい(=もっかい受験せなあかん)。
・受験勉強と学資金稼ぎをかねて予備校の先生になる。
・正直、ちょっと時間に余裕のある一年を過ごす。
・突然目覚めたクリエイター魂(前回参照)にエサを与えるため、映画やライブやサブカル雑誌や旅行なんかに必死になる。
・その年(ライブの年)のはじめ、一人旅中の那覇のタワーレコードである曲が流れていた。
・店員さんに聞くと、「これです」って渡されたのがインディーズの彼女だった(名前もメジャーデビュー後とはちょっと違ってました)。
・じつはこの時点ではそれほどでもなかったけれど、旅行テンションで買ってしまう。
・京都に帰ってから、もうヘビーローテーション。
・そのアーティストがメジャーデビュー。たしか3月かな?
・年末に大阪でライブやるらしい! という情報ゲット。
・で、必死で調べ、発売日朝10時にぴあに行ったらもうぜんぜん全くすぐに買えた。
(電話予約で抽選!みたいなの、ぜーんぜんなかった)
って感じです。
さて、その静かな連帯感に包まれた12月の梅田HEATBEAT。
たしか18:30開演だったかな?
BGMがすんっ、てなくなり暗転。
いきなり大爆音でどロックなイントロが流れた瞬間、会場が沸騰しました。
ほんとうに死ぬかと思った。
結構前でぼーっと立ってたんですが、いきなり後ろから人の波が。
背中と後頭部にものすごい衝撃が。
その瞬間、呼吸困難で意識が飛びそうになりました。
圧迫で息もほとんど出来ないのに、さらにグルーブにあわせて全員が揺れる跳ねる飛ぶ叫ぶ。
人の上に乗ってダイブしてるやつとかもいました。
とにかく凄まじかった。
歌も演奏も圧倒的だった。
※失礼かもしれないけれど、その後の彼女のライブほとんど行きましたが、あれを越えるステージには出会えてません。
勝手な想像だけど、ステージの上のメンバーも
「この場所にこうしていられること、その奇跡に身を委ねている」
そんな感じに見えました。
穏やかな曲になっても、もうその沸点は下がらない。
全員ぎゅうぎゅうに密着しながらゆーらゆーら揺れてました。
「泣き崩れてふらふらなのに、びっちり人に囲まれてなぜか立ってる事になっている女の子」
みたいなのがそこかしこいいました。
たぶん2時間弱。
MCもほとんどなく、どんどん曲が押し寄せ、そして唐突に最後の曲がはじまります。
それまで僕たちが手にしていた、どのCDにも入っていない曲でした。
その曲は、いまでも僕が世界で一番好きな音楽です。
はじまった瞬間、
「あ、特別な曲だ」
っていうのが分かりました。
ステージ上のメンバーの顔が変わったから。
それまで、ものすごい爆音で必死に演奏をしていた彼らが、
もう本当に突然、ふっ、てなんともいえないフラットで優しい顔になったんです。
照明も白一色でした。
ただただずーっと強い光。
その真っ白な光のなかで、真っ白いワンピースの彼女が歌いはじめたその瞬間、本当にびっくりするくらいの涙がさらさらさらーって流れ出しました。
綺麗な曲だったなあ。
なんか体中の力が抜けて、立っていられなくなりました。
でも周りはもちろんぎゅうぎゅうなまま。
「泣き崩れてふらふらなのに、びっちり人に囲まれてなぜか立ってる事になっているきくっちゃん」の誕生です。
そっからの5分間。
真っ白な光と、優しくて強い歌と、支えてくれている周りの人に身を委ねながら、
なぜか僕
小学校の帰り道とか、ものすごく暑かった体育のグラウンドとか、高校の放課後のケンタッキーとか、、、
とりとめもなくいろんな風景を思い出していたんです。
素敵な時間でした。
一生忘れない。
ライブの後、本当にどうやって帰ったのかも覚えていない。
そこから3日くらい、何にもできずに、ただただそのときの光景を思い出していました。
まあそこから徐々に普通の生活に戻って行くわけなのですが、あの日、あの真っ白な曲が僕を通り抜けたあと、何か体が変わった気がします。物理的に。
いやもう冗談みたいにそこから頑張りました(笑)。
何かにめげそうになると
「うおー。あんないいもの人間がつくりだせるんだー。俺は何をやっとるんじゃー」
って奮い立たせたり。
中二か!
実はいまでも僕の体のなかにはあの日の真っ白な光が残っていて、たまに共鳴するみたいにゆらゆらと動いたりします。
逆に、あの日のあの場所に自分の一部が残っていて、
「おーい、そっちはちゃんとやっとるかー?」って
大縄跳びの縄で波をひょんって送るみたいに、今の僕を揺さぶったりします。
がんばらんとねー。
(かしこ)