こんなことをたまに言われます。
ハーバード出たら就職困らないでしょ。
…
そんなわけあるかー!
ハーバード大学卒業式の晴れ舞台、私は
しごとない…
と、こんな感じでした。
私が思い描いていた計画は、
- 卒業2か月前には就職のオファーをいただく
- 卒業1か月前にはビザの手続き
- 卒業2週間前に旅行してもいいかも!
そんなにうまくいくわけありません。
実際、私の同期の中で、卒業式の時点で就職が決まっていた人は半分くらいでした。
要因①:ビザ問題
アメリカ国籍をもたない人は、将来のビザのスポンサーに協力的である雇用主を探すことがまず第一の難関です。
ウェブ応募段階でまず問われるのが、
In the next 10 years, will you require visa sponsorship from us to work legally in the U.S.?
(10年以内にビザのスポンサーが必要になりますか?)
私は馬鹿正直に "yes" を選択していましたが、ひどいときには送信ボタンを押してから3秒後に
「慎重に検討した結果、残念ながら… 以下省略」
といった自動拒否メールが来ました。
いや慎重に検討してないだろ。
要因②:経験、経験、経験
多くの求人で書いてあるのが、
-
エントリーポジションは学士卒向け、 -
その他は修士以上+職務経験〇〇、もしくは博士号(PhD )保持
つまり、一度修士を卒業してしまったらエトリーポジションに応募させてくれない。修士課程を始める前に働く人が多いため、このような求人は少なくないみたいです。
困ったことに私は、
高卒 → ダンサー → 学士取得 → 修士
という経歴のため、「関連する職種」で経験年がゼロとなります。華々しい履歴書をもつ同期の中から選ばれるのはとても難しいのです。
どう頑張って関連づけようとしても、私の唯一経験した職業(ダンス)と私が大学で学んだ分野は畑違い。
70社ほど応募し、次のステージに進めたのは3つほど。
要因③:コミュニケーション能力の欠如
書類審査をなんとか通過し次のステージにすすむと、プログラミングやライティング、エクセルやパワーポイント、面接、と多いと7ステージもあることも。なんとか面接にこぎつけたときにぶちあたった壁は、私の頭の回転の遅さと自己アピールの苦手さでした。
プログラミングや研究等の技術的な質問はスムーズにかわせても、とにかく苦手なのが「私自身について」の質問。特に、今までの仕事経験をどう生かせるか、聞かれると、うっ...と詰まってしまいます。
仕事経験っていってもダンスだからなぁ、と余計なことを考えてしまうのです。
それをうまくポジティブに返答できる機転が欠如していました。
願書を出しすぎてこれ以上出せるところないんじゃないか、しかも卒業三か月以内に仕事を開始しないとアメリカに合法滞在できなくなる、と日々焦りがつのりました。
そんなとき、ある人の言葉がとても助けになりました。
「経験とかスキルがないから競争に勝てないんじゃなくて、経験がないことを強みにすればいい。」
はっとした気がしました。
面接官もプロですから、経験や知識の少なさを隠すのはなかなか難しい。なら経験ゼロだと胸を張って言おう。
次の面接では、強みを聞かれたとき、正直に言いました。
私はこの業界での仕事の経験が全くありません。
知識も博士課程にいる人には及びません。
でも、全く違うダンスの世界から転向してここまで来られたことを評価してほしい。
経験がないから、柔軟に対応できることもある。
そして、わからない人の気持ちがわかる。業界の外の人との橋渡しができる。
みたいなことを言いました。
その面接官が今の上司です。
卒業した同期の友人の中には、まだ就職先が決まらない人もいます。私より賢く、企業でリーダーシップを発揮してきたのに、です。
ハーバードと米政権の対立の中、ビザ問題が不安定さを増し、厳しい状況がしばらく続くかもしれません。
就職に限らず、能力だけでなくタイミングと相性が決め手になることがあります。精神面がスポンジのような私にとっては、70もの拒絶を経験することは厳しいものであり、今でも悪夢を見ます。それでも、だめだったらまた次に向かおうという気持ちを持ち続けたいものです。
