「行きますよ・・・『バースト・キャロムショット』!」


鉄二は透明な球体を五個、空中に投げ、目にも留まらぬ速さで打ち込んだ。

すかさずリリスも避け、鉄二に向けて火の玉を放つ。


跳歩はその二人の戦いをどうすることも出来ずに見つめていた。


「・・・っ、ほら、ベルゼブブさん!ぼーっと見てないで加勢ぐらいしてくださいよっ」

「っあ、はいっ」


と、言われても何をすればいいのか。

とりあえず跳歩は呪文を唱える。


「『ベルゼブ・ファイア』!!」


炎の塊がリリスに放たれる。

しかし、それを食らったりリスは傷一つ無く。


「・・・私は炎なのよ?効くわけないじゃなぁい」


クスクスと笑う。

・・・どうやら跳歩とリリスは相性が悪いらしい。


「・・・困りましたね」

「うぅん・・・」

「あ、そうだ」


何かひらめいた鉄二は跳歩に耳打ちした。


「・・・え゛、そんなこと・・・出来るの?」

「あなたの頑張り次第ですよ」


そう言って鉄二はニッコリと笑う。

その表情を見て、跳歩は複雑な顔をする。


(本当に、できるのかなぁ・・・・?)


天使とタッグを組んだことが無い跳歩は心配になった。

しかし、やるしかない。


「いきますよ・・・さん、のー、がー」

「はいっ!!」


鉄二は右へ、跳歩は左へ散った。




**************


「お前・・・天使ダなッ!?」

「あぁそうですよーん」


だからどうした、と高史は舌を出してあっかんべをした。


「何で悪魔ヲ・・・助けるんダ!?」

「まぁこっちにも色々と事情があるんだよ」


確かに、天使が悪魔を助けに来るなんて可笑しな話だ。

天使と悪魔の和解を知らない芳太朗は頭の上にクエスチョンマークがたくさん。


「・・・俺もわからんが」

「ぁー・・・後で説明すっから、ってゆーかよ!!」

「・・・どうした」

「てめぇ喋りすぎ!」


ビシッとケルベロスを指差して言った。


「今から消えるヤツはそんなに喋るもんじゃないよ!」

「くっ・・・消エるのはそっちダ!」


ケルベロスは二人目掛けて突進してきた。

芳太朗は身の危険を感じ、横へ移動したが、高史はその場から動かなかった。


「っおい!!ラファエル!何しとるんじゃ!」


あのままじゃやられる―


と、思った芳太朗だった。

しかし、高史はフランベルジュを構え、目を瞑り、何かを呟いている。


「ラファエル!」


「『珠炎』!!」


高史がそう叫ぶと、彼の目の前に大きな火の魔法陣が現れ、ケルベロスを止めた。

それどころか、魔法陣の炎がケルベロスにダメージを与えている。


「・・・早く退かないと、燃えちゃうよ?」

「くッ・・・暑゛いィ!!」


ケルベロスは真後ろへと退いた。

そして芳太朗は思った。


(天使・・・こんなに強いもんじゃったんか・・・)







*************

*後書*

あと一回ぐらいかなぁ。

と思う今日この頃。


さぁ、鉄二さんは何をひらめいたのでしょうか!!

跳歩はリリスにダメージを与えられるのか?

芳太朗は何もしないのかなぁ(聞くな


ま、次待っててください。


「・・・と、いうわけ?わかりまして?」

「・・・人間の、最初の祖先・・・」


そうよ、とリリスは人差し指をぴんと立てた。


「ま、冥土のお土産も聞かせてあげたことだし・・・」


リリスは仰向けに倒れている跳歩の上にまたがった。


「・・・食べちゃいましょうか、ね・・・それから殺っちゃえばいいし」

「んなっ」

「・・・私、冥府の使いであると共に淫魔でもあるから・・・うふふ、痛くしないから」

「そうぃう問題じゃっ」

「・・・いただきまぁ~すvv」


ヤられる、そう思い跳歩は目をギュッと瞑った。


その時だった。



カッコーン!



「い゛だぁっ!!」


何かが当たる音とリリスの叫び声。

一体何が・・・?


気がつくと体の上に重さがなくなっていた。


「・・・まったく、気を抜きすぎじゃないですか」

「あんた・・・」


跳歩の目の前にいたのは、天使・ウリエルの計都鉄二(けいとてつじ)だった。

長髪で、ファーのついたロングコートを着ている。

そして、手には、ビリヤードのキューが。


跳歩の目の先には丸いガラス球のようなものが転がっていた。

どうやらこれがリリスの顔にヒットしたらしい。


「何してるんですか、早く起きて」

「体が動かないの!!」

「しょうがないですね・・・」


そう言って鉄二は跳歩を抱き寄せ、口付けをした。

突然のことに跳歩はびっくりして目を見開いた。

そして慌てて鉄二を引き剥がす。


「なっ、何してくれてんの!!」

「・・・ほら、動いてる」

「あっ」


鉄二が口付けをすると、跳歩の体の痺れはなくなっていた。


「・・・さ、早くやっつけちゃいますよ」

「そだね・・・君には後で色々と聞かなきゃいけないけど」

「・・・わかってらっしゃる」

「まぁね、さ、行くよ!」


えぇ、と言って鉄二はくすっと笑った。


「っ・・・天使と悪魔のコンビに何が出来るっていうのよ!!かかってらっしゃい!!」


リリスは右頬をさすりながら叫んだ。




**********


「ぐぁぁっ!」


芳太朗は岩壁に叩きつけられた。

ケルベロスの獣の腕を引き剥がす事はできない。


ミシミシと自分の骨が悲鳴を上げる。

やはり力の差がありすぎる。

目覚めたばかりの自分じゃ何もできない。


(一色・・・俺、もう・・・いかんかも・・・しれん・・・)


意識が遠くなり始め、目の前のケルベロスの姿が段々と真っ黒に染まっていく。

ミシミシという骨の音も段々小さくなっていく。



・・・・・


終わった。



死んだんか?俺は。





そう思って目をゆっくりと開ける。


目が、開く?




見てみると其処には尻尾に火を付けて暴れまわるケルベロスの姿と、もう一人―



「あれ!?此処、沖ネズミじゃねぇの?」


天使・ラファエルの羅睺高史(らごうたかし)だった。

金髪の髪に真っ赤な瞳、手には波打つ剣身を持つ、燃え上がる剣フランベルジュが。


「まぁいいかー・・・ほら、立ちなって」


そう言って芳太朗に手を差し伸べ、立ち上がらせる。


「あんたは・・・」

「あぁ、そういう紹介は後!今は、こいつをぶっ殺さなきゃ!」

「・・・あぁ、そうだな!」


芳太朗と高史はケルベロスと睨み合った。




***********

*後書*

明日書くといいながら書かなくてスイマセン。

ネタが切れてました。マジで!!

あと時間ないんです・・・バイト決まったし。


挿絵は現在製作中♪

の、はず・・・

次回も跳歩&芳太朗サイドですよ!

天使の援軍・・・どうなるでしょうか!


今度からある方のご好意により(?)

挿絵がつくことになったりならなかったり(どっち



とりあえずお願いしてあるので、頻繁には無理ですけどしょぼしょぼ増やしていこうかなと


キャラ絵も載せなきゃいかんのに・・・


大変どすえ!!


困った困った!!




小説は明日書きます


「無理!だっ!!」

「あぁホントですね!」


忠治と禄駆はお互いに合わせながら攻撃をしているつもりだった。

しかし、すべて攻撃は避けられ、その上相手の攻撃を避けようとしてもお互いが邪魔で避けきれない。

その度に喧嘩を繰り返していたが、そろそろそうもいかなくなってきたらしい。


「ったく・・・お前はあのフワフワが相手だろ!?何でこっちに来るんだ!」

「君だってそうじゃないか、俺に文句は言わないでほしいなっ」


二人の痴話喧嘩を聞きながら、ヒュプノスは笑って攻撃を続ける。

見えない風の刃が飛んでくる。

感覚で避けなければ・・・確実に当たる。


「あぁもう邪魔だ!」

「そっちこそっ・・・い゛っ」


とうとう風の刃が禄駆の脇腹に切り裂いた。

ポタポタと禄駆の赤い血が真っ白い花を染めていく。


「おい・・・大丈夫か!?」

「人の心配・・・してる場合じゃないでしょ!」


前を向け!と禄駆が叫ぶと、目の前にタナトスが。

さっきと同じ・・・また蹴り飛ばされる!

忠治は即座に氷の柱を作り出し、ガードした。


「・・・ほぅ」

「・・・・俺だって学習するっつーの」


べぇっと舌を出して忠治が挑発した。

それでもタナトスは表情一つ変えず呪文を唱え始める。


『我招く・・・死の精霊、黄昏の扉を開きて・・・』


「・・・あの、呪文はっ・・・」


禄駆は目を見開いた。

あれは、

あの、呪文は―


「アスタロト!伏せろぉぉっ!!!」

「なっ・・・」


タナトスの指先から真っ黒な光が伸びた。

忠治の反応が遅かったため、それは忠治の胸を貫いた。


「っ・・・かはっ・・・」

「『ダイタルウェーブ』!!!」


禄駆は呪文を唱え大津波を呼び出し、相手の目をくらませた。

その間に倒れた忠治に駆け寄る。


「っ・・・何やってんの!」

「ぁ・・・・何・・だ・・・こ・・・れっ」


彼の胸の辺りに真っ黒な球体が埋め込まれていた。

そこから根っこのように黒いシミが体全体に伸びていた。


「あれは・・・禁断呪文の一つだよ・・・何で、あいつが」

「禁断呪文・・・?」

「黄昏のブラックオーブ、これを食らった相手はじわじわと苦しめられ、死に至る・・・」

「なっ・・・んだと」

「・・・時間が無いね」


どうしようか、と禄駆は漏らした。

もう勝ち目は無い。

力量が違いすぎた。

二人のコンビネーションも最悪。


「・・・んじゃ、死にに行きますかねぇ」


それでもやるしかなかったのだ。


禄駆は独りで立ち向かった。



*************


「あんたなんか、あんたなんかぁっ!!」


洞窟の中は氷の柱だらけになっていた。

段々と中の気温も下がってきたらしく、スカートのジュデッカは動きが鈍くなり始めた。


(このままじゃ・・・・ダメね)


でも生きていた妹を、自分が殺すなんてできない。

出来ればもう一回、姉妹として暮らしていきたい。


一番自分が可愛がっていたコキュトスなら尚更だ。


「コキュトス・・・聞いて!」

「五月蝿いっ!!!」


その瞬間、足元が凍っていたためジュデッカは足を滑らせた。

そしてコキュトスの攻撃が。

尻尾を使って体制を立て直したものの、右足が凍り付いてしまった。

動けない。


視線の先のコキュトスは氷の刃を構えている。


もう、終わりかしら




そう思った瞬間、信じられない叫び声が。





「ジューちゃん!あきらめないで!!!」



「・・・はぃ?」




その叫び声で我に返り、己の電気の熱で氷を溶かし、間一髪で攻撃を避けた。




あの叫び声は・・・あぁ、あいつか


私の苦手なヤツ・・・


先が思いやられる。


でも、今この状態でこれ以上心強いものはない。








*************

*後書*

誰か出てきましたよ~(笑

というわけでまた跳歩&芳太朗サイドに戻ります。

こちらは少しお休みで・・・

ま、また2,3話で戻ってくるでしょうけどね


忠治&禄駆はやられてばっかですね。

しかも沖くん死にそうなんだけど(笑

ま、これからどうなるかは・・・見てのお楽しみです


ジュデッカの助っ人とは誰なのか!?

乞うご期待!

「ぁがぁっ!」


忠治は腹部を切られた。

だくだくと血を流しているが、立ち上がりタナトスを睨んだ。


「ちっ・・・一筋縄じゃいかんっつーことか」

「・・・もう無理だと思え」

「そうそう、もう一人は何もしないみたいだし」


腕を組んで仁王立ちしているタナトスの横にヒュプノスが降り立った。

禄駆はただ、やられている忠治を見ているだけで、何もしようとしていない。


「あいつがいなくてもどうにかなる!」

「・・・どーにもならないのが目に見えてるのに、ねぇ?」


ヒュプノスの喋りに気をとられていたら、タナトスの足が目の前に。

遅かった。

忠治は数十メートル先に蹴り飛ばされた。


「・・・はぁ」

「・・・・・・今度は君の番かな」


ため息をついた禄駆にヒュプノスが近付いた。ゆっくりと、だ。


「・・・5分、待って」

「何を言い出すんだ」

「・・・いや、タナトス待って。・・・面白い、5分で何が出来るか・・・やって見せてよ」


禄駆はこくりと頷くと、蹴り飛ばされた忠治の下へ向かった。

忠治はかなりの血を流しており、ぐったりしていた。


「・・・ねぇ、死んでるの」


禄駆の少し先のとがった靴で先ほどの傷を軽く蹴った。


「・・・陰湿陰険冷酷根暗変態痴漢同性愛嗜好・・・ぇーとそれから」

「っ・・・ちょっと待てぇっ!!」

「・・・生きてるんだったら早く返事してよ」


忠治は大きな声で叫んだため傷口が開いたらしく、痛た・・・と腹を押さえながら起き上がった。

禄駆はそんな忠治を見下しながら言葉を続ける。


「・・・こんな時まで喧嘩しててどうするつもり?死にたいの?相手は神様だよ?」

「・・・ちっ」

「バカじゃないの?いつもそうやって一人で何でも背負い込んで・・・とばっちり受けてたのはいつも俺達だったんだから」

「・・・何が言いたい!?俺の悪口か!?」

「・・・いい加減素直になったらどうなんですか、元女のクセに」

「・・・ぅるっさい!!!」

「そんなに叫ぶ元気があるんだったら立てるでしょ」

「あぁ・・・っ」

「アスタルテ・・・素直じゃない女は嫌われるよ」

「あぁもうホント黙れ!!!わかったよ!」


忠治は禄駆の肩に手を置いた。


「・・・すまん、一緒に殺るぞ」

「・・・OK、やっと言えたね」


二人は拳をぶつけ合った。






**********



「コキュトス!あんた生きてたの!?」


ジュデッカは信じられないとばかりに妹に近付いた。

こんな所で再会できるなんて・・・と抱き締めてやりたかったのだ。


しかし、それはできなかった。


何故なら、コキュトスがジュデッカに向けて氷の刃を放ったからだ。

寸前のところでジュデッカはよけたものの、少しかすって腕から血を流している。


「なっ・・・」

「・・・今更姉貴面しないで!!」

「どういう・・・ことなの?」


地獄にいたときには、あんなに私になついていたのに。

今目の前にいる妹は敵意剥き出しだった。


「地獄が無くなったあの日・・・お姉ちゃんは一人だけ助けられて今魔界の悪魔になってる・・・」

「だって、あれは―」

「言い訳しないで!」


またも氷の刃が飛んでくる。

ジュデッカは避けつつもコキュトスの話を聞き続ける。


「自分だけ幸せ手に入れて今更何よ?私がどれだけ苦労したと思ってるの!?」

「・・・そんな、だってあの時誰一人生きていないって」

「・・・・・それはあんたの思い込み。私は生きてたの」

「じゃぁっ」


ルシファーが自分を騙していたとでも?

いや、そんな事は無い。

彼はあの時確かに「お前以外誰も生きては居ない」と言った―


「この傷だってそのとき出来たの・・・女の子の顔に傷、よ?」


確かに彼女の顔には昔と違って鼻の上に真一文字の傷跡があった。

ジュデッカと逆の位置にある泣きボクロは変わっていないのに―


一体、コキュトスの中で何が変わってしまったのだろう?


「そんなっ・・・でも、でもっ」

「・・・だから私はあんたを殺すわ・・・殺して呪縛から抜け出してやる!!」

「コキュトス!」



ジュデッカの叫びは彼女の心には届きそうもなかった。











**********

*後書*

一色くん言いすぎ!!(笑

の今回でしたが。

お経に見えるよOTL

思いつくまま書いたからね!モデルの人すいませんm(_ _)m


あと、アスタロト=アスタルテについてはこのストーリーが終わったら書きたいと思ってます。

次ネタですね、次ネタ。


そして実の妹に殺されてしまうのか、ジュデッカ!!

こちらはあと一回ぐらいでチェンジかもです。


冥界軍についてはそろそろ紹介入れます。

「むぅ」

「・・・なんで貴様と・・・」


所変わって此処にいるのは禄駆と忠治。

どうやら此処は二人だったようだ。


「こっちだってイヤだよ」

「・・・俺は吐き気がするほど嫌だ」


実はこの二人、昔から相当仲が悪かった。

犬猿の仲、まさにそんな感じ。

お互い水を扱うのに何故此処まで仲が悪いのかと誰もが言うほどだった。


「じゃぁ別々に行けばいいじゃんか」

「・・・生憎道が一つらしいぞ」


二人とも顔をあわせず前に進む。

忠治が言うとおり、道は一本しかない。


「その辺に穴でも開けながら行けば?ネクラな君にはモグラみたいに穴掘って進むのが似合ってると思うけど」

「あぁ!?貴様いい加減その減らず口を無くしたらどうなんだ?」

「ネクラにネクラって言って何が悪いんですかぁー」

「貴様っ」


忠治が禄駆に掴みかかった。

いつものパターンだった。

禄駆はやめてよ、と胸を掴んでいる腕を振りほどいた。


「そうやって短気なのも治ってないし。学習能力ないんじゃないの」

「・・・そっくりそのまま貴様に返す」


その会話を気に、どちらも黙ってしまった。

真っ暗な洞窟内で響くのは、二人の足音のみ。


しばらく進んでいると、洞窟の終わりが見えた。

しかし、其の先は―


「・・・花、畑?」

「・・・幻覚じゃないみたいね」


洞窟を出ると、そこは一面の花畑だった。

道もなく、ただ花が一面に広がっている。

しかし、上空にそんな花々に似合わない白と黒の影が。

其れを見て、禄駆は怪訝な顔をした。


「・・・君といるとロクな事がないよ」

「こっちのセリフだ」


その白と黒の影は二人の前に降り立った。


「・・・君たちが、魔界の悪魔さん?」

「そうだが・・・貴様らは誰だ」

「我らはハデス様直属の部下」

「・・・僕は眠りのヒュプノス」

「俺は死のタナトス」


白い方はヒュプノス、黒い方はタナトスと名乗った。

ヒュプノスは金のさらさらとした髪で、右目が気持ち悪いほど真っ白だった。

肌の色も白く、左の耳に真っ白な飾りがついていて、左側にだけ天使のような翼があった。

一方タナトスは銀色のストレート。ヒュプノスと違って左目が異様に黒かった。

肌も薄黒く、右の耳に真っ黒な飾り、そして右側に悪魔のような翼がある。

対称的、だった。


「・・・見たところ仲が悪そうだな」

「あぁ、これは楽勝だね、タナトス」


くすくすとヒュプノスが笑う。

それに忠治は少しカチンとくる。


「仲が悪くて何が悪い!」

「いやぁ・・・そんなことじゃ、僕たち兄弟には勝てない、ってことさ」

「兄、弟・・・?」

「そうだ・・・我らのコンビネーションは未だ破られたことはない」

「イコール」

「・・・貴様らには死、あるのみということだ」

「何をっ・・・」


忠治は歯を食いしばった。

こんなふざけた奴ら、俺一人で十分だ。

そう思った。




************


「いったぁー!!ったく、女の子のケツに痣でもできたらど~すんのよ!!!」


ジュデッカは誰もいない洞窟で叫んだ。

その声は響き渡ったが、誰も出てくる気配はない。


「しかも一人だなんて・・・・最悪だゎ」


私単体ならそんなに強くないのに、と呟いた。

誰でもいいから一緒に来てほしかった。

そう思いながら一人洞窟を歩き出す。


「はぁ・・・もうホント、ベヒーモスでもいいから一緒に居て欲しいなぁ」


暗闇が怖い。

一人が怖い。


誰もいない空間というのはこんなに怖いものなのかと思った。

早く誰かと合流したい、そう思い駆け出した。


(走っても何もないかもしれないけど・・・)


普通洞窟なら蝙蝠が飛び回ったりしてもいいはずだ。

なのに此処は音一つ無く、明かりも無い。


怖いので下を向いて走っていたら、少し大きな空間へと出た。


「・・・道が・・・二つ・・・」


そしてその先には道が二つあった。

どうしよう、と思っていると、右の道から人影が一つ。


「・・・誰!?」


確実に仲間ではない、そう直感で思った。


「・・・久しぶり、お姉ちゃん」

「・・・・・・・・コ、キュ・・・トス・・・・?」



彼女の目の前には、“あの時”死んだはずの妹がいた。













**************

*後書*

別サイドです~

こちらは忠治&禄駆組、そしてジュデッカちゃんですよん

忠治と禄駆が仲が悪いのは、どちらも跳歩が大好きだからです。

だから取り合いになって仲が悪くなったというわけですね。

まぁ根本的に合わないところもありますから・・・性格的に。


さぁ、いよいよ忠治たちも戦い始めます。

ジュデッカはどうなるんでしょうね!


「ぇっ!?ちょっ、ちょっと待ってよ!」

「何で・・・?好き、なんだよね?」

「そういう意味じゃっ」


否定したら涼子は泣き出しそうになった。

でも、今は肯定している場合じゃない。


「それは・・・さすがにできないよ・・・」

「・・・酷いっ・・・」

「・・・やっぱり、僕・・・っ!?」


話しているといきなり足の力が抜け、その場にへたりこんだ。

足にまったく力が入らない。


「なっ・・・これっ」


びっくりして涼子を見ると、彼女はにやりと笑っていた。

やっぱり、これは―


「はっ・・・もう少しだったのに・・・ねぇ?」

「っ、お前・・・・涼子ちゃんじゃないな!?」

「今更気づいても遅いっつーの」

「っ、正体を見せろ!!」


きっとこれは変装だろう、と思った跳歩は唯一力の入る手で指を指した。


「・・・私、正体これなんだけどぉ?」

「じゃぁ・・・形が変わるとか・・・とりあえず涼子ちゃんの姿じゃなくなれよ!」

「ふふん。私、どうやら朱雀と瓜二つらしいのよ・・・髪の色は違うけれど」

「何!?」

「私はリリス。冥土のお土産に自己紹介ぐらいしてあげますわvv」


リリスはにっこりと笑った。





*********


「おヨ~?何かスっげぇなァ!」


芳太朗は己の力を解放した。

先ほどまでは角だけだったが、長い耳、そして大きな尻尾が生えた。

目は白目が真っ黒に染まり、赤かった目はさらに血のような紅色に変わった。

手足は獣そのものだった。


「これあんまり嫌やが・・・」

「カッコいいンじゃねぇの~?いい感じだゼぇ?」

「やかましぃっ!」


芳太朗は鋭く黒く光った爪を相手に向けた。


「これで・・・勝つ!」

「やっテみればァ?」


ケルベロスが飛び掛ってくる。

しかし、芳太朗は先ほどとはまったく違う速さで其れをよけた。


「ふぅん・・・口だケじゃないっテことだねェ」

「さすがにやられてばっかじゃはがいたらしいけんな」

「はァ?」

「っ・・・いつものクセで方言が出たんじゃ!悪いか!」

「くっ・・・オ前面白いナ!気に入ったゼ!!」


爪を巧みに使ってケルベロスが攻撃を続ける。

その合間をぬって芳太朗が炎の拳を繰り出す。

その力量はほぼ互角だった。


しかし、ケルベロスが攻撃をよけているときに足を滑らせ、芳太朗の拳がヒットした。

数メートル吹き飛ばされ、岩壁に叩きつけられた。


「ちぃっ・・・これで、どうじゃ!?」

「・・・・・・さすガに今のは効いたじェ・・・」


よろよろとケルベロスは芳太朗の前に戻ってきた。

次でとどめだ、と芳太朗が攻撃しようとすると、ケルベロスは上を見上げて遠吠えをあげた。


「っ・・・何、だと・・・っ」

「力の解放ハお前だけが出来ルわけじゃないんだゼ・・・?」


まさに異形、というべきか。

もう人の形すらとれておらず、四足歩行になっている。

皮膚はすべて漆黒。元の頭の左右に獣の頭がついていた。

来ていた服は形もなく。針金のような鋭い尻尾を振り回していた。


「さァ、第二ラウンドやなァ・・・」

「ちっ・・・およけねぇ奴じゃ・・・」


芳太朗は少し後ずさった。

・・・勝てそうにもなかったのだ。




***********

*後書*

すいません、色々変更しちゃって!!

今度こそ、もう一つのサイドへ話を切り替えます。

ちょっとこちらも気になるところですが、ね・・・

もう芳太朗の伊予弁(今回は新居浜弁を使用)はわけがわからなくなってきました。

とりあえず彼の語尾は「~じゃ」とか「~じゃけん」になるでしょうな。うん。


キャラクターのイラストを載せるかも、です。

ちょっとこのままじゃ誰が誰だかわからないので。

特にリリスは・・・困った


「い・・・や・・・・涼子ちゃん、冗談やんな?」

「っ・・・酷いっ・・・私、本気なのにっ・・・」


そう言って目に涙を浮かべた。

やばい、と思い必死に跳歩はなだめたが、涼子はとうとう泣き出してしまった。


「みんな・・・みんなそうだったわ・・・私とアイツが付き合ってるからって、私の気持ちに・・・」

「っぁ、ゴメン・・・泣かんといて?」

「・・・大石くんだってそうなんでしょ!?本気だって、思ってないんでしょ!?」


どん、どんと胸を叩かれる。

どうすることもできずに、跳歩は彼女を抱き締めた。

涼子は始めはびっくりしたような表情を見せたが、すぐに泣き止み跳歩を抱き返した。


「・・・何やよくわからんけど・・・僕は・・・涼子ちゃんのこと、好きやで?」

「ホント・・・?」

「あぁ・・・」


本当は恋愛感情じゃないけれど。

今の彼女を落ち着かせるにはこれしかないと思っていた。


「じゃぁ・・・」


じっと、跳歩の目を見つめて涼子が呟いた。


「キス、して・・・?」


(なっ!?)

跳歩は焦った。

まさかキスを迫られるとは・・・思ってもいなかったのだ。


「ねぇ、早く・・・好き、なんだよね?」


また目が潤み始める。

泣き出すのも時間の問題だろう。


跳歩は仕方なく、彼女の唇に己の唇を重ねた。


触れるだけのつもりだったのに、彼女の舌が口の中に入ってくる。

本気のようだった。

どうしようもなく、ただ従うだけの跳歩。

・・・女の涙には弱いのである。


「んっ・・・ぁ」

「・・・そろそろ、みんなを探しに行こうよ」


本題を切り出した。

このままじゃ、埒があかない。


「えっ・・・ねぇ、もう一個だけお願いきいて?」

「・・・何?」




「・・・私を、抱いて?」






***********


右、左、上!

かわしてもかわしても次の攻撃が襲ってくる。

止まるところがない。


「はっハ~!全然ぢゃン!?」


舌打ちする暇もない。

それにすでに何箇所かは掠っている。

ケルベロスの鋭い爪痕が少しずつ、芳太朗に刻まれていく。


「くっ・・・」


やっとの思いで右手を受け止め、攻撃を止めた。

ケルベロスは一瞬、おや、っという表情を見せたが、相変わらず余裕の表情だった。


「こんなノ・・・受け止メてるつもリ~?」

「ちっ・・・悪ぃかよっ!」


そう言って相手の顔めがけて蹴りを放つ。

ケルベロスはひらりと後ろに跳んでかわした。

先ほどからこの調子だ。

芳太朗の攻撃は当たらず、相手の攻撃だけが当たっていく。


スピードが違いすぎる。


(なんしよんやろ、自分・・・さっきっからまがりもせんっ・・・)


どうやってダメージを与えるかなんて考えている暇もなさそうだ。

ケルベロスは自分の爪をぺろりと舐めると、また芳太朗に向かってきた。


「どうしタどうしたァ~!?魔獣の力はコんなもんかィ!?」


段々と後ろの余裕も無くなってきていた。


(めんどしいけど・・・どうしこうし、あれ使うしかねーか・・・)



芳太朗はケルベロスに向き直し、低くうなり声を上げた。







**********

*後書*

伊予弁めんどしいですOTL・・・

ちょっと覚えました。

あ、ちなみに芳太朗の心の言葉、訳すとこうなります。

一個目(何してるんだろう、自分・・・さっきから触りもしない・・・)

二個目(面倒臭いけど・・・兎に角、あれを使うしかないか・・・)

あってるかは定かじゃないです。

愛媛出身の方がいらっしゃいましたら指摘お願いします。


跳歩くんのほうは・・・ヤバいですねw

いろんな意味で・・・


えと、この二人の話を終わらせて次を書くつもりだったのですが、色々あって変更します。

次は彼らは少しお休みで、他の人の話を書きたいと思っておりますよ~



やっぱりもう一話書こう。

いろいろ変更してすいませんOTL


「・・・やっだ、何でこんなとこいるのよ~」


変身していないのか、黒髪の涼子は跳歩に近寄ってきた。

しかし、先ほどまで魔界に居たのに・・・

何故彼女が此処にいるんだろうか。

此処は何処だ?

下界?それとも神界?


「りょっ、涼子ちゃんこそ・・・一体なんで」

「私?私はちょっと迷っちゃってv」


てへっ、と舌を出しておどけてみせた。


・・・涼子だ。


そう跳歩は確信した。

でも、この胸騒ぎは何なのか。


「でもよかったぁー・・・大石くんで」

「え、誰か他に居たの?」


僕らのように誰かと一緒に居たのに離されてしまったのか、と思い問いかけた。

そうすると、涼子はうつむいたまま答えた。


「・・・うん・・・四神で、ね」

「・・・え、何で僕なん?玄武くんじゃないん?」

「私」


そう言って涼子は跳歩の胸に飛び込んだ。

急なことで跳歩もかなり驚いた。


「なっ、涼子ちゃん!?」

「・・・私ね、ずっと、ずっと前から大石くんが好きだった、の・・・」

「えぇぇっ!?」


玄武と朱雀は付き合っているはずだ。

それは誰もが知っていた。

なのに、何故―


「あんな奴と先に出会ってしまったから・・・貴方に逢った瞬間、一目見て・・・」

「ちょっ、なっ・・・ぇぇっ!?」


かなり焦っている跳歩。

疑問と焦りが同時にやってきたので何を話せばいいのかわからない。


(なっ、えぇ、何でやねーん!!)

跳歩は心の中でそう叫んだ。



*************


暗闇の中から人影が見えた。

芳太朗は応戦体制をとる。


「はっハーん♪お前が“魔獣”かイ?」


黒髪に金髪のメッシュ。

ターバンで髪を上げていて、そこから犬のような耳がピンと立っている。

しかし目は金色に輝き、鋭い眼差しを芳太朗に向けていた。


「貴様は・・・誰だ!」

「俺?俺は~、ケルベロスってんダ!」


ケルベロス、と名乗った其の男は変なアクセントをつけて喋る。

芳太朗の嫌いな分類に入るだろう。


「ちっ・・・冥界のヤツか」

「そ~ゆ~コトだネ!魔界の魔獣、って~からもっと強そうなヤツかと思ったゼ!」


それがこんなネクラそうなやつとは、とケルベロスは続けた。

其の言葉に芳太朗はカチン、ときた。


「其の立派なツノは飾りかァ~?スーツなんて着てさァ、何処行くノ?」


けらけらと嘲笑を浴びせるケルベロス。

いよいよ芳太朗の怒りは膨れ上がっていく。


「・・・だまれ・・・っ」

「あァん?」

「だまれといっとるんじゃ!!」


そう言って飛び掛った。

ケルベロスを押し倒し、喉元に向けて牙を立てようとした。


はずだった。


「遅~いネ、何やってんノ?」

「なっ・・・」


ペロリと舌を出して馬鹿にした表情をみせた。

芳太朗の攻撃は確かに手ごたえがあった。

しかし目の前の相手には届いていなかった。


「地下に閉じ込められて鈍ったンじゃないノ?」

「ちぃっ・・・」


「・・・こっちから、いくヨ?」


ニッコリとケルベロスは微笑んだ。







**********

*後書*

同時進行は疲れますOTL

跳歩のほうはねぇ、大変ですね(笑

この後どうなるんでしょうか


芳太朗のほうは・・・

ケルベロスはエセアメリカンを目指してみました。

だから日本語がおかしいのですw

そして芳太朗の伊予弁が少しでました。どこかわかりますかね~?(笑


しばらくこの二人の話が続きますよ~


「お前が・・・ハデスか」

「いかにも・・・」


ハデスは黒いマントを頭からすっぽりかぶっており、顔は見えない。

しかし其の声は冷たく低く響き渡る。


「他のものはどうした?・・・まさかお前一人というわけではなかろう」


ルシファーがそう尋ねると、ハデスは小さく笑った。


「・・・馬鹿な奴らだ」

「何だと?」


ハデスが両手を天に向ける。

其れと共に地響きが鳴り始める。


「なっ・・・何だ!?」


瞬間、地面がうねり、彼らに襲い掛かった。






*******




「・・・此処は・・・?」


跳歩は目を開けた。

一体どれぐらい気を失っていたのだろう。

ハデスが天に手を上げた瞬間―


―地面に飲み込まれた。



気がする。




「・・・沖くん?・・・ジュデッカ!」


叫んでみたが誰もいない。

独りになってしまったようだ。



「・・・はぁ・・・とりあえず探さなきゃっ・・・」


うんしょ、と立ち上がり、とりあえず目の前に続く道を歩き出した。



**********



一体何がどうなったんだろう。


地面が揺れて、地面に喰われた?



「ちっ・・・・・・あれ?」


芳太朗が目を開けると、其処には自分以外誰も居らず。


「っぁ、一色!!一色ー!!!」


兄が居ない、禄駆が居ない。

それだけで芳太朗は不安になった。


(俺が・・・俺が守ってやろうと思ってんのにいきなりこんな・・・)


「ちぃっ・・・こんなコトしてる場合じゃねぇ」


とりあえず探しに行こう、そう思ったが、

芳太朗は何かの気配を感じた。


自分と同じ、獣の臭い。


「誰だ!?」




*********


暗い所は得意なはずなのに。

なんだか怖かった。


跳歩は自分の分身でもある蝙蝠を使って少し先の様子を伺っていた。


永遠に続く闇。何も無い。


「・・・誰かぁ」


悪魔のクセに怖がりな跳歩はすがるような声をだした。

それでも誰も反応しない。


他のみんなは大丈夫だろうか。

みんな一人なのか。


ルシファーは・・・



「・・・アカン、僕が弱気になったらアカンわ!!」


ぐっ、と跳歩は拳を握った。




「・・・・・・大石、君?」


「ふぇっ?」



いきなり声がしたので、何かと思ったら、其処に居たのは・・・



「何でこんなとこ居るの!?涼子ちゃん!」



居るはずがない、朱雀の鳥崎涼子が居た。














******************

*後書*

えーと、ばらばらになりました悪魔たち。

最初は跳歩&芳太朗です。

早速何かと遭遇した模様。


朱雀の鳥崎涼子とは。

本編、四神伝説の主人公であります。

変身後の彼女は髪は真っ赤のツインテールなのですが、変身前は黒髪です。

歳はこの時期では18歳。

跳歩たちとも面識がある。

守護獣は朱雀、炎と風を操る。



ま、どうなるでしょ