こんばんは「鎌倉 うごかす文庫」店主のおーじーです。
たまには日経新聞のような話。
今夜も「鎌倉 うごかす文庫」、はじめます。
一枚の写真を御覧下さい。
現在の株式市場の風景をとらえた写真です。
１秒に千回と言われるAIによる超高速取引。
その取引を画面でながめるだけの人間。
いまや株式売買の約７割が超高速取引で行われているという情報もあります。
今、株式・金融市場で行われているのは、
この超高速取引のための熾烈な人工知能開発戦争。
この写真から感じる強烈な違和感...
我々が日々感じる多くの「生き辛さ」。
それは私たちが自分の内面を見つめたり、
視点の転換を行うことだけでは解消できないところまで
来てしまっているのかも知れません。
ある人は今の時代を「むきだしの資本主義の時代」と言いました。
ソ連（社会主義体制）の崩壊以後、タガのはずれた先進国各国企業は、
新自由主義（グローバル主義）を唱え、安い労働力を国外に求めた結果、
世界中で非正規雇用は増大、労働者の賃金は低下し続け、
あげくに世界のいたるところで供給過多（モノあまり）が蔓延しました。
実態経済で利益があがらないとみるや、
「彼ら」は手っ取り早く儲けがあがり、労働力も不要な
株式・金融市場、土地取引に主戦場を移します。
株式取引の指標、ROE（ざっくり言えばいかに元手を少なく、高利益を上げているかの指標）を
上げるために人件費は削りとられ、企業は数々の不正を行い、
それらはまた金融市場に投下されます。
俗に言う中流階級以下（労働者階級）の人たちから、どんどん富は吸い上げられ、
今や日本でも総世帯の３分の1が貯金ゼロ世帯と言われています。
将来のために貯金したくても出来ない...
子供を産みたくとも出来ない...
自分たちは親の世代よりも豊かになることは出来ない...
いくら各国政府が借金を毎年増やしながらゼロ金利政策を打とうとも、
それらの大半は実態もおぼろげな金融市場にひたすら流れ込み、
数々のバブルで世界経済を危機にさらしています。
このような悪循環としかいいようのない状況の中で
我々が見極めなければならないのは、
この状況の背後に潜んでいる、
この状況を仕組んでいる「彼ら」とは誰か？
ということです。
今夜は２冊の本をご紹介します。
『一週間de資本論』的場 昭弘さん著
『公益資本主義』原 丈人さん著
中世と言われた時代、各国にはわかりやすい「王様」がいました。
そして民主主義が謳われる今の世界にも「王様」は存在します。
中世の王様は無駄遣いをして、国民に分配をしてくれることもありましたが、
現代の「王様」は決して無駄遣いをしません。
「彼ら」は表舞台にはなかなか姿を現さず、
国民はその顔すらよく知りません。
「彼ら」は会社の社長や、政治家を非常に巧みに使い、
社会のシステムをいじることで自分に富が流れ込んでくる方法を上手に作り上げます。
彼らは時に成功者としてまつり上げられますが、
その裏側で国民からいかに上手に搾取しているかは、
決して明かしません。
この「半ば妖怪のような王様」の本質を緻密に分析・解説した名著こそが
マルクスの「資本論」です。
王様の＜傾向＞を知らないことには対策は打てません。
また傾向に対する＜対策＞として、
「公益資本主義」という概念をご紹介したいと思います。
現代の王様は主に「株式所有」という手段で「会社」を支配し、
国民から富を吸い上げます。
「会社は株主のもの」というスローガンこそ、
王様が洗脳に用いる決まり文句です。
良い会社とは「より少ない経費で、より少ない期間に、より多くの利益をあげている会社」、
この理屈も王様が巧妙に我々に刷り込んできた、まさに洗脳の賜物です。
「公益資本主義」という概念は、良い会社の定義を
「労働者や、社会、環境にいかに多くの分配、恩恵を与えているか」
に置きます。
つまり会社の評価方法を土台から変える、という概念です。
四半期決済の廃止や株式の短期売買への制約等、
「目先の益」から「存続が可能な長期的な視点」への切り替え。
原丈人さんの提唱するこの概念は今、静かに、しかし着実に広がりを見せはじめています。
是非とも、是非とも、一度ふれてみて下さい。
王様にはお金・権力ではなく、社会をより良いものにしたという「名誉」を与えよ、
個人的にはそう考えています。
※『一週間de資本論』的場 昭弘さん著は、鎌倉うごかす文庫の新着本のコーナーにもアップいたします。
気になられた方はチラ見してみて下さい。
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