風ちゃんが帰ってきた。
金木犀の木陰も
睡蓮鉢の傍の縁台も
風ちゃんの大好きな居場所でした。
風ちゃんは逝く一週間前から
外に出たい様子でした。
まだまだ冷たい外に出せませんでした。
何よりも何処かに隠れんぼしたまま居なくなる気がして
私は出せませんでした。
風ちゃんの為ではなくて
私の為に出せませんでした。
だから風ちゃんの最期を看取ることができました。
何が良かったのだろう。
風ちゃんは静かに逝ったけども
土の上が好きだったのに。
今は金木犀と睡蓮鉢の間の
白い椿の木の傍で眠っています。
此処の下草と葉陰に隠れるように隠れんぼしたままお昼寝していました。
外猫さんや逃亡猫の通り道で
広縁からよく見える場所です。
私は見つけられませんでしたが
母は
「彼処で茶色い子が寝てるよ。」
と教えてくれていました。
もうすぐ暖かい陽射しに包まれる季節がきます。
風ちゃん。
バアバに見つかるかもね。
風ちゃんの物語(12)










