これまでの検証でクローズド環境(Edge)で大規模言語モデル(LLM)を活用し、また独自のナレッジをローカルLLMに追加学習(RAG)させて、ローカルLLMを利活用できることが確認できました。

次はAIエージェントについて学習していきたいと思います。

AIエージェントは近年進化している大規模言語モデル(LLM)の能力を「実行力」へと高め、特定の目標達成のために自律的に行動できるようになったAIシステムです。

単なるチャットボットや質問応答システムとは異なり、計画、行動、反省を行う能力を持っています。

以下にAIエージェントの概要、仕組み、そして今後の可能性について解説します。

 

AIエージェントの概要

 

1. 定義:自律的な目標達成システム

AIエージェントは環境を認識し、事前に設定された目標を達成するために、知識やツールを駆使して自律的に行動するAIです。

従来のAI(例:ChatGPTなどのLLM)が「質問に答える」「文章を生成する」という単一のタスクに優れているのに対し、AIエージェントは「多段階の複雑なタスク」を、人間の指示なしで完遂しようとします。

 

2. 仕組み:エージェントの基本構造(ReActフレームワーク)

ほとんどのAIエージェントは、以下のコアコンポーネントで構成されており、人間が目標を与えるだけで、このプロセスを繰り返します。

要素 役割 説明
計画(Plan) 目標を達成するための具体的なステップを分解し、行動計画を策定します。 LLMが「思考(Thought)」として、次に何をすべきかを言語化します。
行動(Action) 計画に基づき、外部ツール(検索エンジン、コード実行環境、APIなど)を実行します。 「Tool Use」とも呼ばれ、知識だけでなく実行能力を得ます。
観察(Observation) 行動の結果(ツールの出力、エラーメッセージなど)を観測し、フィードバックを得ます。 現実の環境や外部システムからの応答をフィードバックとして受け取ります。
反省(Reflection) 観察結果に基づき、計画や以前の行動が適切だったかを評価し、次の行動を修正します。 エラーを修正したり、より効率的な方法を学習したりする自己修正能力です。
 

3. AIエージェントができること

AIエージェントは、これらのサイクルを繰り返すことで、以下のような複雑な作業を自律的に実行できます。

  • データ分析と報告書の作成: 「このCSVファイルを分析し、最も売上が伸びている上位3製品についてグラフと考察レポートを作成して」という指示に対し、自身でコードを書き、実行し、結果をまとめて報告書形式で出力する。

  • Web操作の自動化: 「A社の株価を監視し、特定の条件を満たしたら自動で通知を送信するAPIを構築して」という指示を、複数のWebサービスを連携させて実現する。

  • ソフトウェア開発: 簡単なコードのバグを見つけて修正したり、簡単な機能を持つWebアプリケーションをゼロから構築したりする。

 

4. 従来のLLMとの決定的な違い

 

項目 従来のLLM(例:ChatGPT) AIエージェント
実行能力 人間が外部ツールを利用する指示を出す必要がある。 外部ツール(検索、コード、API)を自律的に呼び出し、実行する。
タスクの複雑性 質問応答、要約、翻訳など、単一ステップのタスク。 計画、実行、反省を含む多段階の複雑なタスク
主要な役割 知識提供者、対話相手。 行動実行者、目標達成のための労働者。

 

5. 今後の可能性

AIエージェントの進化は、人間の作業の多くを自動化する可能性を秘めています。

  • パーソナルアシスタントの進化: スケジュール調整、メールの対応、必要な情報収集を完全に自律的に行う。

  • 専門業務の自動化: 営業、マーケティング、カスタマーサポートなどの定型業務が、専門のエージェントによって代行される。

  • マルチエージェントシステム: 複数のAIエージェントが、それぞれ異なる役割(計画担当、実行担当、品質チェック担当など)を持ち、協力して一つの巨大なプロジェクトを推進するようになる。

 
AIエージェントについてもクローズド環境(Edge)で利活用出来ることには多くのメリットがあると思います。
実現性について一緒に学習・チャレンジしていきましょう!!