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本日は静岡某所も小春日和

 そして、悪天候に見舞われていた北海道方面も何とか落ち着いたようですね。
 とはいえ、亡くなった方まで出てしまったこの度の異常気候…ここ数年の例外なき地球の悪ふざけには、どこにやりきれない怒りを訴えかければいいのか。
 主任としては一度も足を運んだことがなく、しかしして憧れの大地でもあるだけに、今は少しでもお住いの皆さんの暮らしが元通りになってくれることを祈るばかり。

 さて…その北海道を舞台としたドラマや映画は星の数ほどございます。
 TVアニメに至っても例外ならず。
 いちいち取り上げていてはキリがないので端折りますが、皆さん銘々、思い入れの深い作品がきっとある筈です。
 そんな中、しかし遺憾なことに、スタッフやキャスト陣はモチベ全開で挑まれたにもかかわらず人気を集めることなしに潰え、ましてやこの電脳時代においてしばしばけなされ、貶められている不遇な作品もあったりするのです。
 今回はそんな一作の、しかし歴史の中に決して埋もれさせてはいけない主題歌について語っていきたく思います。

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 今月の末に51歳のバースデイを控えられながらも、ますますお若く、精力的にご活躍されている人気声優の林原めぐみ氏
 熱烈なアニメファンの中で、恐らく彼女のお名前をご存知ない方は一人としていらっしゃらない事でしょう。

 良き伴侶に恵まれ、熱烈なファン層を築き上げられ、今でも安定した人気を保持され続けているその林原さんが取り分けてあちこち引っ張りだこだったのが、本格的な深夜アニメブームが確固となった1990年代。
 それまでのイメージを覆すこととなった「新世紀エヴァンゲリオン」綾波レイを足掛かりに特にテレビ東京系、新作がリリースされるごとオファーがなされ、ことごとくそれがヒット。
 多くの主題歌において、音楽アーティストとしての才も大きく発揮され、向かうところ敵なしの勢いは、正に神にも勝る力量に溢れかえっていました。

 そんな林原さんが2000年10月、看板番組のひとつとなった「スレイヤーズ」シリーズイージーフィルム社、及びキャラクターデザインのあらいずみるい先生のご縁より、TBS系の「サクラ大戦TV」の後番組としてメインヒロインを引き受けられた、話題のライトノベル作品原作の異色作…それが「無敵王トライゼノン」
 そして彼女が担当されたその主題歌が、
キングレコード社よりアニメスタートとほぼ同時にリリースされた
「unsteadyでした。

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 作曲は前後の氏の主要ナンバーの大半を手掛けられてきた佐藤英敏先生、編曲には「爆れつハンター」などでも氏とご縁の深い五島翔先生、そして作詞はMEGUMI名義で林原さんご自身が担当された「unsteadyは「トライゼノン」オープニング。
 坦々と過ごす日常に不安を感じる一女性が、しかし今の自分自身を抜け殻として脱ぎ捨て、大きく生まれ変わることを確信しながら一歩一歩力強く進んでいく姿を著したポップスで、アニメ本編の主人公である神威章に対するメインヒロインの雨竜華菜、もとい林原さんご自身の応援歌、ともとれる、マイナーコードのイントロからアップテンポで一気に聴かせる名曲です。

 カップリングナンバーは、編曲に「おジャ魔女どれみ」などでのご活躍のある堀隆先生を迎え、同じスタッフが完成させたエンディングテーマ「lost in you」

 こちらは本編とはあまり接点のない、かつて交際しながらもいつしか生じたすれ違いより別れ別れになった女性が、彼氏との思い出をリフレインさせながら、それを乗り越えようと立ち上がる失恋ソング。
 終始マイナーコードで綴られるハイテンポのエレジーで、単なるカップリングとして扱われるにはまずまず勿体ない出来に仕上がっています。

尚、他に8㎝CDとして繰り出された当一枚には、銘々のカラオケも収録。
スターチャイルドレーベルとしてのキングレコード社の全盛期を物語っていました。


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 ところがその「トライゼノン」は、林原さんも含めた大物声優陣、各スタッフによる、当時のテレ東では頑なに規制されありえなかった下着チラリなどのセクシーアクションもふんだんに交えて、鳴り物入りでスタートしたものの人気は伴わず、視聴率的にも興行的にも苦戦。
 原作小説では長い時間をかけて主人公たちの知り合う新メンバーや、強敵の出現なども駆け足で無理矢理ねじ込まれ、あれこれの試行錯誤が繰り返されたものの解決には至らず、半年~一年間の放送予定は結果的に22話で打ち切り。
 最終回も敵との決着こそついたものの、今一つすっきりしない形に終わってしまいました。

 これは少し前の矢張り、林原さんがOP&ED主題歌を担当されていた「ロスト・ユニバース」の折にも見受けられたイージー・フィルムの作画崩壊の再発、関東管内では視聴率激戦区であった土曜18時台、と言ったハンデも理由ですが、同時に「取りあえず林原をねじ込めば成功するだろう」との企画サイドの油断と甘えがあったことも否めません。
 事実、「時空転抄ナスカ」「影技」など、氏の演技力やキャラクター性が高くとも釣り合わずに興行失敗に終わってしまった作品が同時期に多発。
 相応の人気を得ていた「アキハバラ電脳組」なども放送終了に伴いファンの記憶から薄れゆくような次第でした。

 尤もその「トライゼノン」の前番組であった「サクラ大戦」もOVAシリーズに比べると出来は拙く、後番組の「逮捕しちゃうぞ」二期も一期ほどのパワーには欠けていましたから、林原さんの無理矢理な参戦云々にかかわらず、ラッシュ状態にあった当時のTVアニメ自体が冬の時代に達していたのでしょう。

 正に「トライゼノン」は噛ませ犬として、スケープゴートとしてやり玉に挙げられた不遇な存在。
 主任個人的には華菜嬢がお気に入りであったのもあって、今でも遺憾さが付きまとうばかりです。