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日曜もとっぷり日が落ち、エアコンをかけても尚肌寒い時刻となりました。

 こういう時こそ、怖い話題、が却って面白かったりする。
 真冬に食べるアイスクリームが、反比例的に美味しいのと似ていますね。

 という事で…妖怪フリークの皆様お待たせいたしました!
 久々の妖怪図鑑新刊のご紹介、2018年新春を以て解禁いたします!

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学研教育出版社より学研ミステリー百科第5弾
世界の妖怪大百科

 総合編集者は、妖怪及び民族文化研究の一人者・宮本幸枝先生
 ウィキペディアにも具体的な項が設けられていないので、詳しいプロフィールは不明ですが、未就学児にもわかりやすく、理屈のすっきり通った文章が魅力の、国内における大御所のお一人です。

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世界妖怪、と銘打たれてはいますが、結果的には和洋折衷混在状態。

 一頁目をめくると、江戸時代の妖怪かるたや、ミイラなど各地で発見されたという妖怪の遺物の紹介を経て、目次を越えてより初めて世界分布図が出現。

 本書の使い方の説明図を経て、7つのカテゴリからの紹介がスタートします。

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大半が日本妖怪について、なので当記事もそちらを中心にご紹介いたします。

第1章は「獣の姿をした妖怪」

 金毛白面の九尾の狐に始まり、化け猫白澤のような聖獣もラインナップ。
 変わり種では分福茶釜のような可愛らしい一体にも触れています。

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 西洋妖怪はケンタウルスケルベロスグリフォンと言った神話に登場する類や、ベルゼブブブエルなどゴエティアの魔王たちの一部も紹介。

 にしても「蠅の王」として恐れられているのは知っていたけれどベルゼブブ様、よもや「ウ〇チの王」なんて別称もあるとは(苦笑)



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第2章は「強大な妖怪」

 一番手がいきなりダイダラボッチ、と気は優しくて力持ちな面子からスタートだからその路線で進むのかと思いきや、その後は酒呑童子土蜘蛛サイクロプスバハムートと和洋を問わずしての荒っぽい連中続き。

 シメがジャミラを彷彿とさせる中国の暴れ者妖怪・刑天とはこれまた(^^ゞ

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第3章は「人の形をした妖怪」

 以前の一冊でもパイオニアを切った見越し入道に始まり、我が国きってのシリアルキラー安達ケ原の鬼婆、愛嬌者の一つ目小僧泥田坊ろくろ首、と、我々人間に近しいだけに全ての項を振り返っても取り分けてバラエティに溢れる感を覚えます。
 その他、中々この手の書物でも扱われにくいどうもこうも、薄気味悪さ抜群の手の目、海外からはゾンビキョンシー、と豪華な顔ぶれが目白押し!

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第4章は「水辺にすむ妖怪」

 昨日のつなぎ記事でもご紹介した、当一冊には未掲載ながらの「白うかり」など数多くのリアリズムに富んだイラストを手掛けられ、pixivでも活躍されている合間太郎先生河童を一番手に、胸の露出はあるけれどセクシーどころか気持ち悪さ満点の人魚や西洋の悪魔のようなスタイルの牛鬼、西洋妖怪ではクラーケンシーサーペントなど怪獣タイプの一連も紹介されています。

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第5章は「野山に住む妖怪」

 人里離れた場所にひっそり、というケースだけに「ゲゲゲの鬼太郎」における鬼太郎ファミリーの元となった連中が目立ちますが、一反木綿砂かけ婆塗壁も何て言うか押しなべてやさぐれた風体(苦笑)
 当書ではラインナップから外れている子泣き爺も含めて、まあ本来はみんな人間界とは距離を置いている連中ばかりですしね、無理ないかな?

 その他にも勇猛な天狗や一般のイメージとはかけ離れたグロテスクな油すまし、西洋方面からはアルラウネゴブリンも紹介されています。



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第6章は「町にひそむ妖怪」

 豆腐小僧ぬっぺっぽう、、オバリヨンべとべとさん、と比較的無害な連中の他、今の時代では「ただの危ない奴」尻目なども登場。
 西洋妖怪からは錬金科学の産物ホムンクルス「アパラパー!」魔王ジン、そして何といっても気持ち悪さ抜群のペナンガランが必見!

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最終章に当たる第7章は「家にやってくる妖怪」

 まんま赤い河童、なあかなめを皮切りに、前髪がかぶさって口しか見えないのが薄気味悪い座敷童子、合間先生の一筆で凄まじくグロテスクになった枕返し、西洋妖怪からはブギーマンブラウニーと言った妖精の類も登場。

 これまでの一連では事細かに触れられてきたトイレの妖怪加牟波理入道と第6章のおまけコーナーで触れられているトイレの花子さんのみにとどまり、前者については「妖怪始末人トラウマ!!」 では「俺は水洗便所が大嫌いなんだ!」と渋っていたのがなぜか(和式ながら)水洗トイレから出てくる、いやらしい笑みのオッサンに。

 特筆すべきはぬらりひょんとの見開きページで紹介されているびろーん
 巻末にも参考図書として記述されているので、明らかに故・佐藤有文先生の資料を基にしているのですが、加筆された説明文で成程、と納得のいくモンスターへと出世を果たしています。
 それだけに、ファンにはコンビで親しまれているはらだし、が未掲載なのは残念!

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巻末のコラム特典は「稲生物怪録絵巻」のピックアップ

 江戸時代の勇気ある少年・稲生平太郎が「肝試し」から帰宅しての一カ月間、自宅屋敷に日々怪異を成す魔王・山本五郎左衛門との根性比べに挑む
「実際にあった」とされる広島県の伝承を基にした一本です。
 かつて平凡社別冊太陽「日本の妖怪」に掲載されたものよりはあっさり目ですが、現代の児童向け妖怪図鑑の充実性から考えればこの位が程よいかな?

 比較的新しい刊行なので、まだまだ置かれている本屋さんは少なくない筈です。
 妖怪フリークの皆さん、お見かけの際には手に取られ、よろしければレジへとシフトさせてみてください。

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