1ヶ月に及ぶ熱狂が世界中を包んだ2010 FIFA WORLD CUP SOUTH AFRICA。


そのフィナーレを飾る決勝戦、オランダ×スペインの一戦は、延長後半12分、トーレスの左からのクロスをオランダのDFが頭で返すも、クリアが不完全。


そのこぼれ球をセスクが拾い、イニエスタへ。


セスクのパスを受けたイニエスタは手前でバウンドするボールをキチッっと押さえて低い弾道のボレーを逆スミに決めたスペインが0-1でWC初優勝を果たした。



2年前、圧倒的なポゼッションサッカーでヨーロッパの頂点に立ったスペインだったが、今大会通してのパフォーマンスを見ると、決して全ての試合が褒められた内容ではない。


グループリーグ初戦のスイス戦は、昨年のコンフェデ杯でアメリカに敗れた時と同様にカウンター一発に沈んでるし、その後も勝ちには勝っていたが、シュート本数が多いながらもゴールをなかなか陥れられなかったり、相手のハイプレスに持ち前のポゼッションが乱れたりと、そこまで良い内容とは言えなかったのである。


一番良いサッカーをしたのはドイツ戦だったかな。


それでもEURO 2008を制した時に比べると、チームのパフォーマンスに物足りなさを感じたのは事実だった。



では、なぜ優勝できたのか。


というのを自分なりに考えてみた。


スペインってどの試合でもそうだったけど


殆どの時間、自分達のサッカーをやっているんだよね。


要は、ペースを奪われる時間帯もあるんだけど、ペースを奪われる時間が極端に少ない。


今日のオランダ戦が一番ペースを奪われる時間が多かった方と言っても良い。


でもペースを奪われても、結局自分達のペースにしてしまうのがスペインの強みではないかと。


で、どうして最終的にスペインペースの時間が長くなってしまうかっていうと、結局フルタイム、サッカーの質が落ちないっていう事なんだと思うんだよね。



常に速いリズムと「止める」「蹴る」「動く」の正確性が高いポゼッションスタイルをフルタイム持続できる。リズムが悪くなれば、今日のへスース・ナバスやセスクを入れたような、人を代えてリズムを取り戻す。


選手達の基本技術の高さと、指揮官のデル・ボスケのピンポイントな選手交代で常にスペインのサッカーの質が落ちることが無いという事が非常に大きいと思う。


まあ欲を言えばメッシのような「個」で局面を変えられるようなスペシャルな存在がいれば、もう少し楽に試合を運べるような気はするが。その絶対的な「個」に依存しすぎなければね。



あと守備面でも守護神でありチームのカピタンでもあるカシージャスの「聖イケル」と呼ばれるその神懸り的なビッグセーブで危機を救ってきたのは大きいし、プジョル、ピケの、バルサでもコンビを組むセンターラインも、今日のロッベンに2度裏を取られた時のようなスピード勝負には難があったが、堅い守備を見せていた。


そして中盤のセルヒオ・ブスケツも効いてたな。


EURO 2008ではマルコス・セナがアンカーを務めて、シャビ、イニエスタ、シルバ、セスクの「クアトロ・フゴーネス」を中盤で支え、且つ、持ち前の展開力で攻撃の起点になっていた。


ブスケツの場合は、セナとは全然違うタイプで、189cmの恵まれた体格を生かした肉弾戦で相手の中盤を潰して、繋ぎに転じるタイプの選手。


でも彼の存在があったからこそシャビ・アロンソも攻撃の組み立てに専念出来てたんじゃないかな。



一方の準優勝のオランダは、スペイン相手に高い位置からのプレッシングと、ロッベンの右からの突破と裏への抜け出してペースを握った時間帯があったんだけどなぁ・・・。


何よりも、スナイデルが時間が経つごとに徐々に消え始めちゃったのも敗因だったかな・・・。



それにしてもイニエスタの延長後半終了間際のゴールは、08-09シーズンのCL準決勝、チェルシー相手に1点先制されながらもロスタイムに同点に追いついてアウェーゴールでバルサを決勝に導いた、あのスタンフォード・ブリッジでの劇的ゴールを思い出したな・・・。


そして、イエロー覚悟でユニフォームを脱いで、昨年他界した、バルサのライバルチーム、エスパニョールのカピタンになるはずだったダニエル・ハルケへのメッセージをアンダーシャツに書いて、亡きハルケにゴールを捧げたというシーンも感慨深い。


EURO 2008では、亡きプエルタの顔写真プリントTシャツを着て優勝を捧げたセルヒオ・ラモス・・・というシーンがあったが、やはりハルケにも優勝を捧げましたね。


プエルタもハルケも、きっと天国で母国のWC初優勝を喜んでくれていると思う。



という事で、スペインの優勝で終わったWC。


スペインが勝ったという事で、来シーズンのリーガ・エスパニョーラはますます面白くなる筈!


今大会得点王タイに輝いたビジャが加入し、WC優勝メンバー8人を擁する、ディフェンディングチャンピオン、バルセロナ。


今大会神懸り的なセーブを連発したカシージャス、そして不動の右ラテラル、セルヒオ・ラモス、中盤の攻撃の起点となったシャビ・アロンソ、そして今大会はベンチを温めたが、マドリーではレギュラークラスのアルビオル、アルベロアが所属するレアル・マドリー(そして来シーズンマドリーを指揮するのは、あのモウリーニョ!)。


来シーズンのクラシコは例年以上に面白くなりそうだし、今大会MVPに輝いたウルグアイのエース、フォルランを擁するアトレティコ・マドリー。


あとはセビリア、ビジャレアルといった上位勢がアトレティコと共に、バルサ、マドリーにどこまで迫れるか。


バレンシアはビジャ、シルバの二大巨頭の放出がどう響くか。


そして来シーズン、久々にプリメーラに昇格した「ラ・レアル」ことレアル・ソシエダにも注目。


久々のバスクダービーは非常に楽しみ!



今大会スペインを応援してくれた皆さん。


WCは終わりましたが、引き続き、リーガ・エスパニョーラを宜しくお願いします!