明け方まで雨が降り続き、草むしりする状態ではなく、どうしようかと考えているうちにMLBオールスター戦が始まった。大谷選手の日本人初の柵越えホームランに湧き、今永選手の三者凡退の快投に吼えている間に乾いてきたが、草むしりするには危険な暑さが戻っていた。作業は日曜日の早朝まで延期することにした。

ちょっと用事で駅近くのショッピングモールまで出かけたが、帰ろうとしたタイミングで雨が再び降ってきた。青空が広がりだしていたことに安心しきっていた。幸いにも映画館が入っているビルにいたため、映画館の冷えたロビーで読書時間とした。

夕立を予想したわけではなかったが、たまたまバッグに読みかけの文庫本を忍ばせていた。堂場瞬一氏の『赤い呪縛』だ。「オール讀物」2020年3・4 月合併号～2021年2月号に連載された『延焼』を加筆修正、改題して2021年5月に単行本化され、文藝春秋社から刊行された。本書は2023年11月に刊行された文春文庫版だ。

銀座の開店前のクラブで放火事件が起きた。犯人は西片若菜（27）派遣社員だった。店内にガソリンをまき、自分も浴びて火をつけた。従業員は逃げたが、店の奥にいたオーナー野村真沙美が焼死した。

特捜本部は設けられたが、容疑者死亡で、動機の解明に全力が注がれた。捜査一課の滝上亮司も被害者の調査にあたっていたが、静岡に住む高井から滝上に電話があった。被害者の野村真沙美は父と関係があったたいう。

滝上の父・喜多安武は静岡県知事だった。母の死に絡んで滝上は父を憎み、大学生のとき1年間米国留学している間に薬物中毒となり、帰国後もやめられなかった。それを知った父からは勘当され、その反発から薬物から抜け出し、警察官になった。

そして、練馬中央署管内に住む岸本文夫（76）が宅配業者を装った犯人からドアを開けた直後に銃殺された。岸本は喜多知事の秘書をしていた。父に関係する人物が2人とも亡くなった。それを知っているのは滝上だけだった。

父を政治的に破滅させることを常に考えている滝上だが、はたして二つの事件に繋がりはあるのか。真相、そして親子の関係はどうなるのか？

本書の構成は以下のとおり。（目次引用）

第一章　放火

第二章　謎の女

第三章　夜を生きる

第四章　捨てた街

第五章　ジャンキー

第六章　売人

第七章　過去の蹉跌

第八章　誘導

第九章　誰のために

第十章　対決

著者は、「父と子の葛藤」、マフィアの父と息子のような関係を警察小説として書かれたそうだ。続編があれば読んでみたいが…。

明日はいよいよ梅雨明けか？

赤の呪縛